部活に入ったら異世界でした。
何も起こらず朝になった。
昨日と違い、蒸し暑い。昨日、遠くで雨の音がした。きっと夜中、雨が降ったのだろう。
大きな欠伸をして、ベッドから出る。周りを見ると二人はまだ寝ていた。時計を見ると七時だった。流石に起こさないとヤバい。俺は二人を起こそうと彼らの体を揺らした。
「おい、起きろ。もう七時だぞ」
「ん……。うわっ! 変態っ! 女の子の体を触るなんて!」
まず最初に起きたのはつぐみだ。早く起きれば俺は起こさなくて済むのに。
「いや、起きないからこうするしかなかったんだよ!」
「だったら耳元で何か言ってよ!」
確かに、その手があったが、声の大きさが分からない。大きすぎると「うるさい!」と怒られそうで、小さすぎると多分、起きないだろう。そう、つぐみに言ったが「はぁー? それでやってたら気持ちよく起きられたのに!」と再び怒った。
「じゃあ、あいつにやってみてよ」
つぐみはすやすやと寝ているいつきを指した。
俺は深いため息をを吐き「いつきー。起きろー」と耳元で言った。
すると、いつきは勢いよく起き上がり、俺の頭と彼の頭がゴチン、という音を立ててぶつかった。
「いって!」
俺は頭を抱えながら言った。だが、誰も心配してくれなかった。
つぐみは猫と遊んでいるし、いつきは無言で遠くを見ていた。
「おい、いつき、大丈夫か?」と無言で遠くを見つめている彼が怖くなり心配した。
「……」
声をかけても無言だ。こんなに喋らないいつきを見たのは生まれて初めてだ。
「なぁ、つぐみ。いつきが喋らないんだけど」
俺は無意識に彼女に相談した。
「あいつはいつもそーだよ。寝起きはマジで無言だから」
久々にちゃんとしたつぐみの台詞を聞いた気がした。
「ほっとけばいつものうるさいヤツに戻るよ」
そう言われたので、俺はホッとした。
それから朝食を食べ、建物造りを開始した。
いつきはいつも通りの性格に戻った。安心したが、更にうるさくなり、寝起きの彼に戻ってほしいと思った。
「えっと……。ここはどーゆー感じ?」
「んー。これで……こうやる感じかな」
素人の俺たちには難しい。初めて体験するので戸惑う。
早く起き、建物を造って休み、また造って……。その繰り返し。
中学生の俺たちにはとても辛く疲れる。
いつきはまともに働かない。つぐみも手伝ってくれるが、大体猫と遊んでいる。
「俺、一人かよ……」
深いため息を吐き、水分を取って頭にタオルをギュっと巻いた。
「よしっ!」
やる気が出た。これなら早く終わりそうだ。
「完成っ!」
三人で声を合わせて言った。言葉を失うほどの達成感。
これでやっと帰れる! と思ったのも束の間、「おーい」と背後から声がした。
俺は反射的に振り返った。そこには村人がいた。
「えっと……」と俺は、どう言おうか考えていると、「建物、完成したんだね」と彼が俺を救った。
俺は、昔から人と話すのが苦手だった。頭の中で台詞を考えて言う練習をして……。そんな事をしないと俺は上手く話せないのだが、[漢字]いつきとつぐみ[/漢字][ふりがな]あの二人[/ふりがな]だけは違かった。なぜか分からないが、出会った時から台詞無しで話せたんだ。
「は、はい」
「だけど、まだやることはあるんだ」
「え?」
建物は終わった。耐震や安全性のチェックとか? だが、それらはもうとっくに終わっている。あと足りないものは……?
「家具だっ!!」
そう、元気よく言ったのはゴルドさんだった。
「でも、お金が……。私たち、そんな大金持ってないけど……」
つぐみは初めて、ここで困る顔をした。
「そこは大丈夫だ! 俺が準備してる!」
視線を下に向けると、彼の足元にずらりと家具が並べてあった。
「ど、どこから……?」
いつきがハッとした。
「建物造る前に見せただろう。あれだ」
──あのことか。
「やっぱり、すごいっ!」
つぐみは目を輝かせながら言った。
昨日と違い、蒸し暑い。昨日、遠くで雨の音がした。きっと夜中、雨が降ったのだろう。
大きな欠伸をして、ベッドから出る。周りを見ると二人はまだ寝ていた。時計を見ると七時だった。流石に起こさないとヤバい。俺は二人を起こそうと彼らの体を揺らした。
「おい、起きろ。もう七時だぞ」
「ん……。うわっ! 変態っ! 女の子の体を触るなんて!」
まず最初に起きたのはつぐみだ。早く起きれば俺は起こさなくて済むのに。
「いや、起きないからこうするしかなかったんだよ!」
「だったら耳元で何か言ってよ!」
確かに、その手があったが、声の大きさが分からない。大きすぎると「うるさい!」と怒られそうで、小さすぎると多分、起きないだろう。そう、つぐみに言ったが「はぁー? それでやってたら気持ちよく起きられたのに!」と再び怒った。
「じゃあ、あいつにやってみてよ」
つぐみはすやすやと寝ているいつきを指した。
俺は深いため息をを吐き「いつきー。起きろー」と耳元で言った。
すると、いつきは勢いよく起き上がり、俺の頭と彼の頭がゴチン、という音を立ててぶつかった。
「いって!」
俺は頭を抱えながら言った。だが、誰も心配してくれなかった。
つぐみは猫と遊んでいるし、いつきは無言で遠くを見ていた。
「おい、いつき、大丈夫か?」と無言で遠くを見つめている彼が怖くなり心配した。
「……」
声をかけても無言だ。こんなに喋らないいつきを見たのは生まれて初めてだ。
「なぁ、つぐみ。いつきが喋らないんだけど」
俺は無意識に彼女に相談した。
「あいつはいつもそーだよ。寝起きはマジで無言だから」
久々にちゃんとしたつぐみの台詞を聞いた気がした。
「ほっとけばいつものうるさいヤツに戻るよ」
そう言われたので、俺はホッとした。
それから朝食を食べ、建物造りを開始した。
いつきはいつも通りの性格に戻った。安心したが、更にうるさくなり、寝起きの彼に戻ってほしいと思った。
「えっと……。ここはどーゆー感じ?」
「んー。これで……こうやる感じかな」
素人の俺たちには難しい。初めて体験するので戸惑う。
早く起き、建物を造って休み、また造って……。その繰り返し。
中学生の俺たちにはとても辛く疲れる。
いつきはまともに働かない。つぐみも手伝ってくれるが、大体猫と遊んでいる。
「俺、一人かよ……」
深いため息を吐き、水分を取って頭にタオルをギュっと巻いた。
「よしっ!」
やる気が出た。これなら早く終わりそうだ。
「完成っ!」
三人で声を合わせて言った。言葉を失うほどの達成感。
これでやっと帰れる! と思ったのも束の間、「おーい」と背後から声がした。
俺は反射的に振り返った。そこには村人がいた。
「えっと……」と俺は、どう言おうか考えていると、「建物、完成したんだね」と彼が俺を救った。
俺は、昔から人と話すのが苦手だった。頭の中で台詞を考えて言う練習をして……。そんな事をしないと俺は上手く話せないのだが、[漢字]いつきとつぐみ[/漢字][ふりがな]あの二人[/ふりがな]だけは違かった。なぜか分からないが、出会った時から台詞無しで話せたんだ。
「は、はい」
「だけど、まだやることはあるんだ」
「え?」
建物は終わった。耐震や安全性のチェックとか? だが、それらはもうとっくに終わっている。あと足りないものは……?
「家具だっ!!」
そう、元気よく言ったのはゴルドさんだった。
「でも、お金が……。私たち、そんな大金持ってないけど……」
つぐみは初めて、ここで困る顔をした。
「そこは大丈夫だ! 俺が準備してる!」
視線を下に向けると、彼の足元にずらりと家具が並べてあった。
「ど、どこから……?」
いつきがハッとした。
「建物造る前に見せただろう。あれだ」
──あのことか。
「やっぱり、すごいっ!」
つぐみは目を輝かせながら言った。