[太字]近所の方々[/太字]
今年の冬。妬染市でパーティが開かれる。

ぺ・妬染ハウスの意向により、妬染市の回覧板やラジオはその話題で持ち切りだった。
ぺ・妬染ハウスと、特別な関係を持つ家は、2家だけだ。
そしてーー。
ぺ・妬染ハウスのテレビでは、アナウンサーが分かりやすく解説しているニュース番組が流れていた。
それもまた、そのパーティの話題。
ぺ・妬染ハウスの者は、妬染市の愚か者が、情報を盗みやしないか、と怪しみ、ニュース番組の表記を改めさせた。

「ようこそ、ぺ・妬染パーティへ」

［解説］
皆様は、当事者ではありせん。ぺ・妬染(市)ハウスパーティの活気まみれのそのパーティの物語を、どうぞお楽しみください。

[太字]私たち[/太字]
「これは、私たちだけのパーティであってこそ、ぺ・妬染ハウスパーティなのよ.........！」
怒って騒いでいる若い少女を、女中らが宥める。
「母様は、ぺ・妬染(市)ハウスパーティ、と、今年のパーティの大筋を決められていましたよ。」
娘は、半泣きのまま、女中の方を向いた。1人の女中は娘と同じほどの年齢のようで、2人は距離が近く見えた。
「でもぉ、ソラぁ」
甘えるような口調で、ソラに近づいてきたと思いきや、待って！と大きな声を上げた。
「なんで、市がついてるの？母様は、このぺ・妬染ハウスを侮辱されているの！？」
「違いますお嬢様、お静まりください！あくまでも、(市)と定められていらっしゃいます！」
ソラがお大急ぎで、寝室から出ていこうとする娘を捕まえた。
「姫様！」
姫様はソラに抱き抱えられ、子供のようにベッドに座り込んだ。
「もう！落ち着きくだされ。母様は、決してそのようには思っていません！さぁ、さ」
ソラはもう1人の女中に、服を持ってくるよう頼んだ。
「でも、ソラ.........」
と泣き言を言っている姫様は置いておき。

女中は急いで、ソラのクローゼットルームに向かう。
「あ.........」
クローゼットルームは暗い。女中は、そんな暗い部屋の中に、人影を見つけた。
女中なのだから、鍛え上げられているのか。恐れずに、女中はその人影に近寄る。
「リーズールですね。」
「.........！ソウラン！」
リーズールは突然笑顔を見せ、人影に駆け寄った。
「あぁ.........会いたかった。どうやってここに来たの？」
「リーズールにお会いしたくて」
リーズールは、そっと微笑み、彼の隣に座る。
「どうぞ。身分など気にせずに喋りなさいよ。」
リーズールは大雑把にそう言った。
「いっつもそうね」
ソウランは緊張しているようで、何も返さなかった。
「あらら。つまんない男だと、あなたを認定しました、私は。」
「え.........！ちょっと待ってよぉ」
リーズールは今度こそ、大きく笑う。ソウランもそれを拒みはしなかった。彼女と抱き合って笑った。
そのあとも彼女たちは喋っていた。もう長年の中のような距離に見えたのに、今日初めて会った人達のような、不思議な密会が、この日、行われていたことは、後に知られることーー。



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