ある世界を救うまで
「私はあいつ…まあお前の先祖が使っていた剣だ。ここまではお前たちも知っているだろう?」
俺とテッショウさんは軽くうなずく。
「私は元々有名な鍛冶屋が作った剣で、呪いの剣と言われていた。お前たち、武精というのを知っているか?」
さっきとは違い、俺とテッショウさんは首を横に振る。
「まあ、そうか。当然だな。今の人間が知っているわけがない。そんなお前たちに私が説明してやろう」
ブレイブはそう言って説明をし始めた。
「武器という物は真心を込めて作れば稀に心が宿ることがある。それが武精だ。私などがそれに該当する。武精というのは武器の精霊という意味だ。武
精が宿った武器は自分の意志で動くことができる。今では伝承がほとんど無いから知らないのは仕方がない」
「成程。だからおぬしは自分の意志で動くことができたのじゃな」
テッショウがブレイブにそう言う。
「そうだ」
ブレイブが答える。
「ブレイブ、じゃあ何でお前を俺の先祖が使ってたんだ?」
俺がブレイブに聞く。
「ああ、それはな…」
ブレイブが何もないところに自身の体を向け、話始める。
「私は呪いの剣と言われていたといったろう?私は使う物がことごとく勝負に負けるためそう言われていたのだ。別に私が弱いというわけではない。誰かも分からない人間に私が力を貸す義理は無いからな。そんなある時、あいつが私の前に現れたのだ。まさに運命だった。あいつはいい剣を探していたらしく、私を作った鍛冶屋に私を勧められたらしい。鍛冶屋としては最低の行動だが、私としてはそれが最高だった。あいつは私を手に取ったとき、まず挨拶をした。私は驚いた。私を使う物に挨拶をされたのは初めての事だったからな。私も挨拶を返した。あいつはとても驚いた。だがその驚きは軽蔑の驚きではなかった。どちらかといえば尊敬の眼差しを私に向けていた。私は最初のうちはあいつに力を貸さなかった。だがあいつは諦めず、何度も私と戦えるように努力した。これは自分のせいなのだと、何度も鍛錬をした。私はそんなあいつに心を開いていった。それからはあっという間だった。私とあいつは助け合って戦った。だからこの国を救うこともできた。しかしどんな事にも別れという物はある。私とあいつがそうだった。あいつは私に別れを告げ、旅立っていった。そこからはお前が現れるまであいつの子孫全員に私は嫌われ続けた。あいつが死んだのはこの呪いの剣のせいだと。私は怒った。私をあいつが死んだ理由にしたやつらを憎み続けた。だがお前とお前の父親は違う。だから私は力を貸してやっているのだ。まあ、お前の父親は私を使いこなせなかったがな」
ブレイブはそう話し終えた。
俺はその姿がどことなく悲しそうに見えた。
俺とテッショウさんは軽くうなずく。
「私は元々有名な鍛冶屋が作った剣で、呪いの剣と言われていた。お前たち、武精というのを知っているか?」
さっきとは違い、俺とテッショウさんは首を横に振る。
「まあ、そうか。当然だな。今の人間が知っているわけがない。そんなお前たちに私が説明してやろう」
ブレイブはそう言って説明をし始めた。
「武器という物は真心を込めて作れば稀に心が宿ることがある。それが武精だ。私などがそれに該当する。武精というのは武器の精霊という意味だ。武
精が宿った武器は自分の意志で動くことができる。今では伝承がほとんど無いから知らないのは仕方がない」
「成程。だからおぬしは自分の意志で動くことができたのじゃな」
テッショウがブレイブにそう言う。
「そうだ」
ブレイブが答える。
「ブレイブ、じゃあ何でお前を俺の先祖が使ってたんだ?」
俺がブレイブに聞く。
「ああ、それはな…」
ブレイブが何もないところに自身の体を向け、話始める。
「私は呪いの剣と言われていたといったろう?私は使う物がことごとく勝負に負けるためそう言われていたのだ。別に私が弱いというわけではない。誰かも分からない人間に私が力を貸す義理は無いからな。そんなある時、あいつが私の前に現れたのだ。まさに運命だった。あいつはいい剣を探していたらしく、私を作った鍛冶屋に私を勧められたらしい。鍛冶屋としては最低の行動だが、私としてはそれが最高だった。あいつは私を手に取ったとき、まず挨拶をした。私は驚いた。私を使う物に挨拶をされたのは初めての事だったからな。私も挨拶を返した。あいつはとても驚いた。だがその驚きは軽蔑の驚きではなかった。どちらかといえば尊敬の眼差しを私に向けていた。私は最初のうちはあいつに力を貸さなかった。だがあいつは諦めず、何度も私と戦えるように努力した。これは自分のせいなのだと、何度も鍛錬をした。私はそんなあいつに心を開いていった。それからはあっという間だった。私とあいつは助け合って戦った。だからこの国を救うこともできた。しかしどんな事にも別れという物はある。私とあいつがそうだった。あいつは私に別れを告げ、旅立っていった。そこからはお前が現れるまであいつの子孫全員に私は嫌われ続けた。あいつが死んだのはこの呪いの剣のせいだと。私は怒った。私をあいつが死んだ理由にしたやつらを憎み続けた。だがお前とお前の父親は違う。だから私は力を貸してやっているのだ。まあ、お前の父親は私を使いこなせなかったがな」
ブレイブはそう話し終えた。
俺はその姿がどことなく悲しそうに見えた。