貪欲と魔神
そんな中、たった一人、王に気づいていない者がいた。
彼はこの物語の主人公、「クロム・カルミア」。
食器洗いに集中している。
ハク「にーちゃん。だれかきたよ?」
クロム「ん?どんな人だ?」
ハク「えっとね……おおさまみたいなひと!たくさんよろいのひとがいるー。」
まさかと思い、急いで洗った。
そしてドアを開けた。
クロム「すみません!王様っ!!」
王様は目の前にいた。
とても体が大きいからか、とても威圧感を感じる。
王に逆らったら何をされるか分からない。
目を合わせるだけでも、とても怖かった。
王様「いいんじゃ。なんせ君は[大文字]勇者様[/大文字]だからのぉ。」
クロム「は?」
あまりの驚きに王様に向けてはならない言葉を吐いてしまった。
そもそも勇者とは自ら進んでなるものだと思う。
俺は勇者になった覚えがない。
王様「君に魔王を倒してもらいたい。」
クロム「なんで俺……じゃなくて僕が行かなくては……」
両親は魔王軍に殺されたが、彼は魔王の存在を信じていない。
そもそも出会ったことがないし、魔物はずっと昔からいる。
そんな存在の根拠がないものを急に倒せと言われても困る。
だが、相手が王なので、断るわけにもいかなかった。
王様「姫がさらわれた。わしの娘じゃ。」
そんな事言われたら断れない。
確かに姫がいない。
だが、それを信じれない。
クロムは命をかけたくない。
魔王を倒したくない。
あることを思いついた。
クロム「僕一人だけでは死んでしまいます!せめて仲間をください。」
たくさん条件を作って諦めてもらう作戦。
多分、逆らった判定に入らないから、こうやって攻めるしかない。
王様「言うと思ったわい。そのために彼を用意した。」
グラブ「はじめまして勇者様。僕の名前はグラブ・オフスートです。」
そう言って王の後ろから顔を出したのは片目が髪で隠れた男だった。
彼は他の者とは少し違う鎧を着ていた。
クロム「じゃあ武器をください。武器か防具がないと、魔物も倒せません。」
王様は悩んだ。
確かに武器がないと、魔物とは戦えないだろう。
だが何かを思いついたかという顔をして、荷物を取り出した。
王様「では、我が王族に代々伝わる、この伝説の剣をやろう。」
その剣はとても輝いていた。
貧乏な彼はこれほどの輝きをみたことがない。
だが彼はそれだけでは魔王を倒しにいかなかった。
クロム「後は報酬をください。報酬がないと命をかけられません。」
王はため息をついた後、こう言った。
王様「わかった。ではわしの娘と結婚させてやろう。」
クロム「もっと!」
王様「君の家族ごと、王族の仲間入りじゃよ?これ以上は何があるのかね。」
よっしゃっ!…と心のなかで叫んだ。
クロムは魔王城に行かなくていいのだ。
たぶん。
先程まで黙っていたグラブが口を開いた。
グラブ「じゃあ、勇者様の弟を預かるのはどうです?クロムくんが旅に出ている間、面倒を見る人は居ないだろうし……。」
クロム「わかりました。行きます。行きますよ。でも、絶対に弟を王族にしたりしないでください。」
彼はこの物語の主人公、「クロム・カルミア」。
食器洗いに集中している。
ハク「にーちゃん。だれかきたよ?」
クロム「ん?どんな人だ?」
ハク「えっとね……おおさまみたいなひと!たくさんよろいのひとがいるー。」
まさかと思い、急いで洗った。
そしてドアを開けた。
クロム「すみません!王様っ!!」
王様は目の前にいた。
とても体が大きいからか、とても威圧感を感じる。
王に逆らったら何をされるか分からない。
目を合わせるだけでも、とても怖かった。
王様「いいんじゃ。なんせ君は[大文字]勇者様[/大文字]だからのぉ。」
クロム「は?」
あまりの驚きに王様に向けてはならない言葉を吐いてしまった。
そもそも勇者とは自ら進んでなるものだと思う。
俺は勇者になった覚えがない。
王様「君に魔王を倒してもらいたい。」
クロム「なんで俺……じゃなくて僕が行かなくては……」
両親は魔王軍に殺されたが、彼は魔王の存在を信じていない。
そもそも出会ったことがないし、魔物はずっと昔からいる。
そんな存在の根拠がないものを急に倒せと言われても困る。
だが、相手が王なので、断るわけにもいかなかった。
王様「姫がさらわれた。わしの娘じゃ。」
そんな事言われたら断れない。
確かに姫がいない。
だが、それを信じれない。
クロムは命をかけたくない。
魔王を倒したくない。
あることを思いついた。
クロム「僕一人だけでは死んでしまいます!せめて仲間をください。」
たくさん条件を作って諦めてもらう作戦。
多分、逆らった判定に入らないから、こうやって攻めるしかない。
王様「言うと思ったわい。そのために彼を用意した。」
グラブ「はじめまして勇者様。僕の名前はグラブ・オフスートです。」
そう言って王の後ろから顔を出したのは片目が髪で隠れた男だった。
彼は他の者とは少し違う鎧を着ていた。
クロム「じゃあ武器をください。武器か防具がないと、魔物も倒せません。」
王様は悩んだ。
確かに武器がないと、魔物とは戦えないだろう。
だが何かを思いついたかという顔をして、荷物を取り出した。
王様「では、我が王族に代々伝わる、この伝説の剣をやろう。」
その剣はとても輝いていた。
貧乏な彼はこれほどの輝きをみたことがない。
だが彼はそれだけでは魔王を倒しにいかなかった。
クロム「後は報酬をください。報酬がないと命をかけられません。」
王はため息をついた後、こう言った。
王様「わかった。ではわしの娘と結婚させてやろう。」
クロム「もっと!」
王様「君の家族ごと、王族の仲間入りじゃよ?これ以上は何があるのかね。」
よっしゃっ!…と心のなかで叫んだ。
クロムは魔王城に行かなくていいのだ。
たぶん。
先程まで黙っていたグラブが口を開いた。
グラブ「じゃあ、勇者様の弟を預かるのはどうです?クロムくんが旅に出ている間、面倒を見る人は居ないだろうし……。」
クロム「わかりました。行きます。行きますよ。でも、絶対に弟を王族にしたりしないでください。」