「青年！」
ブレイブが俺の手の中へすごい速さで飛んでくる。
俺はそんなブレイブの柄を握る。
「おりゃあ！」
ガキン！
ガタタッ
化け物が後ろに少し吹き飛ばされる。
青年…
ブレイブが俺の頭の中に喋りかけてくる。
あそこを見ろ…
俺は化け物の体を見る。
何やら体の一部が少しえぐれている。
さっきまでブレイブが狙って攻撃していたからだろう。
あそこを狙え。
コクン。
俺は軽く頷く。
ダッ！
俺は化け物に向かって突進する。
化け物は槍を構える。
今だ！
『超直感』発動！
ブゥン…
俺は化け物が振るってきた槍を避け、化け物の体のえぐれている部分を思いきり剣で斬りつける。
ガキッ！
ガタッ！
化け物が膝をつく。
見ると、さっきまでえぐれていた部分にぽっかり穴が開いている。
俺はそんな化け物に追撃をしようとする。
青年！後ろだ！
ヒュオッ
！？
俺は後ろからの攻撃をギリギリでよける。
何だこいつは…？
俺の目の前には化け物がいた。
何やら硬そうな鎧を着ている化け物だ。
その化け物が鞭で俺を攻撃してきたのだ。
『唄輪我流』発動！
「お前は誰だ！」
俺が化け物に聞く。
「私か？」
化け物が答える。
「ああ。そうだ」
俺は化け物にそう答える。
「私はローク」
化け物が続ける。
「悪いが、お前を殺させてもらう」
ヒュオッ
「わっ！」
俺の横を鞭がかする。
「こいつは？お前の目的は？」
ヒュオッ
俺はロークの攻撃を避けながらそう聞く。
「こいつ？誰に向かって言っている？その方は雷団長ボルト様だ。私は雷団の『頭脳』。ボルト様に従うだけ、だ！」
ヒュッ
ピシッ
「っ！」
俺の肌を鞭が削り取る。
『大地の皮膚』が発動しているはずなのにこの威力とは…
恐ろしい攻撃だ…
ガタ…
俺の後ろにいたボルトが立ち上がり、俺に攻撃を仕掛けてくる。
「うわっ！」
俺はその攻撃を間一髪で避ける。
ヒュッ！
ブオッ！
前からも後ろからも攻撃が飛んでくる…
今は『超直感』で避けられているが、いつまでもつか分からない…
ブレイブも俺に指示を出しているが、防戦一方だ。
誰か…誰か助けてくれ！
「やめろ！」
「何をする！」
国王！
ザンギ国王がロークの体を抑えている。
ガッ！
ロークはそんなザンギ国王を振り払う。
「うっ！」
ザンギ国王は少し後ずさる。
先ほどの傷が体に響いているようだ。
「邪魔をするな！」
ヒュオッ
「国王様！」
バチッ！
「くっ…」
テッショウさんが国王の前に立っている。
テッショウさんの体からは血が出ている。
ヒュッ！
がしっ。
テッショウさんが鞭を掴む。
その手はえぐれ、赤い血で染まっている。
「離せ！」
ロークが言う。
テッショウさんは意地でも離すまいとしている。
「国王様！早く！」
ザンギ国王が剣を取る。
ブブブ…
国王の剣に光が灯る。
『ドライブ・アウェイ・エヴィル』！
「く！」
ロークの鎧が欠ける。
「タツヤ！こっちはわしらに任せろ！」
テッショウさんが俺に言う。
俺は軽く頷く。
青年！行くぞ！
「はい！」
俺はそう言ってブレイブと共にボルトに突っ込んだ。