貪欲と魔神
クロム「………。」
グラブ「……………。」
魔王「どーしたんだよ。みんな静かになっちゃってさぁ。んで、何の用?はるばる魔王城まで来て。」
正直、思っていた魔王と違った。
魔王ってもっと、偉そうで、悪そうで……そんなイメージだった。
いや、これは相手を油断させる演技かもしれない。
油断してはならない。
魔王「何しに来たの?」
クロム「え〜……僕を魔王軍に入れていただきたいと思って…。」
魔王「ホントに?」
クロム「はい!もう、あの国の王にウンザリしていたんです。町中に魔物が入るだけで悪と決めつけて、殺すなんて……。本当にひどいですよねぇ!!」
真っ赤な嘘である。
そもそも町中に入った魔物をみたことがない。
クロムは王国の味方だ。
クロム「僕は勇者と言われましたが、裏切ります。」
魔王はため息をついた。
魔王「嘘ついてるでしょ。」
一瞬ドキッとした。
まさか彼には心を読む能力があるのか?
それとも顔に出ていたのか?
クロム「何をおっしゃりますか魔王様。僕は一言も嘘など………」
魔王「一人称。」
遮るように魔王が言った。
魔王「本当は『俺』っていいたいんでしょ。日頃そうしてきた。ただ、貴族や目上の人の前では僕を使う。」
クロムからしたら、当たり前のことだと思った。
『僕』というのは礼儀だ。
貴族や、王には使う。
周りもしてたっけ?
魔王「魔王軍はタメ口でいいんだよ。幹部とかに分けられているけど、敬語なんて使わなくていい。俺みたいに話し方なんて自由なんだよ。」
クロム「は、はぁ。」
魔王「あと君、勇者って認めてないでしょ。無理やり行かされたカンジ。すべてお見通しなんだからぁ。」
一番ばれてはいけない嘘がばれなかったことにホッとした。
つまりこの会話は魔王軍に認められたということだ。
これでやっと作戦が始まった。
俺の物語はこれからだ。
すべて手に入れてやる。
魔王「この子はどうするの?クロムくん。」
魔王は縛られたグラブを指差した。
魔王「俺的にも不利になるから、すぐ帰すわけにもいけないし……。」
クロム「ならば牢屋にでも閉じ込めておきます?」
グラブ「お、おい!!牢屋だって?!」
メタル「さあ、早く行くッスよ。」
グラブがメタルに連れて行かれた。
グラブは最後にこういった。
グラブ「覚えてろよ!裏切り者ぉ!!」
魔王と二人きりになった。
魔王「クロムくん、本当はもっっと大きな嘘があるんだろう?」
クロム「さあ?何のことやら。」
魔王「フフッ。面白いね。君は。」
そう言って魔王は立ち去った。
なんで魔王は俺の名前を知っていたのだろう。
グラブ「……………。」
魔王「どーしたんだよ。みんな静かになっちゃってさぁ。んで、何の用?はるばる魔王城まで来て。」
正直、思っていた魔王と違った。
魔王ってもっと、偉そうで、悪そうで……そんなイメージだった。
いや、これは相手を油断させる演技かもしれない。
油断してはならない。
魔王「何しに来たの?」
クロム「え〜……僕を魔王軍に入れていただきたいと思って…。」
魔王「ホントに?」
クロム「はい!もう、あの国の王にウンザリしていたんです。町中に魔物が入るだけで悪と決めつけて、殺すなんて……。本当にひどいですよねぇ!!」
真っ赤な嘘である。
そもそも町中に入った魔物をみたことがない。
クロムは王国の味方だ。
クロム「僕は勇者と言われましたが、裏切ります。」
魔王はため息をついた。
魔王「嘘ついてるでしょ。」
一瞬ドキッとした。
まさか彼には心を読む能力があるのか?
それとも顔に出ていたのか?
クロム「何をおっしゃりますか魔王様。僕は一言も嘘など………」
魔王「一人称。」
遮るように魔王が言った。
魔王「本当は『俺』っていいたいんでしょ。日頃そうしてきた。ただ、貴族や目上の人の前では僕を使う。」
クロムからしたら、当たり前のことだと思った。
『僕』というのは礼儀だ。
貴族や、王には使う。
周りもしてたっけ?
魔王「魔王軍はタメ口でいいんだよ。幹部とかに分けられているけど、敬語なんて使わなくていい。俺みたいに話し方なんて自由なんだよ。」
クロム「は、はぁ。」
魔王「あと君、勇者って認めてないでしょ。無理やり行かされたカンジ。すべてお見通しなんだからぁ。」
一番ばれてはいけない嘘がばれなかったことにホッとした。
つまりこの会話は魔王軍に認められたということだ。
これでやっと作戦が始まった。
俺の物語はこれからだ。
すべて手に入れてやる。
魔王「この子はどうするの?クロムくん。」
魔王は縛られたグラブを指差した。
魔王「俺的にも不利になるから、すぐ帰すわけにもいけないし……。」
クロム「ならば牢屋にでも閉じ込めておきます?」
グラブ「お、おい!!牢屋だって?!」
メタル「さあ、早く行くッスよ。」
グラブがメタルに連れて行かれた。
グラブは最後にこういった。
グラブ「覚えてろよ!裏切り者ぉ!!」
魔王と二人きりになった。
魔王「クロムくん、本当はもっっと大きな嘘があるんだろう?」
クロム「さあ?何のことやら。」
魔王「フフッ。面白いね。君は。」
そう言って魔王は立ち去った。
なんで魔王は俺の名前を知っていたのだろう。