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貪欲と魔神

#5

5話 第一歩

クロム「………。」

グラブ「……………。」

魔王「どーしたんだよ。みんな静かになっちゃってさぁ。んで、何の用?はるばる魔王城まで来て。」

正直、思っていた魔王と違った。
魔王ってもっと、偉そうで、悪そうで……そんなイメージだった。
いや、これは相手を油断させる演技かもしれない。
油断してはならない。
 
魔王「何しに来たの?」

クロム「え〜……僕を魔王軍に入れていただきたいと思って…。」

魔王「ホントに?」

クロム「はい!もう、あの国の王にウンザリしていたんです。町中に魔物が入るだけで悪と決めつけて、殺すなんて……。本当にひどいですよねぇ!!」

真っ赤な嘘である。
そもそも町中に入った魔物をみたことがない。
クロムは王国の味方だ。

クロム「僕は勇者と言われましたが、裏切ります。」






魔王はため息をついた。



魔王「嘘ついてるでしょ。」

一瞬ドキッとした。
まさか彼には心を読む能力があるのか?
それとも顔に出ていたのか?

クロム「何をおっしゃりますか魔王様。僕は一言も嘘など………」

魔王「一人称。」

遮るように魔王が言った。



魔王「本当は『俺』っていいたいんでしょ。日頃そうしてきた。ただ、貴族や目上の人の前では僕を使う。」

クロムからしたら、当たり前のことだと思った。
『僕』というのは礼儀だ。
貴族や、王には使う。


周りもしてたっけ?




魔王「魔王軍はタメ口でいいんだよ。幹部とかに分けられているけど、敬語なんて使わなくていい。俺みたいに話し方なんて自由なんだよ。」

クロム「は、はぁ。」

魔王「あと君、勇者って認めてないでしょ。無理やり行かされたカンジ。すべてお見通しなんだからぁ。」

一番ばれてはいけない嘘がばれなかったことにホッとした。
つまりこの会話は魔王軍に認められたということだ。
これでやっと作戦が始まった。
俺の物語はこれからだ。


すべて手に入れてやる。





魔王「この子はどうするの?クロムくん。」

魔王は縛られたグラブを指差した。

魔王「俺的にも不利になるから、すぐ帰すわけにもいけないし……。」

クロム「ならば牢屋にでも閉じ込めておきます?」


グラブ「お、おい!!牢屋だって?!」

メタル「さあ、早く行くッスよ。」

グラブがメタルに連れて行かれた。
グラブは最後にこういった。

グラブ「覚えてろよ!裏切り者ぉ!!」














魔王と二人きりになった。







魔王「クロムくん、本当はもっっと大きな嘘があるんだろう?」










クロム「さあ?何のことやら。」 







魔王「フフッ。面白いね。君は。」




そう言って魔王は立ち去った。









なんで魔王は俺の名前を知っていたのだろう。

作者メッセージ

最近再び歌詞作りが流行してない?

2025/05/30 16:51

自称様 ID:≫ 42xoxxSW3KMEM
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