二次創作
偽の想いと夢界のマリオネット
「おし…餌やり終わりっと…ふあぁ…」
メェェ、と鳴く羊を撫でると、それと見分けがつかなくなっていた羊のような白髪の男性──ヒロが立ち上がった。
彼もまたシェアハウスのメンバーの1人で、広い庭の一画にある家畜たちの世話をしている。
容姿が羊に似ているので、ヒロを探しにきたメンバーが羊と間違えることもあった。
ヒロ「暇だし郵便受けでも見てくるか…」
フェンスゲートを開けて誰が見に行っているかすらわからない郵便受けにだらだらと向かっていく。
門の前に着くと、シェアハウスの用心棒があくびをしながら入口を見張っていた。
茶髪のウルフカットに黒っぽい服、残念なイケメン──うりだ。
ヒロ「うり!調子どう?」
うり「まぁまぁってとこ。ヒロくんは?」
ヒロ「俺もそんな感じ。今日はやけに眠くてさぁ〜」
俺も、とうりは返し、ヒロと同じタイミングで大あくびをする。
「おぉ〜い!!!!!」
ヒロとうりが声のした方を振り向くと、金髪に眼帯の男性──たっつんが走ってきた。
ヒロ「どした?」
たっつん「いや〜門の一部が壊れてるってうりに言われてさー、修理に来た。どこどこ??」
うり「あ、やっべ忘れてた。」
関西訛りのたっつんに重要なことを言われ、肝心のうりがそのことを忘れていたらしい。
ヒロ「うり用心棒なのになんで忘れてんの…」
うり「すまんすまんwえっと…どこだったっけ…」
たっつん「おいw……うわあぁあはぁ…」
癖の強いあくびをしたたっつんに、ヒロが不思議そうに尋ねる。
ヒロ「たっつんも眠いの?」
たっつん「そうやねん。も、ってことは2人も…?」
うり「そ、なんかめちゃくちゃ眠い。」
たっつん「なんやろな。言うてもう10時半やし…」
しばらく原因を考えていた3人だが、それぞれのやることを思い出して門から散っていく。
ヒロ「え〜っと、郵便受けはここかな…」
うりから借りた鍵で郵便受けを開けると、結構な数の手紙やらチラシやらが入っていた。
ヒロ「鍵持ってるのうりなのに…こりゃ1ヶ月はサボったな…」
はぁ、とため息をつくとガサガサと郵便を取り出す。
室内でゆっくり見ようとそれを抱えると、一通の手紙がポトリと落ちた。
ヒロ「…なんだこれ…?」
白地の封筒に赤の封泥──今で言うシーリングスタンプのようなもので封をされている。
他の手紙とは違う高級感のあるその封筒は、ヒロの好奇心をそそるのに十分だった。
ヒロ「でも、ここで読むのもあれだよな…」
キョロキョロと周りを見渡すとガゼボが見つかったので、そこでチラシ類の整理をすることに決めた。