カースト制度が厳しい世界で私達は
私達はそのまま街で買い物をすることにした。
(何か欲しいものがあるのかしら)
初めに向かったのは洋服屋さん。
私がドレス以外洋服を持っていないと伝えると、ベールさんは「私もですのよ」と微笑んで連れて行ってくれた。
「あの……ベールさん……?」
ベールさんの厚意はとても嬉しいのだが、[漢字]王族[/漢字][ふりがな]クシャトリア[/ふりがな]の娘が庶民の服など着ていられない。
「どういう服がお好きですの?」
私の声は聞こえていたはずだが、ベールさんは私に問いかけた。
「わ……私の家はそんな、私服なんて着てましたら怒られてしまいますわ……。ご厚意は受け取りますけれど、私……遠慮いたしますわ」
「そうなんですの? ミーシャさんは怒られたことがあるのですか?」
確かに、ない……けど。
ぐいぐいと迫ってくるベールさんに勝てる気がしない。
「ない、ですけれど……」
「ならいいじゃないですか! 失敗してもいいんですよ。そんなことでくじけちゃ駄目ですのよ?」
「……そ、そうですか? ……私に、そんな、勇気があると……思いますか?」
(これは、勝った……かも)
「思いませんわ、どちらかと言えば」
きっぱりと言われ、思わず泣きそうになる。
「では、なぜ……?」
「泣かないでくださいませ、ミーシャさん。でも……勇気はあるものではなく、作るものなのですわ」
勇気は、作るもの?
「ううん……わかり、ましたわ」
私はゆっくりと首を縦に動かした。
私服を買おう、なんて言うから緊張してしまったが、私の思いも慮ってか、ベールさんはお洒落なデザインの服を買ってくれた。
「お金、本当に出さなくてよかったのですか?」
「勿論ですわ。私のお小遣い、貯まってて困っていたところだったのです」
「そうですか、ありがとうございます……わ」
「敬語が変ではないでしょうか」
「そうでしょうか?」
(何か欲しいものがあるのかしら)
初めに向かったのは洋服屋さん。
私がドレス以外洋服を持っていないと伝えると、ベールさんは「私もですのよ」と微笑んで連れて行ってくれた。
「あの……ベールさん……?」
ベールさんの厚意はとても嬉しいのだが、[漢字]王族[/漢字][ふりがな]クシャトリア[/ふりがな]の娘が庶民の服など着ていられない。
「どういう服がお好きですの?」
私の声は聞こえていたはずだが、ベールさんは私に問いかけた。
「わ……私の家はそんな、私服なんて着てましたら怒られてしまいますわ……。ご厚意は受け取りますけれど、私……遠慮いたしますわ」
「そうなんですの? ミーシャさんは怒られたことがあるのですか?」
確かに、ない……けど。
ぐいぐいと迫ってくるベールさんに勝てる気がしない。
「ない、ですけれど……」
「ならいいじゃないですか! 失敗してもいいんですよ。そんなことでくじけちゃ駄目ですのよ?」
「……そ、そうですか? ……私に、そんな、勇気があると……思いますか?」
(これは、勝った……かも)
「思いませんわ、どちらかと言えば」
きっぱりと言われ、思わず泣きそうになる。
「では、なぜ……?」
「泣かないでくださいませ、ミーシャさん。でも……勇気はあるものではなく、作るものなのですわ」
勇気は、作るもの?
「ううん……わかり、ましたわ」
私はゆっくりと首を縦に動かした。
私服を買おう、なんて言うから緊張してしまったが、私の思いも慮ってか、ベールさんはお洒落なデザインの服を買ってくれた。
「お金、本当に出さなくてよかったのですか?」
「勿論ですわ。私のお小遣い、貯まってて困っていたところだったのです」
「そうですか、ありがとうございます……わ」
「敬語が変ではないでしょうか」
「そうでしょうか?」