ある世界を救うまで
「ここか…」
俺たちの目の前には大きな扉がある。
固く、頑丈な扉だ。
さっき俺たちは地図を見た。
地図にはこの城の内部が細かく書かれており、何がどこにあるか丸々把握することができた。
フィナンシェ王女の場所は最初は分かるかどうか不安だったが、案外すぐ見つかった。
地図にフィナンシェ王女の場所に写真を添えて、でかでかと丸が付けられていたからだ。
初めはブレイブが罠だろうと疑っていたが、俺たちが説得し何とか同意させた。
俺は扉に力を入れ、開けようとする。
「くっ…」
ダメだ。びくともしない。
「はぁ…」
ブレイブがため息をつく。
「ここだ」
ガコン。
ゴゴゴゴゴ…
何だよ、レバーあったのかよ…
「何で分かったんです?」
「地図だ」
地図に書いてあったのか…
ゴゴ…ガタン。
扉が開ききる。
「え…?」
何と扉の奥にもう一つ扉があった。
扉の横には何やら金属製の板がある。
俺は扉を開けようとする。
「ダメです。開きません」
俺は扉を自分で開けるのをあきらめ、金属の板の方に目をやる。
「番号を打ち込むのかもな…だとしたら…」
ブレイブがテッショウの持っている地図を見る。
「これだろう。数字の形は奴らも同じものを使うのか、助かった」
カチ、カチ、カチカチ
カシャン
「開いたようだな。用心しろ」
俺はその言葉に従い、扉の隙間から部屋の中をのぞく。
部屋の中は薄暗いが、少し周りが見える。
「大丈夫です」
俺たちは注意しながら部屋に入る。
カツン、カツン…
「?!」
あの音だ。
少し前にも聞いたあの音。
人ではなく、雷兵でもない「ナニカ」。
俺の腕に鳥肌が立ち、息が荒くなる。
「トラウマ」というのはこういう事なのだろう。
俺は後ろを振り返る。
テッショウさんと国王は周りを注意して見ている。ブレイブは微動だにしていない。
やはり剣であっても人であっても「恐怖」は記憶に残るのだろう。
記憶に残るといってもただ残るだけではない。
それはその存在を知った瞬間、鳥肌が立ち、息が荒くなる程に残るのだ。
これは「恐れ」などの軽はずみなものではなく、「恐怖」なのだから。
隠れなければ。
俺はそう思った。
いや、思ったのではない。
体がそう言っているのだ。
「本能」というやつだろうか。
とにかく俺はその「本能」に従うことにした。
カツン…カツン…
周りからあの音がしなくなる。
俺は恐れながらも、隠れている棚の隙間から外を見る。
何もいない。
あれ?足が動かない。
体が、動かない…
動け!動け!
「青年!」
「!」
隣に隠れていたブレイブが俺に声をかける。
俺は少しの間放心する。
「大丈夫か?」
「はい、すみません…」
「よし、フィナンシェ王女を救いに行くぞ」
ブレイブは棚からゆっくりと出る。
俺はその姿をただひたすらに追いかけた。
俺たちの目の前には大きな扉がある。
固く、頑丈な扉だ。
さっき俺たちは地図を見た。
地図にはこの城の内部が細かく書かれており、何がどこにあるか丸々把握することができた。
フィナンシェ王女の場所は最初は分かるかどうか不安だったが、案外すぐ見つかった。
地図にフィナンシェ王女の場所に写真を添えて、でかでかと丸が付けられていたからだ。
初めはブレイブが罠だろうと疑っていたが、俺たちが説得し何とか同意させた。
俺は扉に力を入れ、開けようとする。
「くっ…」
ダメだ。びくともしない。
「はぁ…」
ブレイブがため息をつく。
「ここだ」
ガコン。
ゴゴゴゴゴ…
何だよ、レバーあったのかよ…
「何で分かったんです?」
「地図だ」
地図に書いてあったのか…
ゴゴ…ガタン。
扉が開ききる。
「え…?」
何と扉の奥にもう一つ扉があった。
扉の横には何やら金属製の板がある。
俺は扉を開けようとする。
「ダメです。開きません」
俺は扉を自分で開けるのをあきらめ、金属の板の方に目をやる。
「番号を打ち込むのかもな…だとしたら…」
ブレイブがテッショウの持っている地図を見る。
「これだろう。数字の形は奴らも同じものを使うのか、助かった」
カチ、カチ、カチカチ
カシャン
「開いたようだな。用心しろ」
俺はその言葉に従い、扉の隙間から部屋の中をのぞく。
部屋の中は薄暗いが、少し周りが見える。
「大丈夫です」
俺たちは注意しながら部屋に入る。
カツン、カツン…
「?!」
あの音だ。
少し前にも聞いたあの音。
人ではなく、雷兵でもない「ナニカ」。
俺の腕に鳥肌が立ち、息が荒くなる。
「トラウマ」というのはこういう事なのだろう。
俺は後ろを振り返る。
テッショウさんと国王は周りを注意して見ている。ブレイブは微動だにしていない。
やはり剣であっても人であっても「恐怖」は記憶に残るのだろう。
記憶に残るといってもただ残るだけではない。
それはその存在を知った瞬間、鳥肌が立ち、息が荒くなる程に残るのだ。
これは「恐れ」などの軽はずみなものではなく、「恐怖」なのだから。
隠れなければ。
俺はそう思った。
いや、思ったのではない。
体がそう言っているのだ。
「本能」というやつだろうか。
とにかく俺はその「本能」に従うことにした。
カツン…カツン…
周りからあの音がしなくなる。
俺は恐れながらも、隠れている棚の隙間から外を見る。
何もいない。
あれ?足が動かない。
体が、動かない…
動け!動け!
「青年!」
「!」
隣に隠れていたブレイブが俺に声をかける。
俺は少しの間放心する。
「大丈夫か?」
「はい、すみません…」
「よし、フィナンシェ王女を救いに行くぞ」
ブレイブは棚からゆっくりと出る。
俺はその姿をただひたすらに追いかけた。