[明朝体]帰りの支度は20秒ほどで終わった。（ほんとに）
夏休みの後だからだろう。
荷物が少なくて助かる。
「さて、帰るか」
そう思った僕は先生に帰りのあいさつをして教室を出た。

下駄箱に向かうため僕は階段を下りている。
この学校は僕が住んでいる神奈川県の学校の中でもトップクラスに広い。
５階建てで校舎が４つもあるのだ。
そのため僕たちの６年生のクラスは５階にある。
だからかなり往復がつかれる。
そんなことを思っていると後ろから声がした。
「やあ、彼氏君」
「うわっ！びっくりしたぁ…」
この声は智佳だ。
なんか僕の行く場所にいつもいる気がするな…
本当に偶然とかなのかな…
「どうしたの？」
僕が立ち止まって聞く。
「いや、一緒に帰りたいなと思って」
と智佳が言う。
そう智佳が言った時、僕は今朝の冷たい目を思い出した。
これを断ったらあの怖い目を。
あの目はもう見たくない。
ここは素直にいいよと言おう。
「うん。いいよ」
僕はそう思って言った。

「学校どうだった？」
智佳が聞いてくる。
智佳とはさっきからこんな会話をしている。
智佳に聞いてみたことがあるが、僕はしゃべるのが上手だから話していて楽しいらしい。
う～ん。
しゃべるのは別にいいが、さっきからやけに視線を感じる。
きっと慎太郎が流した噂のせいだろう。
この視線を感じながら家に帰るのか？
それはちょっとな…
僕はそう思いながら家に向かった。[/明朝体]