心のスケッチ。
#1
エピソード0
僕は最高の人生を過ごしていた。クラスで一番えらくて、一番かっこよくて、一番すごい。
誰だって羨むスーパー洋様だった。
今日は何をするか、明日は何をするか、いつもそればかり考えて、川を泳いでは、学校の校則を破る。女子のスカートなんか平気でめくる。そんな僕にも、大事件!今日は転校生が来るんだってさ!どんなやつなんだろ、かっこいいかな、かわいいかな。
現実は違った。
「はい。転校生の中富空くんです。みなさんとは違う部屋でお勉強していますが、みなさんと同じ3-7です。仲良くしてくださいね」
見た目はまるで子どもだった。僕なんかより、誰よりも子どもだった。喋らないし、指をしゃぶり、鼻くそをほじる。もう3年生なのに。
僕は気に入らなかった。
「なあなあ、転校生予想とちがくね?」
帰りのホームルーム前、先生は転校生を門まで送っていたとき、教卓に座っていった。
「確かに。かっこいい子かと思ったのに」
「わかるー。なんか俺達違う」
「だからさ、このクラスからいらないなら消しちゃおうよ!」
僕は完璧な考えだと思った。
だって、もともと仲良し7組にいらない子が入ってきたら消すでしょ?いらないものは捨てる。お母さんからいっぱい言われたはず。
「私賛成!洋くんが言うなら間違いないね!」
「俺も!洋は絶対だもん!」
そう。このクラスは僕でできている。
僕の意見でできている。
僕がいるからこのクラスはくっついたんだ。
次の日
完全に僕は天狗になったつもりで、転校生が勉強しているなかよし教室と呼ばれる場所で、先生がいなくなったところで、持っていた水とか、変なカプセル。おもちゃを全部捨てた。
もちろん、転校生は泣いた。もともと口数の少ない転校生が僕を全力で怒った。
「なんで!なんで!!!!!」
僕はその転校生の声を聞いたとき、最高に気持がよかった。
なんでだろうか、転校生の叫び声が勝利の鐘に聞こえたつもりだったのだろうか。
次の日
「おもちゃを捨てたそうじゃないか、洋」
「何いってんの先生。僕がそうするやつに見える?」
「見えるから言ってるんだ。そもそも校則を守っていない時点で疑われるに決まってる」
「僕最近守ってますよ!」
「まず服装な。フードはだめだ。お前のせいで、クラス全員パーカーになったろ」
「洋軍団のせいふくだ!これ着てないやつは7組じゃない!」
「はあ。ちゃんと空に謝れよ」
僕は別に悪いと思ってもいないし、先生に呼び出されるわけもわからなかった。
みんなが望んだことを代表して取り組んだだけ。
次の日
僕はまた、計画を立てた!
特別なトイレでおしっこしているのが僕は許せない!だったらトイレにガムをつける!
僕は学校ではほんとは禁止されているガムをくちゃくちゃと食べ、味がなくなったとき、特別なトイレにガムを伸ばした。
もちろん怒られることは承知の上だった。
はずだった。
誰だって羨むスーパー洋様だった。
今日は何をするか、明日は何をするか、いつもそればかり考えて、川を泳いでは、学校の校則を破る。女子のスカートなんか平気でめくる。そんな僕にも、大事件!今日は転校生が来るんだってさ!どんなやつなんだろ、かっこいいかな、かわいいかな。
現実は違った。
「はい。転校生の中富空くんです。みなさんとは違う部屋でお勉強していますが、みなさんと同じ3-7です。仲良くしてくださいね」
見た目はまるで子どもだった。僕なんかより、誰よりも子どもだった。喋らないし、指をしゃぶり、鼻くそをほじる。もう3年生なのに。
僕は気に入らなかった。
「なあなあ、転校生予想とちがくね?」
帰りのホームルーム前、先生は転校生を門まで送っていたとき、教卓に座っていった。
「確かに。かっこいい子かと思ったのに」
「わかるー。なんか俺達違う」
「だからさ、このクラスからいらないなら消しちゃおうよ!」
僕は完璧な考えだと思った。
だって、もともと仲良し7組にいらない子が入ってきたら消すでしょ?いらないものは捨てる。お母さんからいっぱい言われたはず。
「私賛成!洋くんが言うなら間違いないね!」
「俺も!洋は絶対だもん!」
そう。このクラスは僕でできている。
僕の意見でできている。
僕がいるからこのクラスはくっついたんだ。
次の日
完全に僕は天狗になったつもりで、転校生が勉強しているなかよし教室と呼ばれる場所で、先生がいなくなったところで、持っていた水とか、変なカプセル。おもちゃを全部捨てた。
もちろん、転校生は泣いた。もともと口数の少ない転校生が僕を全力で怒った。
「なんで!なんで!!!!!」
僕はその転校生の声を聞いたとき、最高に気持がよかった。
なんでだろうか、転校生の叫び声が勝利の鐘に聞こえたつもりだったのだろうか。
次の日
「おもちゃを捨てたそうじゃないか、洋」
「何いってんの先生。僕がそうするやつに見える?」
「見えるから言ってるんだ。そもそも校則を守っていない時点で疑われるに決まってる」
「僕最近守ってますよ!」
「まず服装な。フードはだめだ。お前のせいで、クラス全員パーカーになったろ」
「洋軍団のせいふくだ!これ着てないやつは7組じゃない!」
「はあ。ちゃんと空に謝れよ」
僕は別に悪いと思ってもいないし、先生に呼び出されるわけもわからなかった。
みんなが望んだことを代表して取り組んだだけ。
次の日
僕はまた、計画を立てた!
特別なトイレでおしっこしているのが僕は許せない!だったらトイレにガムをつける!
僕は学校ではほんとは禁止されているガムをくちゃくちゃと食べ、味がなくなったとき、特別なトイレにガムを伸ばした。
もちろん怒られることは承知の上だった。
はずだった。
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