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そのメイド、要注意です。

#4

#4 そのメイド、戦闘開始。

右手にナイフを持ったライラは、美しい笑みを浮かべながら男らを見る。

そんな彼女の笑みに、男らは危機感と殺意を持って一斉に行動を起こした。滑るように素早い動きで近付いて来て、ライラに襲いかかる。

それぞれがローブの中から取り出した短剣を片手に、ライラへと次々に向かう。ライラはそんな男らを同じ微笑みで眺めて、


「遅い動きですね、欠伸が出ますよ」


ライラはそう言いながら、舞うように踊るようにして全ての攻撃を華麗に避ける。そのまま、彼女は右手のナイフで男らの僅かな隙間を掻い潜り、男らの体に一瞬で裂傷を作り出した。


「________っ!」


「悲鳴すらも出さないだなんて、攻撃のしがいもございませんね」


ライラは退屈そうにそう言いながら、軽々とジャンプし、男らの背後へと降り立つ。

そのまま、ライラは曲芸のように手の中でナイフを弄びながら男らに問いかける。


「もう一度聞きますね、坊っちゃんは攫ったのはアナタ達ですか?」


首を傾げてそう聞くライラの黒瞳には、光が宿っておらず、闇のようにただ暗い。

彼女のその瞳を見て、男らは恐れたように体を震わす。


「おや、怖がらなくてもいいですよ。どうせ、目的などを聞いたらアナタ達に興味はございませんので」


ライラはそう言いながら、再び姿を消す。

男らはすぐに周囲を見回すが、ライラの姿はどこにも見当たらない。

それもそうだろう。

_______ライラは、目にも見えないほどの超高速で木々の幹を蹴り、男らの周囲を移動しているのだから。

その脚力は驚くもので、踏み込み台として蹴った木の幹が砕けるほどだ。

ライラはその速度で男らの体を削ぎ続ける。

手に握られたナイフの刃は血で汚れていくのに反して、ライラの白い肌や白髪、エプロンドレスはまるで血が自ら避けているように全く汚れていない。


「_________あら、手応えが全くありませんね。退屈にも程があります」


そう言って、スカートを翻すライラ。

そんな彼女の周りには、男らの血が散っており、その血の持ち主である男らは一人も立つこと無く倒れていた。


「さてと、目的を言う気にはなりましたでしょうか?言っていただかないと困るのですよ。坊っちゃんを護るのが私の役割なのですから」


男らを見下ろしながらライラは、いつも通りの笑みを浮かべながら言う。

だが、男らはそんな彼女の言葉が聞こえていないのか、ただ苦鳴を漏らすだけだ。


「_______言わないのは勝手です。ですが、それが自身の命を危うくしているとお気付きで?」


ライラはそう言いながら、倒れている男の一人の頭を掴みあげ、目深に被られているフードを剥ぎ取った。

フードの下から出てきたのは、まだ年若い、十代後半くらいの少年の顔だ。

そばかすが目立つ、平凡な少年。ライラの目からすれば、すれ違っても一瞬で忘れそうな顔だ。だが、ライラは警戒を解かない。

ライラは少年の赤茶色の髪を掴んだまま、彼に問いかける。


「コレが最後です_______坊っちゃんは攫ったのは、アナタ達ですか?」


低い声でそう少年に聞くライラ。だが、少年は虚ろな瞳でライラを見つめているだけだ。

少年の様子にライラは形の良い眉を潜め、他に倒れている男らのフードを全て剥ぎ取った。全員が虚ろな目をしている。


「コレは_______」


男らの表情はどこか人形めいたものがあり、ライラは少しだけ考えてから先程の少年に歩み寄った。


「少し、痛いかもしれませんがご容赦を」


そう言い、少年の頬を両側から勢いよく掌で挟んだ。

軽快な音が鳴り、少年が大きく目を見開く。そして、その虚ろだった瞳に光が宿り、辺りを困惑したように見回している。


「こ、ここは・・・・・・?」


少年の戸惑う声が森に響き、その表情は困り果てている。

ライラはそんな彼に、一つずつ分かりやすく説明していく。


「ここは『迷いの森』です。私は先程、アナタ達に襲われました」


「『迷いの森』・・・・・・?僕が貴女を襲った・・・・・・?どういう事ですか?」


戸惑う少年の質問に、ライラは「やはり」と口の中だけで呟き、立ち上がる。

そして、少年に手を差し伸べながら言った。


「坊っちゃんを助ける為に、私に協力してください」

2025/05/23 16:39

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