二次創作
偽の想いと夢界のマリオネット
「めっちゃヒリヒリする…」
「くそっ、なんで失敗したんだ…」
黒髪に赤メッシュが入ったシェアハウスの気分屋発明家──ゆあんは、擦り傷だらけになった手でくしゃくしゃになった髪を整える。
「なんで失敗したんだって、ゆあんくんがあれ混ぜるからだろーが…」
ゆあん「それはほんとごめん…今度もふくんの好きなマイクラMOD作るからぁ…」
ぶつぶつ文句を言うのはメガネをかけた頭脳派研究員──もふだ。
2人が向かっている場所は医務室。
そもそもなぜこんなに傷だらけかというと、もふの研究を手伝っていたゆあんが動作を間違え実験中の液体が少し爆発したからだ。
命に関わるようなものではないが、擦り傷程度の負傷が伴っている。
ゆあん「るなーっ!いる?」
「いますいます!って、お二人ともどうしたんですか?めっちゃ怪我してる…」
こちらを振り向いたのは水色髪のポジティブガール、医学に関する知識は皆無の医者──るなだ。
もふ「いろいろあってこんなことに…」
るな「なんか、よくわかりませんけどとりあえず座ってください!治療しますから!」
るなに急かされ医務室の長椅子に腰掛けると、彼女は救急箱を持ってきた。
ゆあん「すげぇ…るなが治療してる…!」
るな「失礼ですね!るな天才だからこれくらい…簡単…です…」
どんどん萎んでいく語尾に不安になりながらるなを見ると、ガーゼとサージカルテープが変な風にくっついてしまい、それを剥がしている最中だった。
もふ「大丈夫?」
るな「大丈夫です!これくらいなら……」
しばらく格闘していたが、やがて救急箱をゴソゴソすると絆創膏を取り出した。
るな「……無理そうなので絆創膏で行きます…!」
苦笑するもふとゆあんを見て頬を膨らませると、るなは2人の手にそれを貼っていく。
るな「はい、治りました!これで痛くないはずです!」
もふ「まだちょっとヒリヒリする…」
ゆあん「そうだな…ごめん。」
るな「え、知らないんですか?絆創膏貼ったら痛み取れるんですよ!!!!!!」
天然発言をかまするなに本日2回目の苦笑いを向けると、『違うんですか!?』と本気で驚いた表情をしている。
本来絆創膏は傷口から細菌が入るのを防ぐためで、湿布のように痛みが取れるものではないのだ。
一通り笑いがおさまった後で、2人が研究室に戻ろうと医務室の出口に向かうと、かすかな叫びが聞こえてきた。
るな「この声は…」
ゆあん「嫌な予感がする…」
顔を見合わせた2秒後、待ってましたと言わんばかりに3人の耳に飛び込んできたのは、シェアハウスのリーダーであり無限の声量を持つ──じゃぱぱの声だった。
『みぃぃんなぁぁぁ!!!!!しゅぅぅごぉぉぉ!!!!!!』
もふ「…よし、行こう!」
ゆあん「さすがじゃぱぱ…」
るな「さすがですよね…」
この声量に半ば呆れながらも、3人は声のした方へ向かっていった。