二次創作
イタチがHUNTER×HUNTERの世界に行ったら。
チラリとゴン達を見て、
シュタッ!パリーン!!
窓を割り、女性を抱えて暗闇の森に逃げ去った――。
「つ、妻を助けてくれ、、!」
男性はそう言うと力なくその場によこたわる。
イタチの行動に皆驚きはするも、状況をすぐに把握し行動に移る。
ゴンは既にあの魔獣を追いかけ
「レオリオ!怪我人を頼む!」
と、クラピカもゴンの後に続く。
「あぁ!まかせろ!!」
レオリオは怪我人の手当てをするようだ。
―――――――――――――――――――――――
「口寄せの術!」
バフンッ!
――カァ、カァ
「……行け」
一羽のカラスをそっと、放った。
――――――――――
イタチはゴンとクラピカの後を追わず、その場に留まった。
レオリオが怪我人の手当てをしているのを視界の端で捉えながら、辺りを見渡していた。
だが――
「(なんだ、この違和感は?)」
イタチは部屋を歩き回りながら辺りを警戒していたが、この散乱している家と怪我人、そして先程の魔獣を見てそう思った。
「……レオリオ、その人の怪我の状態はどうだ?」
「あぁ出血してはいるが、怪我は浅く命に別条はないぜ」
「 っ手当てして下さりありがとうございます!それと、っどうか、妻を!、妻を助けてください!!」
と怪我人はレオリオとイタチに必死に投げかける。
「イタチちゃん、こいつは俺が見てる。だからゴン達を追って、魔獣を捕まえに行ってくれ!」
そう言うレオリオの提案に
「いやそれは無理だ」
と即答するイタチ。
「え、?!何でー!?」
焦るレオリオ。
レオリオがイタチの返答に困惑しつつも、彼女は冷静にこの状況を分析していた。
「……先程の魔獣が一匹とは限らないからだ。それと、こんな状況で怪我人とお前を置いていったら、真っ先に襲われる」
「?襲われるって、、」
どう言う事だ、とレオリオはイタチに疑問を投げかけた。
「…相手から見れば回復役を潰すのが最も効果的だからだ。
私やそこの男性が怪我をした場合、助かる道が……少なくなる……
敵はその方が都合がいい。
――まぁ敵というよりこの場合、痛めつけ食糧にする気なら、怪我した獲物を治されて逃げられるのが嫌だろうからな。そう考えると、
……この場で治療できるのはレオリオ、お前だけだ。君はどうやら医療の心得があるようだからな」
そう言ってイタチは、怪我人の処置後を見て、またレオリオに視線を戻す。
「真っ先に標的になるだろう…… 私が外に出てゴン達を追っている間、魔獣が押し寄せた時、怪我人を守りながらお前は1人で戦えるのか?」
「!」
ふとみせる、鋭いイタチの意見に驚く。
――先程の魔獣に投げた2本のクナイで、この少女の実力が自分の思っている以上にあるのだとレオリオは認めるしかなかった。
そんな彼女が此処から離れ、安静にしていなければならない怪我人と2人きり……
正直、魔獣が押し寄せてきてしまえば、自分は愚か、男性を守り切れる保証はどこにもない。
「……そう言うことか、」
納得せざるを得なかった。
……この前もそうだった、どうやらこの少女は普通ではない者だと益々レオリオは思った。
――そして、その様子を男性がじっと観察していた。
――――――
――――――――――――――――――――
ゴン達は集まっていた。あの魔獣と一緒に。
「声と顔の違いわかるか……?」とレオリオ
「いや、全く……」とクラピカ
「俺とクラピカに殴られて刺し傷がついてるのが旦那さんなんだって!」
「「いや、だからそれはどっちだ……!」」
と心で叫ぶクラピカとレオリオ
「……」
その様子を見ているイタチは静かに目を閉じた。
「改めて自己紹介しよう、我々はナビゲーター。家族でハンター試験のサポートをしている。」
――どうやらハンター試験を受けるのにふさわしい人物を選別していたそうだ。
―――――――――――――――
「クラピカ殿」
「はい」
「あなたは僅かなヒントを見逃さず、見事私達が夫婦でないことを見破りました。このヒントとなる刺青は、この地方に住む女性が生涯独身を通す証として彫るもの。クラピカ殿の博学さが証明された訳です。よって――合格とします。」
「ふぅ〜」
「やったね!!」とクラピカと拳を合わせるゴン
「レオリオ殿」
「あぁ」
「貴方は結局最後まで、イタチ殿が暴くまで私の正体に気づかなかった。しかし、傷の処理は医者以上に早くて的確。そして何より、妻の身を案じるフリをしていた私に対し、ずっと力強い励ましの言葉をかけてくれた。その心の温かさはハンター試験を受験するに値する、よって――合格だ」
「ほ、本当か!?はぁーよかった〜」
「やったね!」
と今度はレオリオに拳を合わせるゴン
「続いてイタチ殿」
「はい」
「貴方の魔獣キリコを仕留める際の迷いのない冷静な判断力と戦闘能力、一手以上先を見据えながらとった行動、洞察力。そして私から真実を聞き出した特殊能力。……語り尽くせないほどありましたが、ハンターを目指す上で他の者と一線を画すると認めざるを得ませんでした。―よって合格だ」
「…手荒な事をした、本当にすまない。」
「なに気にしてません、ちょっと焦りましたが笑」
「俺もビビったぜ!寿命が縮んだよワッハハハ!」
「……本当にすまない」
少し落ち込んでいたイタチにゴンは拳を突き合わせた。
「そして最後にゴン殿」
「はい!」
「お前のそのとてつもなく並外れた運動能力、観察力、ハンター試験を受けるに十分に値する。――合格だ」
そうして全員合格できたのだった。
――月明かりの中、キリコの足に捕まりながら空中を旅したゴン達は試験会場まで行く事となる――
ゴンは夜空を旅しながら皆と話している中、ふと疑問に思っことを聞いた。
「そう言えば、ナビゲーターさんが言ってたイタチの特殊能力って何なの?」
そう、実は皆思っていた疑問だった。
「……あぁ、それは秘密だ。いつか話すよ。」
今はまだ――。
月明かりに照らされた彼女の黒髪が美しい――
ゴン以外皆は見惚れていただろう。
「えぇー!あっ、レオリオやナビゲーターさんは近くにいたから知ってるでしょ!」
「え、あ、あ〜実は俺もよく覚えてなくてなぁー何の事か分からんアハッハ!」
「(……嘘をついてるのバレバレだぞレオリオ)」
とクラピカは心の中でため息をついた。
「あぁ、あれはね、あれだよ――――……あれ?どうだったんだっけ?……すまん凄かった気がするんが……よく思い出せなくて……」
なぜかその部分だけ記憶から抜け落ちてしまった――そうキリコに化けた先程のナビゲーターは思った。
「おいおい、それでいいのか息子よ……」
「えぇ〜!何それ」ゴンは不満そうにした。
「ゴン、女性の秘密にずかずか聞くものじゃないよ」
「ゔ、分かったよ、でもいつかは教えてくれるんだよね!?」
ゴンの目はイタチを真っ直ぐ見ながら言う。
「……あぁ、そのつもりだよ。だから今は許せ、ゴンまた今度だ」
「!うん、……分かった」
ゴン達は会場まで
束の間の空中遊泳を楽しんだ。
そんな中、イタチは先程のことを思い出していた。
「(――そう、本当はこの目(写輪眼)の事は、隠し通すつもりだった。
この世界で私はおそらく異物だろうから。そのせいで彼らを巻き込みたくなかった。けれど――
るぜ、嘘にしては作り込み過ぎてる。まぁ、俺もまだ頭が追いつてねぇーけどよ!それでもイタチちゃん。君はそんなデタラメな嘘をつくような子じゃねぇー」
彼女のまっすぐな瞳を見れば、嘘をつくような子ではないとレオリオには分かっていた。
イタチは驚いていた。怖がられると思ったからだ。それと今まで教えなかったのは――
「……個人の都合で(忍者の世界)……本当は何も知らぬ一般人を巻き込みたくなかった。危険な目に遭うかもしれないからな。」
それにと続けた。
「私はこの世界において異質なものなのだろう。正直、一度死んだこの身に関してまだ分からぬことが多いのが現状だ……素性を隠しながら今後の活動をする方がやりやすい。
……できるなら能力は使いたくない、と言いたいところだが、、そんな甘い事は言ってられんようだ。ただでさえこの世界をひとりで行動するのに不利な点が多いからな。……共に協力してくれる仲間が必要だと考えた」
「なぜ俺に話した」
「……数日間ではあったが、私は……君を、君達を信頼のおける人間だと判断したからだ。
だから素性を話すことができる。……できるなら少しでも協力してほしい」
「この俺にか?」
「あぁ、この世界に……私の本当の素性を知っているのは今現在君と、――そこのナビゲーターくらいだからな」
ビクッと存在感のなかったナビゲーターが反応した。
だが関係なく話は続く……
「……アイツら、……ゴン達にはまだ言ってないんだな?」
「あぁ……彼らには時が来たら話すつもりでいる」
「そうか……」
「だから、レオリオ。引き返すのなら今だ、
決断して欲しい。
……今なら私の瞳術で君の記憶から先程見せた記憶を無かった事にできるし、何事もなく普通の生活に戻れる。
……よく分かりもしない者の、危険な事に巻き込まれるリスクはなくなる。
だから、改めてもう一度聞く、私の事が怖くないか?」
イタチの瞳は
レオリオのそばにいる悪魔はそう囁やいた。
「(……『怖くないか?』か……)」
――怖くないと言えば嘘になる。正直俺はビビった…
たがよ……
「(それはこいつも同じじゃねぇーのか?)」
そう自分に問いかけた。
……何も知らぬ土地に1人で放りだされた彼女。仲間もおらず、元いた土地では死んだはずだったと言う。……その後語った内容はあまりにも濃かった。
悩んでいる中、伏せていた顔をもう一度上げて彼女を眺める。
――淡々と語った彼女の表情に変化はない。ないが……
―恐らくこの問いは、彼女なりの優しさなのだろう……そうレオリオは思った。
――金さえあれば助けてやれた、かつての友達――
この少女、あの時と理由は違うが助けを求めている。
――俺はもうダチを……ダチだと認めかけているやつを……――理不尽な理由で助けられなかったあの時のように、見殺しにしたくねぇ――
レオリオのその思いは、彼の過去の記憶――ハンターを目指す理由と重なる部分があった
――――――――――――――――――――――
「……何度も言わせんな怖くねえ。そりゃぁ暗殺とか、忍びとか、一族とか……驚いたけどよ。……だがなイタチちゃん君、優しい子だよ。――そうやって勇気を持って俺たちに伝えようとしてるところが。……気づいてるか?本当に相手を思ってないと全部伝えようなんて思わないぜ。どうでもいい、関係ないと思ってる人間なら黙ってる」
彼女は選択肢を与えてくれている。伝えてくれたことで、その後こちらがどうしたいか、意思を尊重してくれている。
「それでも、俺に全部話してくれたんだろ、だから……優しいぜ」
「!」
レオリオはイタチの目を見返してはっきりと言った。
「……レオリオ、ありがとう信じてくれて。
それとすまない。私の勝手な判断で、君を危険に巻き込んでしまうリスクを背負わせてしまった事を」
「もう謝罪はよせ!俺は嬉しいぜ!イタチちゃんが自分から秘密を教えてくれた事!それに危険かどうかなんてまだ分からないだろ?そうなったら、なるようになれだ。……だから今の記憶は絶対消すなよ」
「……あぁ」
「それと、……アイツらなら例えイタチちゃんが何処の何者でも受け入れると思うぜ、……困ってるダチ助けるの当たり前だからよ」
――どうやら私の目は、まだ光をとらえる事ができるようだ――
レオリオの言う通り、彼らなら受け入れてくれる。そんな気はしていた。――それでも
目頭が熱くなるのを感じながら、目を伏せた。
「……この事は私から彼らに伝えたい。だから……」
「わかってる、いわねぇよ。誰にもな……。」
「それと、『イタチちゃん』はやめてくれ……その、恥ずかしい」
「え?」
「……呼び捨てでいい」
「ぷっ、ワッハは!分かったぜ、今後もよろしくなイタチ!」
「フッこちらこそ改めてよろしく頼む、レオリオ」
すると、ずっと黙っている怪我人のふりをしていた方(ナビゲーター)に振り向き、イタチが言った。
「(あ、そうだ!こいつもいたんだった〜)」とレオリオは思い出した。完全に忘れていたのだ
「……すまないが、君の記憶は消させてもらう」
ナビゲーターは、それが分かっていたかのように頷いた。
「あぁ……どうやら私は、今、とてつもなく重要なことを君達から盗み聞いてしまったらしいからな」
そしてイタチはナビゲーターに近寄り、記憶の一部を消して、真実を暴いたところは『特殊能力』とする事で、ゴン達が興味を引くように仕向けたのだった――
外の向こうでゴンとクラピカ、魔獣がやってくる。どうやら選別は終わったようだ……。
――――――――――――――――――
空中遊泳に戻る――
なかなかいい果実になってくれそうな者はいる。
あの丸坊主の自己主張強めの忍者や、銀髪猫目の少年なんか、いい。 その他etc.……
でも……
「……はぁ(まだまだ青い♠︎)」
――だからだろうか、ヒソカ自身も気づかぬ間に退屈さと苛立ちが募っていたのだろう。――
――ドンッ
「チッ、いってーな……」
「……」
受験生がヒソカの肩にぶつかってきた。ぶつかってきたのは相手にも関わらず、何も言わずに彼の横を過ぎ去ろうとしていた。
「……人にぶつかったら、まず謝罪するだろう?」
そうヒソカがつぶやいた――。
彼はぶつかった受験生の両腕を、消すくらいには苛立っていた
――――――――――――
「っうわぁぁぁあーー!!!」
男の悲鳴で皆がそちらに注目する。
「あーら不思議、腕が花びらとなって消えちゃった、タネも仕掛けもございません。気をつけようネ。人にぶつかったら謝らなくちゃ♣︎」
周りはそんなヒソカを危険人物と判断し、誰も目線を合わせない。
―――道化師(悪魔)がトランプ片手に暇を持て余す――
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