喧嘩道
「んあー…。」
俺は家に着くや否や、すぐに体をベットに横たえる。
何かしてきた訳でも無いが、目を閉じるとすぐ寝てしまいそうになる。
「駄目だ駄目だ。」
そう暗示の様に自分に言い聞かせ、重い体を持ち上げて遊びに行く用意の準備を始める。
金はまだ今月は一度も使っていないので余裕がある。
貯金箱から五千円札を取り出し、財布の中に入れる。
話し合いの結果、すぐそこのボウリング場に行こうという事になった。
良心的な値段の店だ。
これだけあれば十分だろう。
そう考えながら制服を脱ぎ捨て、私服を取りに自分の部屋に向かう。
自分の部屋といっても、俺以外住んでいないのだから、一応全て自分の部屋という事になる。
少し虚しくなるが、もう慣れっこだ。
時間というのは恐ろしいものだ。
もう何とも思わなくなってしまって来ている。
そうこう考えながら着替え終え、準備がもう終わってしまった。
スマホで時間を確認するが、集合時間まで30分とまだ余裕がある。
特にする事が無いので、寝ようかと思ったが、絶対に起きれないというのがわかりきっている為、辞めておく。
通知が山ほど溜まっているのに気付き、一通り目を通そうとスクロールする。
「あ。」
一つの通知が目に留まり、指を止める。
[漢字]香恋[/漢字][ふりがな]かれん[/ふりがな]からのメールの通知だった。
香恋とはただの幼馴染で…と言えば嘘になってしまう。
幼馴染兼俺の片想い中の相手だ。
いつからかはわからないが、気付けば彼女に夢中になってしまっていた。
向こうも10年近く一緒にいるのだから何も思っていないという事は無いと…
「何考えてんだ、俺…。」
恥ずかしくなって思わず床にしゃがみ込んでしまう。
顔は真っ赤になってしまっているのか、顔全体が熱い。
「じゃ無くて通知…。」
我に返った俺は本来の目的を思い出した。
通知を開くとそこには「今日遊べる?」という一文だけが送られて来ていた。
本当は「遊べる」と返したいところだが、終一達との約束を破るわけにはいかない。
丁寧な言葉で断り、また誘ってくれという文章も送り返した。
するとすぐに親指を立てた猫の可愛らしいスタンプが送り返されて来た。
会話を終わらせたく無かったので、どうにか返せるスタンプは無いかと探していたところ、家のインターホンが鳴った。
「はいはーい。」
誰だよ、と思いながらも俺は玄関に向かう。
ドアスコープを覗くとそこには陽汰が立っていた。
まだ集合時間の20分も手前だというのに、こいつはもう来たのかと驚く。
「早く行こーぜー。」
陽汰がドア越しに俺を急かす。
「はいはい。」
そう返事をして準備していた鞄を肩に掛け、扉を開ける。
その瞬間、発砲音の様な音が辺りに響き渡り、思わず耳を塞ぐ。
そして視界には輝く紙の様な物が映った。
その音の正体はクラッカーだった。
「誕生日おめでと!!」
そう龍心が俺に言って来る。
一瞬、何の事かわからず硬直してしまったが、すぐに自分の誕生日が今日だったという事に気が付いた。
「もしかそて、自分の誕生日忘れてたんですかぃ?」
そう終一が図星を突いてくる。
「んな訳ねぇだろ。爺じゃねぇんだから。」
何故かそれに対抗心が芽生えた俺は思わず言い返してしまったが、実際のところ完全に忘れていた。
「そうだよ。和翔はお前みたいに記憶力鳥じゃねぇからな。」
雄一郎は俺を庇ったのか単純に終一を煽りたかったのかはわからないが、そう言った。
「自己紹介は辞めてくだせぇよ。もう皆知ってますって。」
終一もそう煽り返しまたもや喧嘩に発展しそうになる。
「折角の和翔の誕生日だぜ?そんな日にまで喧嘩すんなって。」
そう焼けた小柄な男、[漢字]清水蓮太郎[/漢字][ふりがな]しみずれんたろう[/ふりがな]が終一と雄一郎の言い争いを仲裁する。
「そうだぜ。鳥同士争うなって。」
蓮太郎の一言で鎮火しかけた炎に油を注ぐ余計な男、[漢字]四宮涼平[/漢字][ふりがな]しのみやりょうへい[/ふりがな]がそう一気に2人を煽る。
これにより、2人の怒りは完全いに復活してしまった。
だが、不幸中の幸いなのはその怒りが全て涼平に向いた事だ。
「涼平君、どういう事?」
「ちょっと[漢字]面[/漢字][ふりがな]ツラ[/ふりがな]貸せよ。」
「え、いやその…。」
ガラの悪い2人に連れて行かれる涼平を誰も止めようとはしない。
今回ばかりは完全にあいつが悪いのだから。
「行くか。」
龍心と蓮太郎の常識人コンビの2人に声をかけ、ボーリング場に向かって俺は歩き出した。
俺は家に着くや否や、すぐに体をベットに横たえる。
何かしてきた訳でも無いが、目を閉じるとすぐ寝てしまいそうになる。
「駄目だ駄目だ。」
そう暗示の様に自分に言い聞かせ、重い体を持ち上げて遊びに行く用意の準備を始める。
金はまだ今月は一度も使っていないので余裕がある。
貯金箱から五千円札を取り出し、財布の中に入れる。
話し合いの結果、すぐそこのボウリング場に行こうという事になった。
良心的な値段の店だ。
これだけあれば十分だろう。
そう考えながら制服を脱ぎ捨て、私服を取りに自分の部屋に向かう。
自分の部屋といっても、俺以外住んでいないのだから、一応全て自分の部屋という事になる。
少し虚しくなるが、もう慣れっこだ。
時間というのは恐ろしいものだ。
もう何とも思わなくなってしまって来ている。
そうこう考えながら着替え終え、準備がもう終わってしまった。
スマホで時間を確認するが、集合時間まで30分とまだ余裕がある。
特にする事が無いので、寝ようかと思ったが、絶対に起きれないというのがわかりきっている為、辞めておく。
通知が山ほど溜まっているのに気付き、一通り目を通そうとスクロールする。
「あ。」
一つの通知が目に留まり、指を止める。
[漢字]香恋[/漢字][ふりがな]かれん[/ふりがな]からのメールの通知だった。
香恋とはただの幼馴染で…と言えば嘘になってしまう。
幼馴染兼俺の片想い中の相手だ。
いつからかはわからないが、気付けば彼女に夢中になってしまっていた。
向こうも10年近く一緒にいるのだから何も思っていないという事は無いと…
「何考えてんだ、俺…。」
恥ずかしくなって思わず床にしゃがみ込んでしまう。
顔は真っ赤になってしまっているのか、顔全体が熱い。
「じゃ無くて通知…。」
我に返った俺は本来の目的を思い出した。
通知を開くとそこには「今日遊べる?」という一文だけが送られて来ていた。
本当は「遊べる」と返したいところだが、終一達との約束を破るわけにはいかない。
丁寧な言葉で断り、また誘ってくれという文章も送り返した。
するとすぐに親指を立てた猫の可愛らしいスタンプが送り返されて来た。
会話を終わらせたく無かったので、どうにか返せるスタンプは無いかと探していたところ、家のインターホンが鳴った。
「はいはーい。」
誰だよ、と思いながらも俺は玄関に向かう。
ドアスコープを覗くとそこには陽汰が立っていた。
まだ集合時間の20分も手前だというのに、こいつはもう来たのかと驚く。
「早く行こーぜー。」
陽汰がドア越しに俺を急かす。
「はいはい。」
そう返事をして準備していた鞄を肩に掛け、扉を開ける。
その瞬間、発砲音の様な音が辺りに響き渡り、思わず耳を塞ぐ。
そして視界には輝く紙の様な物が映った。
その音の正体はクラッカーだった。
「誕生日おめでと!!」
そう龍心が俺に言って来る。
一瞬、何の事かわからず硬直してしまったが、すぐに自分の誕生日が今日だったという事に気が付いた。
「もしかそて、自分の誕生日忘れてたんですかぃ?」
そう終一が図星を突いてくる。
「んな訳ねぇだろ。爺じゃねぇんだから。」
何故かそれに対抗心が芽生えた俺は思わず言い返してしまったが、実際のところ完全に忘れていた。
「そうだよ。和翔はお前みたいに記憶力鳥じゃねぇからな。」
雄一郎は俺を庇ったのか単純に終一を煽りたかったのかはわからないが、そう言った。
「自己紹介は辞めてくだせぇよ。もう皆知ってますって。」
終一もそう煽り返しまたもや喧嘩に発展しそうになる。
「折角の和翔の誕生日だぜ?そんな日にまで喧嘩すんなって。」
そう焼けた小柄な男、[漢字]清水蓮太郎[/漢字][ふりがな]しみずれんたろう[/ふりがな]が終一と雄一郎の言い争いを仲裁する。
「そうだぜ。鳥同士争うなって。」
蓮太郎の一言で鎮火しかけた炎に油を注ぐ余計な男、[漢字]四宮涼平[/漢字][ふりがな]しのみやりょうへい[/ふりがな]がそう一気に2人を煽る。
これにより、2人の怒りは完全いに復活してしまった。
だが、不幸中の幸いなのはその怒りが全て涼平に向いた事だ。
「涼平君、どういう事?」
「ちょっと[漢字]面[/漢字][ふりがな]ツラ[/ふりがな]貸せよ。」
「え、いやその…。」
ガラの悪い2人に連れて行かれる涼平を誰も止めようとはしない。
今回ばかりは完全にあいつが悪いのだから。
「行くか。」
龍心と蓮太郎の常識人コンビの2人に声をかけ、ボーリング場に向かって俺は歩き出した。