喧嘩道
「ところで、本当にそんな所に居るんですかぃ?」
例の廃校まで向かっている途中、半分くらい行ったところだろうか。
修一が突然そう訊ねてくる。
「わからん。でも、何もしねぇよりはマシだろ?」
俺がそう答えると、修一は納得した様に「それはそうですねぇ。」とだけ言った。
「だがまぁ、居ない事覚悟だろうな。」
その言葉に、俺は首を縦に振る。
龍心の言う通り俺もそこに香恋が居ない事は覚悟していた。
相手は顔も見た事が無いうえに、相手は香恋を誘拐している。
そんな奴の言葉なんて到底信用に値しないが、それ以外手掛かりがない故に信じるしか無いが、本当の事を言っている様には感じれなかった。
もしそこに居なかった時は、手当たり次第探すつもりだ。
香恋がよく行く場所、その中で治安が悪いところと言えば…
「そろそろじゃねぇか?」
俺の脳の回転を遮る様にそう蓮太郎が言った。
思っていたよりも早く着きそうで、心の準備ができていなかった俺は心拍数が上がる。
香恋がここに居るかもしれないという期待か、それを疑う緊張か、どちらかはわからない。
だが、その異常な心拍数とは裏腹に、俺は思いの外冷静だった。
「てかそもそも香恋は何で誘拐されたんだろうな?」
そう涼平が他人事の様に言う。
確かに、こいつからすれば他人事なのだろうが。
「んな事俺が聞きてぇよ…。」
何故、こいつは俺が知っていると思ったのだろうか。
あまりの能天気さに俺は少し苛立ちを覚える。
それに加え、自分が聞いてきたのにも関わらず「あっそ。」と適当な返事をしてきたので、俺は思わず殴りかかりそうになってしまうが何とか堪える。
今の敵はこいつでは無く、香恋を誘拐した奴だからだ。
「着いたが…、どうやって入るかだな…。」
目的地を目の前にして雄一郎がそう呟く。
廃校は入れそうな所は無いうえに、周りは高い塀に囲われていた。
「ここは…」
俺はそう言い、開かないとはわかっているが、正門に手を掛けて開けてそこから入ろうとする。
だがやはり、そこには鍵が掛かっているおり、それに加えて門自体が錆びてしまっている為、重くて到底開けれそうに無い。
「俺に任せろ。」
そう言って陽汰が門に手を掛ける。
「フンッ!!」
そう鼻から息を漏らして、陽汰は腕に力を入れた。
こいつの馬鹿力ならもしかしたら、と俺は期待をするが、案の定門が開く事は無かった。
それどころか、ピクリとも動かない。
「これは困りましたねぇ。」
修一もお手上げといった様子で両手を上に挙げてひらひらさせている。
「ここなら乗り越えられるんじゃねぇか?」
蓮太郎のそう言う声が聞こえる。
俺達正門開けに苦戦している間に、蓮太郎塀の端まで移動していた。
そこに行くと、そこだけ塀が少し低くなっており、蓮太郎が言う様に簡単に乗り越えれそうになっていた。
「よくこんな所見つけたな。」
「まぁな。」
龍心に褒められて、蓮太郎は上機嫌になっている。
そんな様子を見て俺は思わず笑いを漏らしてしまうが、誰にも気付かれ無かった様だ。
「よっ。」
そうこうしている間に、雄一郎が早速塀を乗り越えて中に侵入している。
「あ、おい!抜け駆けはずりぃぞ!」
そう言い涼平も吹き飛ぶ様に、塀の向こう側に飛び込んだ。
「行くか。」
「あぁ。」
そう言い、俺達も追いかける様にして塀を飛び越えたのだった。
例の廃校まで向かっている途中、半分くらい行ったところだろうか。
修一が突然そう訊ねてくる。
「わからん。でも、何もしねぇよりはマシだろ?」
俺がそう答えると、修一は納得した様に「それはそうですねぇ。」とだけ言った。
「だがまぁ、居ない事覚悟だろうな。」
その言葉に、俺は首を縦に振る。
龍心の言う通り俺もそこに香恋が居ない事は覚悟していた。
相手は顔も見た事が無いうえに、相手は香恋を誘拐している。
そんな奴の言葉なんて到底信用に値しないが、それ以外手掛かりがない故に信じるしか無いが、本当の事を言っている様には感じれなかった。
もしそこに居なかった時は、手当たり次第探すつもりだ。
香恋がよく行く場所、その中で治安が悪いところと言えば…
「そろそろじゃねぇか?」
俺の脳の回転を遮る様にそう蓮太郎が言った。
思っていたよりも早く着きそうで、心の準備ができていなかった俺は心拍数が上がる。
香恋がここに居るかもしれないという期待か、それを疑う緊張か、どちらかはわからない。
だが、その異常な心拍数とは裏腹に、俺は思いの外冷静だった。
「てかそもそも香恋は何で誘拐されたんだろうな?」
そう涼平が他人事の様に言う。
確かに、こいつからすれば他人事なのだろうが。
「んな事俺が聞きてぇよ…。」
何故、こいつは俺が知っていると思ったのだろうか。
あまりの能天気さに俺は少し苛立ちを覚える。
それに加え、自分が聞いてきたのにも関わらず「あっそ。」と適当な返事をしてきたので、俺は思わず殴りかかりそうになってしまうが何とか堪える。
今の敵はこいつでは無く、香恋を誘拐した奴だからだ。
「着いたが…、どうやって入るかだな…。」
目的地を目の前にして雄一郎がそう呟く。
廃校は入れそうな所は無いうえに、周りは高い塀に囲われていた。
「ここは…」
俺はそう言い、開かないとはわかっているが、正門に手を掛けて開けてそこから入ろうとする。
だがやはり、そこには鍵が掛かっているおり、それに加えて門自体が錆びてしまっている為、重くて到底開けれそうに無い。
「俺に任せろ。」
そう言って陽汰が門に手を掛ける。
「フンッ!!」
そう鼻から息を漏らして、陽汰は腕に力を入れた。
こいつの馬鹿力ならもしかしたら、と俺は期待をするが、案の定門が開く事は無かった。
それどころか、ピクリとも動かない。
「これは困りましたねぇ。」
修一もお手上げといった様子で両手を上に挙げてひらひらさせている。
「ここなら乗り越えられるんじゃねぇか?」
蓮太郎のそう言う声が聞こえる。
俺達正門開けに苦戦している間に、蓮太郎塀の端まで移動していた。
そこに行くと、そこだけ塀が少し低くなっており、蓮太郎が言う様に簡単に乗り越えれそうになっていた。
「よくこんな所見つけたな。」
「まぁな。」
龍心に褒められて、蓮太郎は上機嫌になっている。
そんな様子を見て俺は思わず笑いを漏らしてしまうが、誰にも気付かれ無かった様だ。
「よっ。」
そうこうしている間に、雄一郎が早速塀を乗り越えて中に侵入している。
「あ、おい!抜け駆けはずりぃぞ!」
そう言い涼平も吹き飛ぶ様に、塀の向こう側に飛び込んだ。
「行くか。」
「あぁ。」
そう言い、俺達も追いかける様にして塀を飛び越えたのだった。