喧嘩道
「ストラーイク。はい、ちゃんと約束通りアイス奢ってくだせぇよ?」
終一はそう雄一郎に向かって言う。
ボーリング場に着くと、誕生日だからと言う事で、俺の分を皆んなが分割して出してくれると言う事になった。
いい、と遠慮したのだが、数の差で押し負けてしまった。
まぁこちらとしてはありがたい限りなのだが。
「クソッ!次はラーメン賭けてだ!」
「いいですぜ。」
2人は今、賭けボーリングをしている最中だった。
このゲームは涼平が提案したもので、ストライクを先に取った方の勝ちというゲームで、負けた方が勝った方に何かを奢るというものだった。
ちなみに提案した涼平はボーリングが大の苦手でもうすでにラーメン二杯の奢りが確定していた。
「俺らもやろうぜ。」
そう龍心が言ってくる。
ここで逃げるのは男の恥だ。
「いいぜ。何賭ける?」
「和翔が可哀想だからジュース一本にしといてやるよ。」
そう余裕を全開で龍心は言う。
この勝負だけは必ず勝つと俺は決意し、ボーリング玉に指を突っ込んだその時だった。
ポケットに入れていたスマホが振動し出した。
香恋からの着信だった。
「すまん電話だ。」
そう言い俺はボーリング玉から指を抜き、一度外に出てから出ようと出口を探し始める。
「逃げんなよー。」
背後でそう言う龍心の声が聞こえるが、俺は無視して外に出た。
そして一度大きく咳払いをしてから電話に出る。
「もしもし、どうした?」
そう電話越しの香恋に問いかけた。
だが、少し待っても返事は無い。
「もしもーし、聞こえるか?」
回線が悪かったのかと思い、場所を変えて俺はもう一度問いかけた。
だがやはり返事は無い。
一度切ってかけ直そうとしたその時だった。
『助けて…。』
電話越しから掠れた声で助けを求める香恋の声が聞こえた。
聞き間違いなどでは無い。
しっかりと、聞こえたのだ。
「大丈夫か!?何があった!!」
そう大声で香恋に問いかける。
『こんにちは。前澤君。』
「ッ…!?」
電話越しの声は急に切り替わる。
ボイスチェンジャーを使っているのか、機械音に近いものを感じる。
「お前は誰だ!!香恋は無事なのか!?」
俺はそう怒りを全開にした声で聞く。
『怖い怖い、そんな怒らないでよ。』
そう軽く受け流される。
「質問に答えろ!!香恋は無事なのか!?」
『君にとってこの娘は相当大事な様だね。一体この娘とはどういう関係なんだい?』
またしてもそう話をはぐらかされる。
「話を逸らすな!!早く答えろ!!」
我慢できずに怒りを爆発させてしまった。
『知りたければここの廃校舎に来い。そうすれば教えてやろう。』
香恋のメールから一つの住所が送られてくる。
そこは、今はもう使われていない廃校だった。
「その言葉、本当か?」
そう電話越しの相手に問いかける。
『僕は嘘が嫌いなんだ。ここの4階で待ってるよ。じゃあ。』
「あ、ちょ。」
そう一方的に電話を切られてしまった。
かけ直そうと試みたが、何者かの手にある香恋のスマホには繋がる訳も無かった。
すぐに飲み込める話じゃ無い、だが、香恋が何者かに誘拐されている事は事実だった。
(助けに行くしかねぇ…!)
そう決心し、俺はもう一度先程の住所を確認した。
走れば10分で着く距離だ。
皆んなには悪いが、こちらに向かわせてもらう事にする。
そう走り出そうとした時だった。
「うっ…!?」
喉に何かが引っかかり、思わず止まってしまう。
それは自分の服だった。
何者かに引っ張られている事に気が付き俺は背後を振り返る。
「どこ行こうとしてんだよ。」
そこには皆んなが立っていた。
「いつから…」
「ずっとだよ。そんな事より、そこ、俺らも連れてけよ。」
蓮太郎が俺に向かってそう言う。
「連れてけって…、何しに行くかわかってんのかよ。」
俺はそう訊ねる。
「おおかた、彼女さんの奪還戦とかいうところだろ。」
龍心はそう言い当ててくる。
「聞こえてたのか…。あと彼女じゃねぇって。」
「今はそんな事どうでもいいだろ。早く向かうぞ。」
そう陽汰は言う。
「場所も聞こえてたのかよ…。」
離れた意味がなかった事に俺は気付かされた。
「ここら辺で廃校と言えばあそこしかありませんからねぇ。」
終一がそう言う。
「本当に来てくれるのか?これは俺の問題だし…」
俺はそう皆んなに訊ねる。
「ゴチャゴチャうるせぇよ。当たり前だろ。」
そう答えた龍心を筆頭に他の皆んなも次々と首を縦に振り始めた。
「…ありがとう。」
俺はそう感謝を伝えると急いでそこに向かった。
終一はそう雄一郎に向かって言う。
ボーリング場に着くと、誕生日だからと言う事で、俺の分を皆んなが分割して出してくれると言う事になった。
いい、と遠慮したのだが、数の差で押し負けてしまった。
まぁこちらとしてはありがたい限りなのだが。
「クソッ!次はラーメン賭けてだ!」
「いいですぜ。」
2人は今、賭けボーリングをしている最中だった。
このゲームは涼平が提案したもので、ストライクを先に取った方の勝ちというゲームで、負けた方が勝った方に何かを奢るというものだった。
ちなみに提案した涼平はボーリングが大の苦手でもうすでにラーメン二杯の奢りが確定していた。
「俺らもやろうぜ。」
そう龍心が言ってくる。
ここで逃げるのは男の恥だ。
「いいぜ。何賭ける?」
「和翔が可哀想だからジュース一本にしといてやるよ。」
そう余裕を全開で龍心は言う。
この勝負だけは必ず勝つと俺は決意し、ボーリング玉に指を突っ込んだその時だった。
ポケットに入れていたスマホが振動し出した。
香恋からの着信だった。
「すまん電話だ。」
そう言い俺はボーリング玉から指を抜き、一度外に出てから出ようと出口を探し始める。
「逃げんなよー。」
背後でそう言う龍心の声が聞こえるが、俺は無視して外に出た。
そして一度大きく咳払いをしてから電話に出る。
「もしもし、どうした?」
そう電話越しの香恋に問いかけた。
だが、少し待っても返事は無い。
「もしもーし、聞こえるか?」
回線が悪かったのかと思い、場所を変えて俺はもう一度問いかけた。
だがやはり返事は無い。
一度切ってかけ直そうとしたその時だった。
『助けて…。』
電話越しから掠れた声で助けを求める香恋の声が聞こえた。
聞き間違いなどでは無い。
しっかりと、聞こえたのだ。
「大丈夫か!?何があった!!」
そう大声で香恋に問いかける。
『こんにちは。前澤君。』
「ッ…!?」
電話越しの声は急に切り替わる。
ボイスチェンジャーを使っているのか、機械音に近いものを感じる。
「お前は誰だ!!香恋は無事なのか!?」
俺はそう怒りを全開にした声で聞く。
『怖い怖い、そんな怒らないでよ。』
そう軽く受け流される。
「質問に答えろ!!香恋は無事なのか!?」
『君にとってこの娘は相当大事な様だね。一体この娘とはどういう関係なんだい?』
またしてもそう話をはぐらかされる。
「話を逸らすな!!早く答えろ!!」
我慢できずに怒りを爆発させてしまった。
『知りたければここの廃校舎に来い。そうすれば教えてやろう。』
香恋のメールから一つの住所が送られてくる。
そこは、今はもう使われていない廃校だった。
「その言葉、本当か?」
そう電話越しの相手に問いかける。
『僕は嘘が嫌いなんだ。ここの4階で待ってるよ。じゃあ。』
「あ、ちょ。」
そう一方的に電話を切られてしまった。
かけ直そうと試みたが、何者かの手にある香恋のスマホには繋がる訳も無かった。
すぐに飲み込める話じゃ無い、だが、香恋が何者かに誘拐されている事は事実だった。
(助けに行くしかねぇ…!)
そう決心し、俺はもう一度先程の住所を確認した。
走れば10分で着く距離だ。
皆んなには悪いが、こちらに向かわせてもらう事にする。
そう走り出そうとした時だった。
「うっ…!?」
喉に何かが引っかかり、思わず止まってしまう。
それは自分の服だった。
何者かに引っ張られている事に気が付き俺は背後を振り返る。
「どこ行こうとしてんだよ。」
そこには皆んなが立っていた。
「いつから…」
「ずっとだよ。そんな事より、そこ、俺らも連れてけよ。」
蓮太郎が俺に向かってそう言う。
「連れてけって…、何しに行くかわかってんのかよ。」
俺はそう訊ねる。
「おおかた、彼女さんの奪還戦とかいうところだろ。」
龍心はそう言い当ててくる。
「聞こえてたのか…。あと彼女じゃねぇって。」
「今はそんな事どうでもいいだろ。早く向かうぞ。」
そう陽汰は言う。
「場所も聞こえてたのかよ…。」
離れた意味がなかった事に俺は気付かされた。
「ここら辺で廃校と言えばあそこしかありませんからねぇ。」
終一がそう言う。
「本当に来てくれるのか?これは俺の問題だし…」
俺はそう皆んなに訊ねる。
「ゴチャゴチャうるせぇよ。当たり前だろ。」
そう答えた龍心を筆頭に他の皆んなも次々と首を縦に振り始めた。
「…ありがとう。」
俺はそう感謝を伝えると急いでそこに向かった。