二次創作
偽の想いと夢界のマリオネット
生まれた時から、色々な[漢字]場所[/漢字][ふりがな]部屋[/ふりがな]を転々としていた。
ある日はお姫様が暮らすような豪華なお城と豊かな城下町。
それとは対照的に、梅雨のコンクリートジャングルの道端に3日佇む日もあった。
でも大丈夫。どうせ、[漢字]あの人たち[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]が拾ってくれるから。
天然で、鈍感で、人を卒倒させる破壊力の笑顔を持つジブンは、いつだって誰かに溺愛される。
本当の私は、天然でもないし鈍感でもない。ついでに言えば笑顔の破壊力も微妙。
でも、演じなくては。
ここから逃げたいと思うことは、刑務所から脱獄するのと同じ意味を持つ。
鏡に映った自分の体を見る。
身長は標準、体重はシンデレラ。スタイルはいい方だと思う。
顔を見る。
色白の肌に、現実ではありえないような地毛の色。
オッドアイの大きな目がパチパチと瞬きし、整ったとしか言いようのない顔をしている。
そりゃあ、こんなのが道端に落ちてたら拾うよな。
ほぼ左右対称に整った顔を見ると芸術品のようだと思うのと同時にため息が押し寄せてくる。
自分の顔は美しいと思うが、ナルシストではない。
なぜなら、この作り物のような顔が嫌いだから。
人間味が全くないこの顔を見ていると、気分が悪くなる。
部屋の隅っこに、パタンと音がする。
音のしたところには赤い小さなポストがあって、開けると一通の指示書が入っていた。
指示書を開く。
また、この人たちか。
思わず眉間に皺が寄ってしまったが、仕方なく椅子に座ると指示書に書いてある内容通りに1通の手紙を仕上げていった──。