喧嘩道
俺はそいつをじっと見つめる。
腕も細く、筋肉もあまりある様には見えないうえに、何かを隠し持っている感じもしない。
この程度の輩なら俺でも勝てるが、面倒事は避けたいので、無視するという選択肢を取ることにした。
だが、そのまま歩き出そうとするが輩は手を離そうとせず、俺にしぶとく付いてくる。
「おいおい、何か出すもんあんじゃねぇの?」
そう輩は言ってくる。
こういう輩は大体の場合金が目的だ。
渡したらすんなりどこかに行く事はわかっているが、どうにもムカつくので、それだけは絶対にしない。
俺はどうしようかと考えていたその時だった。
「あれ?[漢字]和翔[/漢字][ふりがな]かずと[/ふりがな]じゃないですかぃ。」
そう聞き覚えのある声が聞こえる。
俺は声のした方を見るとやはりそこには想像していた声の主がいた。
特徴的な喋り方、真っ茶色の髪、そして耳元で金色に輝くピアス。
クラスメイトの[漢字]中嶋柊一[/漢字][ふりがな]なかじましゅういち[/ふりがな]がそこにはいた。
次の瞬間、驚く事に柊一は乗っていた自転車で迷う事なく俺の肩を掴んでいた輩を轢いた。
「えぇ…。」
俺は突然の出来事に困惑するしか出来なかった。
「お久ですねぇ。」
柊一はそう俺に向かって言うが、昨日も会っているので全く久しぶりではない。
だが、それを伝える気力は残っていない。
目の前で柊一が輩のポケットを漁り出したのだ。
先程の柊一の一轢きで輩は完全に伸びてしまっており、無防備な状態で仰向けに倒れ込んでいる。
そんな輩のポケットを漁って何をするのかは明白だった。
「お、ありやした。」
柊一はそう言うとポケットから財布を引っ張り出した。
下手したらそこら辺の輩よりも問題かもしれない。
「俺は知らねぇからな。」
俺はそう言い、早足でその現場から離れる。
面倒事に巻き込まれるのだけは御免だ。
「ちょ、待ってくだせぇよ。」
柊一は走って俺を追いかけて来る。
そこで俺は違和感に気が付いた。
「お前自転車はどうすんだよ。」
こいつはさっき自転車に乗っていた筈だが、何故か置いて来ている。
「ん?あぁ、あれならそこら辺にあった物なんでいりゃあせん。」
柊一は財布の中身を確認しながら俺の問いかけに答えた。
そこそこ入っていたのか、柊一はニンマリと笑みを浮かべている。
(こいつはマジで…。)
絶対にそこら辺の輩よりも問題だ。
そう確信した俺は全速力で学校まで逃げたのであった。
腕も細く、筋肉もあまりある様には見えないうえに、何かを隠し持っている感じもしない。
この程度の輩なら俺でも勝てるが、面倒事は避けたいので、無視するという選択肢を取ることにした。
だが、そのまま歩き出そうとするが輩は手を離そうとせず、俺にしぶとく付いてくる。
「おいおい、何か出すもんあんじゃねぇの?」
そう輩は言ってくる。
こういう輩は大体の場合金が目的だ。
渡したらすんなりどこかに行く事はわかっているが、どうにもムカつくので、それだけは絶対にしない。
俺はどうしようかと考えていたその時だった。
「あれ?[漢字]和翔[/漢字][ふりがな]かずと[/ふりがな]じゃないですかぃ。」
そう聞き覚えのある声が聞こえる。
俺は声のした方を見るとやはりそこには想像していた声の主がいた。
特徴的な喋り方、真っ茶色の髪、そして耳元で金色に輝くピアス。
クラスメイトの[漢字]中嶋柊一[/漢字][ふりがな]なかじましゅういち[/ふりがな]がそこにはいた。
次の瞬間、驚く事に柊一は乗っていた自転車で迷う事なく俺の肩を掴んでいた輩を轢いた。
「えぇ…。」
俺は突然の出来事に困惑するしか出来なかった。
「お久ですねぇ。」
柊一はそう俺に向かって言うが、昨日も会っているので全く久しぶりではない。
だが、それを伝える気力は残っていない。
目の前で柊一が輩のポケットを漁り出したのだ。
先程の柊一の一轢きで輩は完全に伸びてしまっており、無防備な状態で仰向けに倒れ込んでいる。
そんな輩のポケットを漁って何をするのかは明白だった。
「お、ありやした。」
柊一はそう言うとポケットから財布を引っ張り出した。
下手したらそこら辺の輩よりも問題かもしれない。
「俺は知らねぇからな。」
俺はそう言い、早足でその現場から離れる。
面倒事に巻き込まれるのだけは御免だ。
「ちょ、待ってくだせぇよ。」
柊一は走って俺を追いかけて来る。
そこで俺は違和感に気が付いた。
「お前自転車はどうすんだよ。」
こいつはさっき自転車に乗っていた筈だが、何故か置いて来ている。
「ん?あぁ、あれならそこら辺にあった物なんでいりゃあせん。」
柊一は財布の中身を確認しながら俺の問いかけに答えた。
そこそこ入っていたのか、柊一はニンマリと笑みを浮かべている。
(こいつはマジで…。)
絶対にそこら辺の輩よりも問題だ。
そう確信した俺は全速力で学校まで逃げたのであった。