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「お前は役立たずだ」と追放された俺、実は最強スキル『バグ検出』の持ち主だった件

#8

未来を変えるための選択

王都を離れ、リオとフィリアは新たな目的地へ向かっていた。
王都での戦いが一段落したが、世界の歪みを修正するためには、まだ数多くの謎を解く必要がある。

「次はどこに行くつもりなの?」

フィリアがリオに問いかける。
リオは少し考え込みながら答える。

「王都を支配していたセヴァンが言っていた通り、‘原初のコード’に関する情報が必要だ。
その情報を持っているのは、‘霧の森’の奥に住むと言われる精霊族の長だ。彼から、全ての真実を聞き出すつもりだ」

「霧の森……」

フィリアが少し戸惑いながら言う。

「霧の森は、普通の人間が近づくことすらできない場所よ。
でも、あなたがそこに向かう理由があるなら、私も一緒に行く」

リオはしっかりと頷く。

「俺も、ここで引き返すわけにはいかない。必ず行かなくちゃならない場所だ」

二人の心は、次第に一つの目標に向かって固まっていった。



霧の森に近づくと、辺りはますます陰鬱な雰囲気を漂わせ、木々が不気味にうねるように立ち並んでいた。
空には濃い霧が立ち込めていて、視界が悪くなっている。

「……なんだか、異常だな」

「霧の森の力は、普通じゃないわ。ここには、自然の力が集まりすぎて、精霊たちの住処として機能しているの。
でも、少しでも精霊に対して悪意を向ければ……その力が反応して攻撃してくる」

リオは慎重に歩を進めながら、周囲を警戒する。

「わかった。気をつけろ」

その時、突然、森の中からひとりの人物が現れた。
彼女は白い髪を持つ、華奢な少女の姿だった。身にまとう衣装は、精霊族のものと思われる。

「……あなたたちが、リオとフィリア?」

彼女の声は穏やかでありながら、どこか力強さを感じさせた。

「ええ、私がフィリア。そして、こちらがリオ。あなたは?」

少女はにっこりと微笑む。

「私はミア。精霊族の一員で、ここで精霊たちをまとめている者の一人よ。あなたたちが来るのを待っていたわ」

リオは驚きつつも、質問を投げかける。

「待っていた? どうして?」

ミアは少し沈黙してから、ゆっくりと語り始めた。

「霧の森の力は、非常に古く、強大なもの。でも、この力を解放し、世界に影響を与える者たちが現れると予言されていた。
そして、その者こそが“原初のバグ”に触れる運命にある。あなたたちがその者だと、私たちはずっと見守ってきた」

「予言……?」

フィリアが眉をひそめる。

「はい。あなたたちの力がどこに向かうのか、私たち精霊族には見えている。あなたがこれから選ぶ道が、世界を変えることになる」

リオはその言葉をじっと聞き、心の中で何かが動くのを感じていた。

「選ぶ道……」

ミアはさらに言葉を続ける。

「リオ、あなたが今後どう行動するか、それが世界の“構造”を変える鍵になる。
でも、その選択は決して簡単ではない。あなたは今、“支配”と“自由”の二つの道を前にしている。そして、どちらを選んでも、その後には多くの犠牲が伴う」

リオの胸が重くなる。
フィリアもその言葉に心を打たれている様子だった。

「……じゃあ、俺にはもう選択肢はないのか?」

ミアは少しだけ微笑んで答える。

「選択肢は、もちろんあります。
ただ、その選択が世界を壊すか、変革するか、はあなた次第。何も知らないままで進んではならない」

リオは深呼吸をしてから、目をしっかりと見開く。

「分かった。この先、何が待っていようと、俺が選んだ道を進む。
その先に、世界を変える力があると信じて」

ミアはその言葉にうなずき、手をかざした。
その瞬間、霧の森の奥から、強い光が差し込む。

「それなら、来なさい。
“原初のコード”の真実を知るために」



光の先には、巨大な神殿がそびえていた。
その神殿の中に、リオが求める“原初のコード”の鍵が隠されていることを、リオは確信していた。

だが、そこに待ち受ける真実は、リオが想像していたものとはまったく異なった。


2025/05/26 21:37

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