一生分の愛
[明朝体]あれから2か月~
11月下旬。
あれから僕と智佳はいくつも交流を重ね、より仲良くなっていった。
冬姫さんとはまだ話せていない。
話せないというか、話す勇気が僕にはない。
話したら前のようになってしまうかもしれないからだ。
冬姫さんとの一件にケジメがつけられないのは嫌だが、そうなるくらいなら話さないほうがましだと僕は思う。
このことは智佳にも相談したが、
「彼氏君は悪くないよ。だから話さなくてもいい。悪いのはあの子なんだから」
と言った。
「朝の会始めるぞ~」
佐藤先生が大きな声でそう言う。
「気を付け。礼」
「おはようございま~す」
クラスメイト全員がそう言う。
「着席」
日直がそう言って全員が席に着く。
「はい。ありがとな。今日、休みは~、いないな」
佐藤先生がそう言う。
「先生!冬姫さんがいません!」
クラス1のパワフル男子、夏木遊真(なつきゆうま)が佐藤先生に半ば叫ぶような形で言った。
「ああ、それな…」
佐藤先生の顔が曇る。
「実はな…冬姫のやつ、引っ越しちゃったんだ」
佐藤先生はか細いがしっかりとした声で悲しそうに言った。
「ええ~!?」
クラス中が驚きと疑問の声で埋め尽くされる。
突然、引っ越した、と言われたら驚くのは当然だろう。
僕は驚きすぎて声が出ない。
「え!何で何で?」
桜嵐が先生に聞く。
「話せば長くなるが…いいか?」
「はい!」
クラス中の全員が先生の言葉にそう言葉を返す。
「実はな…冬姫のやつ、その…心に問題があったらしくてな…理由は分からないんだが、親がこのままじゃいけないと思って引っ越しさせたらしい。それにしても突然引っ越すとはな…」
なにぃ!?
その病んでたって理由、絶対僕じゃないか!
まさかそんなに告白を僕に断られたのがショックだったとはな…
やっぱケジメはつけたほうがいいんだな。
冬姫さんには悪いことをしたなあ…
「じゃあ、授業始めるぞ」
佐藤先生がそう言って黒板に体を向ける。
僕も筆箱を開け、授業ができる体制に入る。
あれ?
鉛筆が一本ないぞ?
まあ一本だからいいか…
そう思って僕は鉛筆を一本持った。[/明朝体]
11月下旬。
あれから僕と智佳はいくつも交流を重ね、より仲良くなっていった。
冬姫さんとはまだ話せていない。
話せないというか、話す勇気が僕にはない。
話したら前のようになってしまうかもしれないからだ。
冬姫さんとの一件にケジメがつけられないのは嫌だが、そうなるくらいなら話さないほうがましだと僕は思う。
このことは智佳にも相談したが、
「彼氏君は悪くないよ。だから話さなくてもいい。悪いのはあの子なんだから」
と言った。
「朝の会始めるぞ~」
佐藤先生が大きな声でそう言う。
「気を付け。礼」
「おはようございま~す」
クラスメイト全員がそう言う。
「着席」
日直がそう言って全員が席に着く。
「はい。ありがとな。今日、休みは~、いないな」
佐藤先生がそう言う。
「先生!冬姫さんがいません!」
クラス1のパワフル男子、夏木遊真(なつきゆうま)が佐藤先生に半ば叫ぶような形で言った。
「ああ、それな…」
佐藤先生の顔が曇る。
「実はな…冬姫のやつ、引っ越しちゃったんだ」
佐藤先生はか細いがしっかりとした声で悲しそうに言った。
「ええ~!?」
クラス中が驚きと疑問の声で埋め尽くされる。
突然、引っ越した、と言われたら驚くのは当然だろう。
僕は驚きすぎて声が出ない。
「え!何で何で?」
桜嵐が先生に聞く。
「話せば長くなるが…いいか?」
「はい!」
クラス中の全員が先生の言葉にそう言葉を返す。
「実はな…冬姫のやつ、その…心に問題があったらしくてな…理由は分からないんだが、親がこのままじゃいけないと思って引っ越しさせたらしい。それにしても突然引っ越すとはな…」
なにぃ!?
その病んでたって理由、絶対僕じゃないか!
まさかそんなに告白を僕に断られたのがショックだったとはな…
やっぱケジメはつけたほうがいいんだな。
冬姫さんには悪いことをしたなあ…
「じゃあ、授業始めるぞ」
佐藤先生がそう言って黒板に体を向ける。
僕も筆箱を開け、授業ができる体制に入る。
あれ?
鉛筆が一本ないぞ?
まあ一本だからいいか…
そう思って僕は鉛筆を一本持った。[/明朝体]