ある世界を救うまで
「で、その女の子は誰なんじゃ?」
「うむ。敵かも知れんのに連れてくるとは、理由があるんだろうな?」
「この子、ですか・・・」
俺は一人と一本を少女から少し遠ざけ話し出す。
「さっき枯れ木を集めてるときに偶然会ったんです。あの子はユウナと名乗り、俺の名前を聞いてきました。警戒はしたんですけどなにかの専技を使うようで・・・敵ではなさそうですから連れてきました」
ブレイブがため息をつく。
「青年。やつが何者か知ってるのか?」
「知らないですけど・・・」
「だろう?敵かもしれんじゃないか」
「それは今から聞きますよ・・・」
俺は少女に近づく。
「君、どこから来たの?なんでこんなところにいるの?」
少女は顔を上げ、答える。
「アンガー。逃げろって言われたから」
その言葉に俺の身体が一瞬震える。
この子、アンガー帝国から来たのか。
逃げろ・・・か。
これで確信した。
アンガーはやはり襲われているのだ。
必死で逃げてきたんだろう。
顔には傷、服は所々汚れている。
「お父さん、お母さんは?」
俺が優しい声色で聞くと、少女は首に下げているネックレスを握り締めた。
「置いてきちゃった。だって・・・」
少女の言葉が止まる。
「おい、青年。もう聞くのはよせ」
「・・・はい」
俺は少女から離れ、ブレイブの隣に腰を下ろす。
「あの少女は敵ではない。見ろ、あのネックレスを」
俺は少女の手の中にあるネックレスを見つめてみる。
キラキラとした銀色。細かく作られた鎖。
小さくなにかのマークが彫ってある。
「あれはアンガー帝国の者の印。『アンガー・シルバー』という代物だ」
「じゃあ・・・」
「ああ、やつの言っていることは本当だろう。ここからは私がやつに質問する。お前は黙って火の面倒を見ておけ」
「はい・・・」
シュボッ
ブレイブはそう言うと、枯れ木の山に火を灯した。
パチパチ・・・
「君、専技は?」
さっきからブレイブは少女に様々なことを聞いている。
年はいくつか、名前、ここまでどうやってきたか。
この子はやはりユウナという名前らしい。
年は10。
ここまでは歩いてきたという。
かなり大変だったはずだ。
なのにユウナは弱音を1つもはかない。
いや、吐けないのかもな・・・
「『魂の降臨』。この子たちに魂を込められるの」
ボォッ!
「なんじゃっ!?」
「壊されちゃった子はね。葬ってあげるの。お父さんに教えてもらったの・・・」
ユウナの表情が曇る。
が、すぐにユウナは冷たい目になり、ブレイブを見つめる。
「あなたは?」
ブレイブが答える。
「私はブレイブ。剣だ」
「へえ。何で喋れるの?」
「武精だからだ」
「武精ってなに?」
「武精というのは・・・」
これは長くなりそうだぞ・・・
~夜は更けていく~
「たまたま。たまたまあなたたちに会ったの」
「成程・・・」
ブレイブとユウナの問答はまだ続いている。
「ブレイブさん、今日はもう寝ましょう。明日も早いですし」
ブレイブは俺の方を振り返り言う。
「そうだな。ユウナは・・・ここで寝るといい」
「いいの?」
「見捨てるわけにはいかんからな」
「ありがと・・・」
気のせいだろうか。
一瞬ユウナの顔に笑みが浮かんだ気がする。
ギャッ!ギャッ!
空にはフライ・サーペントが飛んでいる。
もう朝か・・・
口の中がむずむずする・・・
「青年、おはよう」
「おはようございます・・・」
「今、口がむずむずしてないか?」
「え・・・」
何故それを・・・?
「理由を教えてやる。歯を磨いてないからだ」
「あ」
そういえば食事はしているが歯は磨いていない。
いつも面倒くさがってるせいで忘れていた。
でも磨かなくてもいいんじゃ・・・
「歯を磨かないリスクは多く存在するんだぞ。青年」
ギクッ!
俺の考えはどうやらブレイブに筒抜けのようだ。
「お前、トゥーバイグというモンスターを知っているか?」
俺は首を横に振る。
「トゥーバイグとは歯に寄生するモンスター。歯とその周りの食べかすを養分とする。トゥーバイグが潜み続けた歯はどんどん削られていき、最終的には口内の歯や歯茎は全て食い尽くされてしまう」
ブレイブはいつもより低い声で俺に話し続ける。
「トゥーバイグの一生は実に簡単。人間やモンスターの歯に寄生し、養分を食べて成長する。歯に潜伏してから1ゲッカ(カ月)経つと、繁殖を始める。トゥーバイグは単体で繁殖可能なモンスターだ。10個ほどの卵を歯茎の中に産み付ける。その卵は1シュウカ(週間)程経つと孵化。歯茎の肉を養分とし、成長する。そして成長しきると・・・」
ゴクリ。
「せ、成長しきると?」
「全身の神経を食い尽くし、筋肉や脳も食べ始める。最終的には骨しか残らない」
ゾッ
「青年はそうはなりたくないよな?」
ブンブンブン!
「そんなに首を振ったら頭が取れてしまうぞ。私の魔法を使えば予防ができる。口を開けろ」
俺はおそるおそる口を開く。
シャーッ
口の中がなんだか爽やかな空気で充満していく。
「終わったぞ。口を閉じろ」
俺の口の中はもう爽やかで軽やかな空気でいっぱいだ。
「洗浄魔法だ。お前、口の中が爽やかだろう?」
「はい」
「それで口の中の汚れ、モンスター、その他諸々の障害は全て取り除いたのだ。ちなみにお前の口の中、トゥーバイグの幼体が潜んでいたぞ。危なかったな」
ええぇっ!
オレノクチノナカニトゥーバイグ・・・
トゥーバイグ・・・
トゥーバイグ・・・
「次はテッショウだな。そこに座れ」
「ああ・・・」
シャーッ
「大丈夫?」
トゥーバイグ・・・トゥーバイグ・・・
「うむ。敵かも知れんのに連れてくるとは、理由があるんだろうな?」
「この子、ですか・・・」
俺は一人と一本を少女から少し遠ざけ話し出す。
「さっき枯れ木を集めてるときに偶然会ったんです。あの子はユウナと名乗り、俺の名前を聞いてきました。警戒はしたんですけどなにかの専技を使うようで・・・敵ではなさそうですから連れてきました」
ブレイブがため息をつく。
「青年。やつが何者か知ってるのか?」
「知らないですけど・・・」
「だろう?敵かもしれんじゃないか」
「それは今から聞きますよ・・・」
俺は少女に近づく。
「君、どこから来たの?なんでこんなところにいるの?」
少女は顔を上げ、答える。
「アンガー。逃げろって言われたから」
その言葉に俺の身体が一瞬震える。
この子、アンガー帝国から来たのか。
逃げろ・・・か。
これで確信した。
アンガーはやはり襲われているのだ。
必死で逃げてきたんだろう。
顔には傷、服は所々汚れている。
「お父さん、お母さんは?」
俺が優しい声色で聞くと、少女は首に下げているネックレスを握り締めた。
「置いてきちゃった。だって・・・」
少女の言葉が止まる。
「おい、青年。もう聞くのはよせ」
「・・・はい」
俺は少女から離れ、ブレイブの隣に腰を下ろす。
「あの少女は敵ではない。見ろ、あのネックレスを」
俺は少女の手の中にあるネックレスを見つめてみる。
キラキラとした銀色。細かく作られた鎖。
小さくなにかのマークが彫ってある。
「あれはアンガー帝国の者の印。『アンガー・シルバー』という代物だ」
「じゃあ・・・」
「ああ、やつの言っていることは本当だろう。ここからは私がやつに質問する。お前は黙って火の面倒を見ておけ」
「はい・・・」
シュボッ
ブレイブはそう言うと、枯れ木の山に火を灯した。
パチパチ・・・
「君、専技は?」
さっきからブレイブは少女に様々なことを聞いている。
年はいくつか、名前、ここまでどうやってきたか。
この子はやはりユウナという名前らしい。
年は10。
ここまでは歩いてきたという。
かなり大変だったはずだ。
なのにユウナは弱音を1つもはかない。
いや、吐けないのかもな・・・
「『魂の降臨』。この子たちに魂を込められるの」
ボォッ!
「なんじゃっ!?」
「壊されちゃった子はね。葬ってあげるの。お父さんに教えてもらったの・・・」
ユウナの表情が曇る。
が、すぐにユウナは冷たい目になり、ブレイブを見つめる。
「あなたは?」
ブレイブが答える。
「私はブレイブ。剣だ」
「へえ。何で喋れるの?」
「武精だからだ」
「武精ってなに?」
「武精というのは・・・」
これは長くなりそうだぞ・・・
~夜は更けていく~
「たまたま。たまたまあなたたちに会ったの」
「成程・・・」
ブレイブとユウナの問答はまだ続いている。
「ブレイブさん、今日はもう寝ましょう。明日も早いですし」
ブレイブは俺の方を振り返り言う。
「そうだな。ユウナは・・・ここで寝るといい」
「いいの?」
「見捨てるわけにはいかんからな」
「ありがと・・・」
気のせいだろうか。
一瞬ユウナの顔に笑みが浮かんだ気がする。
ギャッ!ギャッ!
空にはフライ・サーペントが飛んでいる。
もう朝か・・・
口の中がむずむずする・・・
「青年、おはよう」
「おはようございます・・・」
「今、口がむずむずしてないか?」
「え・・・」
何故それを・・・?
「理由を教えてやる。歯を磨いてないからだ」
「あ」
そういえば食事はしているが歯は磨いていない。
いつも面倒くさがってるせいで忘れていた。
でも磨かなくてもいいんじゃ・・・
「歯を磨かないリスクは多く存在するんだぞ。青年」
ギクッ!
俺の考えはどうやらブレイブに筒抜けのようだ。
「お前、トゥーバイグというモンスターを知っているか?」
俺は首を横に振る。
「トゥーバイグとは歯に寄生するモンスター。歯とその周りの食べかすを養分とする。トゥーバイグが潜み続けた歯はどんどん削られていき、最終的には口内の歯や歯茎は全て食い尽くされてしまう」
ブレイブはいつもより低い声で俺に話し続ける。
「トゥーバイグの一生は実に簡単。人間やモンスターの歯に寄生し、養分を食べて成長する。歯に潜伏してから1ゲッカ(カ月)経つと、繁殖を始める。トゥーバイグは単体で繁殖可能なモンスターだ。10個ほどの卵を歯茎の中に産み付ける。その卵は1シュウカ(週間)程経つと孵化。歯茎の肉を養分とし、成長する。そして成長しきると・・・」
ゴクリ。
「せ、成長しきると?」
「全身の神経を食い尽くし、筋肉や脳も食べ始める。最終的には骨しか残らない」
ゾッ
「青年はそうはなりたくないよな?」
ブンブンブン!
「そんなに首を振ったら頭が取れてしまうぞ。私の魔法を使えば予防ができる。口を開けろ」
俺はおそるおそる口を開く。
シャーッ
口の中がなんだか爽やかな空気で充満していく。
「終わったぞ。口を閉じろ」
俺の口の中はもう爽やかで軽やかな空気でいっぱいだ。
「洗浄魔法だ。お前、口の中が爽やかだろう?」
「はい」
「それで口の中の汚れ、モンスター、その他諸々の障害は全て取り除いたのだ。ちなみにお前の口の中、トゥーバイグの幼体が潜んでいたぞ。危なかったな」
ええぇっ!
オレノクチノナカニトゥーバイグ・・・
トゥーバイグ・・・
トゥーバイグ・・・
「次はテッショウだな。そこに座れ」
「ああ・・・」
シャーッ
「大丈夫?」
トゥーバイグ・・・トゥーバイグ・・・