[明朝体]キーンコーンカーンコーン。
「え～。明日も元気に来るように！さようなら！」
「さようなら～」
さて、今日の授業も終わりか。
「彼氏君」
ほら来た！
もうこの流れにも練れてきたゼ。
この声は…
ほうら智佳だ。
「どうしたの？」
僕は智佳に一応聞く。
「いや。今日も一緒に帰りたいと思ってね」
智佳はいつものようにそう答える。
「うん。分かった」
僕は自分の席のランドセルを取り背負う。
「じゃあ行こうか」
智佳はそう言って僕と一緒に廊下に出た。

ザッザッ
僕は今、智佳と一緒に校庭を歩いている。
ん？
あれは…
荒井たちか？
荒井通（あらいとおる）。
6年6組のガキ大将的なやつでこの学校の生徒は大体こいつを恐れている。
何をするにも歯向かったやつには暴力をふるうやつだ。
こいつに会って殴られなかった奴は聞いたことがない。
僕は最近こいつとこの取り巻きに嫌がらせを受けている。
理由は分からないが歩いているときにぶつかるという軽い物や、物を投げつけるという悪質なものまで色々な嫌がらせだ。
それが校門の前にいるという事は…
嫌な予感がするな…
[太字]「待て！」[/太字]
僕が校門を通ろうとするとやはり荒井に止められた。
「何だよ？」
僕はめんどくさそうに荒井に聞く。
[太字]「これを受け取れ！」[/太字]
荒井が何か紙を僕に渡す。
「果たし状」と汚い字で書いてある。
[太字]「じゃあな！」[/太字]
荒井とその取り巻きはそう言って走っていった。
「ええ…」
僕は呆然とする。
「彼氏君。なにそれ？」
智佳が僕の持っている紙を見て言う。
「果たし状だって。今時あるんだね、こういうの」
僕はそう答える。
「へえ。なんて書いてあるの？」
智佳が僕を見て言う。
「え～、何々？」
果たし状
明日、大森公えんで時つ。
かならずこい。
果たし状には汚い字でそう書いてあった。
「彼氏君、これ行くの？」
智佳が聞いてくる。
「う～ん。行きたくはないけど、果たし状を渡してきたには…」
僕は眉間にしわを寄せてそう答えた。
「じゃあ行くの？」
智佳が僕の顔をじっと見てまた聞く。
「うん。行くよ」
僕は覚悟を決めた。[/明朝体]