喧嘩道
「おぉ…。」
俺は壁を超えた先のその先の景色に思わず声を漏らしてしまう。
そこには俺の腰まで伸びた草が無尽蔵に広がっていた。
数年放置されていたのだ。
当たり前と言えば当たり前だろう。
「こんな草生えてたら入口見つけるのにも一苦労でしょうねぇ。」
修一は隣で自分に絡まる草を薙ぎ倒そうとしながらそう言う。
確かにこんなに生い茂ってたら視界のほとんどが緑に支配されるので入口を見つけるのにも一苦労…
「あったぞ。」
1人で先に進んでいた蓮太郎がそう言い、俺たちを手招く。
どうやらもう入口を見つけたらしい。
「あいつ有能すぎだろ…。」
雄一郎が思わずそう声を漏らしている。
「あとは身長さえあれば爆モテ…」
そう何か言っている涼平の顔の真横スレスレに石が通過する。
「何か言ったか?」
蓮太郎は笑顔でこちらを向いているが、目は笑っていないうえに、片手には大きめの石が握られていた。
丁度、先程の石と同じくらいに大きさの石が。
「何も無いです…。」
そう涼平は小さく縮こまりながら言う。
その様子は何とも情け無かった。
「ならいいけど。」
そう言うと蓮太郎は入口の扉を開ける作業に戻る。
蓮太郎は小柄であり、そのことでイジられる事を極端に嫌っていた。
今回キレたのは涼平が「身長」というワードを出したからだろう。
身長イジる涼平が悪いとは思うが、それでもやり過ぎなのでは無いかと思ってしまう。
「そんなんで開かねぇだろ?」
龍心がそう蓮太郎に問いかける。
蓮太郎は鍵穴に何かをを差し込んでガチャガチャしている。
どうやら小枝の様だ。
確かに龍心の言う通り、こんなもので開くとは思えない。
「もうちょいだ…。」
だが何故か開けられる確信があるのか、蓮太郎は小枝を持つ左手を動かし続ける。
止めようとは思っても、他の開け方が思いつかない為、皆黙って見守るしか無かった。
「ぶっ壊しちまえばいいんじゃねぇの?」
陽汰がそんな物騒な事を言い出す。
「んな事してバレたらどうなると思ってんだよ…。」
俺は溜息混じりにそう言う。
「じゃあバレない様に割る。」
陽汰は自信満々にそう言う。
「あのなぁ…。」
言葉をかけようとするも、こいつのあまりの能天気さに、何もぶつける言葉を見つける事ができなかった。
「おし。」と言う蓮太郎の声と共に「ガチャ」という何かの解錠音が聞こえた。
どうやら扉の鍵を開ける事に成功したらしい。
「蓮太郎…。お前は何でそんな有能なんだよ…。」
涼平は悲しそうにそう言う。
蓮太郎は照れる様子も無く、額の汗を腕で拭った。
「お前も少しは見習えよ。」
陽汰にそう言うが、俺の話が聞こえないフリをしているのか、本当に聞こえていないのかはわからないが、無視してズシズシと校舎の中に入って行く。
もう溜息すら出なくなってきた。
絡まる草を足で蹴り飛ばしながら前に進み、俺も校舎の中に入る。
中は案外綺麗で、外の景色からは想像できないものとなっていた。
「この中に居んのか?鍵も掛かってたしやっぱり嘘だったんじゃねぇの?」
俺のすぐ後に入ってきた雄一郎がそう聞いてくる。
「入ってから鍵を閉めた可能性もあんだろ。」
龍心はそう言い、雄一郎の意見を否定する。
何か言い返したそうに見えたが、言葉が無かったのかそのまま黙り込んでしまった。
「まぁ、実際に四階まで行ってみないとわかんねぇ…」
俺がそう言おうとした瞬間、扉がもの凄い勢いで閉まってしまった。
一番最後に入って来た蓮太郎は咄嗟に扉を開けようと試みるが、向こう側に何か重い物が置かれているのか、押そうにも押せない。
「やられたか…。」
蓮太郎は苦虫を噛み潰した様な顔でそう言う。
どうやら、誰かが何らかの意図を持って俺達を此処に閉じ込めたようだ。
だが、俺達はもう既にその人物が誰かを知っている。
その人物は香恋を誘拐した犯人で間違い無いだろう。
「前言撤回だ。此処に居る。」
そう雄一郎は臨戦体制を取っている。
だが、誰も出てくる気配は無い。
「取り敢えず進んでみるか。」
そう言った蓮太郎を先頭に俺達は目に前にあった階段を慎重に登っていく。
だが、いつまで経っても人が居る気配がしない。
遂に四階まで来たが、まだ人の気配がしなかった。
「油断するなよ。」
自分に言い聞かせたつもりだったのだが、声に出ていてしまっていた様だ。
俺のその言葉に全員が首を縦に振る。
先頭が先程とは変わって蓮太郎から俺になる。
音を立てない様に廊下を歩き、教室を一つ一つ確認していく。
だがやはり居ない。
それでも、皆の緊張は解けていない。
そして四階最後の教室に来る。
そこだけ他の教室とは少し様子が違った。
俺は覚悟を決めて、皆んなの顔を見る。
もう覚悟はできている様だ。
俺は覗こうと腰を上げた。
俺は壁を超えた先のその先の景色に思わず声を漏らしてしまう。
そこには俺の腰まで伸びた草が無尽蔵に広がっていた。
数年放置されていたのだ。
当たり前と言えば当たり前だろう。
「こんな草生えてたら入口見つけるのにも一苦労でしょうねぇ。」
修一は隣で自分に絡まる草を薙ぎ倒そうとしながらそう言う。
確かにこんなに生い茂ってたら視界のほとんどが緑に支配されるので入口を見つけるのにも一苦労…
「あったぞ。」
1人で先に進んでいた蓮太郎がそう言い、俺たちを手招く。
どうやらもう入口を見つけたらしい。
「あいつ有能すぎだろ…。」
雄一郎が思わずそう声を漏らしている。
「あとは身長さえあれば爆モテ…」
そう何か言っている涼平の顔の真横スレスレに石が通過する。
「何か言ったか?」
蓮太郎は笑顔でこちらを向いているが、目は笑っていないうえに、片手には大きめの石が握られていた。
丁度、先程の石と同じくらいに大きさの石が。
「何も無いです…。」
そう涼平は小さく縮こまりながら言う。
その様子は何とも情け無かった。
「ならいいけど。」
そう言うと蓮太郎は入口の扉を開ける作業に戻る。
蓮太郎は小柄であり、そのことでイジられる事を極端に嫌っていた。
今回キレたのは涼平が「身長」というワードを出したからだろう。
身長イジる涼平が悪いとは思うが、それでもやり過ぎなのでは無いかと思ってしまう。
「そんなんで開かねぇだろ?」
龍心がそう蓮太郎に問いかける。
蓮太郎は鍵穴に何かをを差し込んでガチャガチャしている。
どうやら小枝の様だ。
確かに龍心の言う通り、こんなもので開くとは思えない。
「もうちょいだ…。」
だが何故か開けられる確信があるのか、蓮太郎は小枝を持つ左手を動かし続ける。
止めようとは思っても、他の開け方が思いつかない為、皆黙って見守るしか無かった。
「ぶっ壊しちまえばいいんじゃねぇの?」
陽汰がそんな物騒な事を言い出す。
「んな事してバレたらどうなると思ってんだよ…。」
俺は溜息混じりにそう言う。
「じゃあバレない様に割る。」
陽汰は自信満々にそう言う。
「あのなぁ…。」
言葉をかけようとするも、こいつのあまりの能天気さに、何もぶつける言葉を見つける事ができなかった。
「おし。」と言う蓮太郎の声と共に「ガチャ」という何かの解錠音が聞こえた。
どうやら扉の鍵を開ける事に成功したらしい。
「蓮太郎…。お前は何でそんな有能なんだよ…。」
涼平は悲しそうにそう言う。
蓮太郎は照れる様子も無く、額の汗を腕で拭った。
「お前も少しは見習えよ。」
陽汰にそう言うが、俺の話が聞こえないフリをしているのか、本当に聞こえていないのかはわからないが、無視してズシズシと校舎の中に入って行く。
もう溜息すら出なくなってきた。
絡まる草を足で蹴り飛ばしながら前に進み、俺も校舎の中に入る。
中は案外綺麗で、外の景色からは想像できないものとなっていた。
「この中に居んのか?鍵も掛かってたしやっぱり嘘だったんじゃねぇの?」
俺のすぐ後に入ってきた雄一郎がそう聞いてくる。
「入ってから鍵を閉めた可能性もあんだろ。」
龍心はそう言い、雄一郎の意見を否定する。
何か言い返したそうに見えたが、言葉が無かったのかそのまま黙り込んでしまった。
「まぁ、実際に四階まで行ってみないとわかんねぇ…」
俺がそう言おうとした瞬間、扉がもの凄い勢いで閉まってしまった。
一番最後に入って来た蓮太郎は咄嗟に扉を開けようと試みるが、向こう側に何か重い物が置かれているのか、押そうにも押せない。
「やられたか…。」
蓮太郎は苦虫を噛み潰した様な顔でそう言う。
どうやら、誰かが何らかの意図を持って俺達を此処に閉じ込めたようだ。
だが、俺達はもう既にその人物が誰かを知っている。
その人物は香恋を誘拐した犯人で間違い無いだろう。
「前言撤回だ。此処に居る。」
そう雄一郎は臨戦体制を取っている。
だが、誰も出てくる気配は無い。
「取り敢えず進んでみるか。」
そう言った蓮太郎を先頭に俺達は目に前にあった階段を慎重に登っていく。
だが、いつまで経っても人が居る気配がしない。
遂に四階まで来たが、まだ人の気配がしなかった。
「油断するなよ。」
自分に言い聞かせたつもりだったのだが、声に出ていてしまっていた様だ。
俺のその言葉に全員が首を縦に振る。
先頭が先程とは変わって蓮太郎から俺になる。
音を立てない様に廊下を歩き、教室を一つ一つ確認していく。
だがやはり居ない。
それでも、皆の緊張は解けていない。
そして四階最後の教室に来る。
そこだけ他の教室とは少し様子が違った。
俺は覚悟を決めて、皆んなの顔を見る。
もう覚悟はできている様だ。
俺は覗こうと腰を上げた。