夢の中で逢いましょう
帰り、私は碧くんと帰ることになった。碧くんが「一緒に帰ろう」と言ってきたので、一緒に帰ることにしたんだ。
少し驚いたが、嬉しかった。
「あの……。場翔くんから聞いたんだけど……」
なんて言えばいいのだろう。どう訊けば気まずく、嫌な気持ちにならないのだろう。
不安が駆ける。だけど、碧くんは微笑み、「ああ。あの事か。いつか八神に話すつもりだったんだけど……。先にあいつか……」と言った。
私は安心し、「な、何で無口になったの?」と聞きたかったことを訊いた。
碧くんは目を丸くし、それから無表情に戻り、こう言った。
「ある日、夢に出てきた。一人の女の子が。夢だったんだけどリアルで。それで、その子と遊んだ。俺はその子の事が好きになった。明るくて、優しくて元気で、思いやりのあるその子に。そして告白した。だけど『この夢はずっと続かない』と言って消えてしまった。それから、その夢は見なくなった。」
その女の子は誰なんだろう、と気になった。
私は「その子の名前は……?」とおそるおそる訊いてみた。
だけど碧くんは「秘密」としか言わなかった。
次の日、まだ目を覚ますことは無く、夢の中にいた。
「あの女の子は誰だったんだろう」
私は昨日、碧くんが言っていた女の子が気になって仕方が無かった。
少し不思議感があって、嫉妬感があった。
陽翔くんなら知っているかもしれないと思い、訊いてみた。
「なんか言ってたけど忘れたな……」
本当に誰なのだろう。その子がいれば、この世界について知れるかもしれない。
だけど、その子は本当にこと世界にいるのだろうか。もしかしたら架空の人物かもしれない。夢だからだ。だけど碧くんは、私と同じようなことを言っていた。
私も今、その状態なんだ。何かが繋がりそうだった。だが、私は段々とこの世界で起こった記憶が薄れていっている。
私は教室に戻り、反射的に机の中を見た。中には知らない日記帳が入っていた。なんだろう? と中を見ると
『今日もまた彼と話した。彼は静かだけどちゃんと私を見てくれる人』
その下には
『「白い記憶」(紅茶)「ユメノキロク」「また君に会えるといい」「瑠璃色のハンカチ“YR”」「ノートの切れ端“この夢は続かない”」「女の子」』
と書いてあった。
「あ……。私が見つけてきた物が全部……」
だけど、書いた記憶はなく、見たことのない日記帳だった。私が使っている日記帳よりも古く、高そうな物だった。
周りに見られるのがなぜか嫌だったので、咄嗟に隠した。
昼休み、私はトイレに行き、席に戻って座ろうとした。
「何これ?」
机の上に一枚の紙が置かれていた。コピー用紙の紙で、無地だった。
裏側に『5ガツサンジュウニ日アサヒナ陽トキエル』と書いてあった。
──誰が何のために? そして三十二日って?
すると、「どうしたのー?」と陽翔くんが来た。
「あ。……なんでもない」
もしかしたら単なる嫌がらせかもしれない、と思い、その紙を机の中にしまった。
陽翔くんは「え? 何それ?」と机の中にしまった紙を不思議そうに見た。
「えっと……」
言い訳が思いつかない。
陽翔くんは勝手に机の中を見てら私がしまった紙を取り出した。
「これか……」と陽翔くんは誰にともなく呟き、「そうなんだよ」と俯いて言った。
「え……?」
それって、陽翔くんがこの世界から消えるってことなの……?
私はそう思った。陽翔くんは私の心を読んだかのように「そう。五月三十二日──六月一日に」と一言言って自分の席に戻った。
「なんで……。なんで、あの人が消えないといけないの……!」
すると、ポイっと丸めた紙が私の机に落ちた。
広げてみると『昼休み屋上へ 陽翔』と書かれていた。
私は彼の方を見た。目が合い、陽翔くんがグッドサインを笑顔で出すが、私にはどこか悲しげに見えた。
少し驚いたが、嬉しかった。
「あの……。場翔くんから聞いたんだけど……」
なんて言えばいいのだろう。どう訊けば気まずく、嫌な気持ちにならないのだろう。
不安が駆ける。だけど、碧くんは微笑み、「ああ。あの事か。いつか八神に話すつもりだったんだけど……。先にあいつか……」と言った。
私は安心し、「な、何で無口になったの?」と聞きたかったことを訊いた。
碧くんは目を丸くし、それから無表情に戻り、こう言った。
「ある日、夢に出てきた。一人の女の子が。夢だったんだけどリアルで。それで、その子と遊んだ。俺はその子の事が好きになった。明るくて、優しくて元気で、思いやりのあるその子に。そして告白した。だけど『この夢はずっと続かない』と言って消えてしまった。それから、その夢は見なくなった。」
その女の子は誰なんだろう、と気になった。
私は「その子の名前は……?」とおそるおそる訊いてみた。
だけど碧くんは「秘密」としか言わなかった。
次の日、まだ目を覚ますことは無く、夢の中にいた。
「あの女の子は誰だったんだろう」
私は昨日、碧くんが言っていた女の子が気になって仕方が無かった。
少し不思議感があって、嫉妬感があった。
陽翔くんなら知っているかもしれないと思い、訊いてみた。
「なんか言ってたけど忘れたな……」
本当に誰なのだろう。その子がいれば、この世界について知れるかもしれない。
だけど、その子は本当にこと世界にいるのだろうか。もしかしたら架空の人物かもしれない。夢だからだ。だけど碧くんは、私と同じようなことを言っていた。
私も今、その状態なんだ。何かが繋がりそうだった。だが、私は段々とこの世界で起こった記憶が薄れていっている。
私は教室に戻り、反射的に机の中を見た。中には知らない日記帳が入っていた。なんだろう? と中を見ると
『今日もまた彼と話した。彼は静かだけどちゃんと私を見てくれる人』
その下には
『「白い記憶」(紅茶)「ユメノキロク」「また君に会えるといい」「瑠璃色のハンカチ“YR”」「ノートの切れ端“この夢は続かない”」「女の子」』
と書いてあった。
「あ……。私が見つけてきた物が全部……」
だけど、書いた記憶はなく、見たことのない日記帳だった。私が使っている日記帳よりも古く、高そうな物だった。
周りに見られるのがなぜか嫌だったので、咄嗟に隠した。
昼休み、私はトイレに行き、席に戻って座ろうとした。
「何これ?」
机の上に一枚の紙が置かれていた。コピー用紙の紙で、無地だった。
裏側に『5ガツサンジュウニ日アサヒナ陽トキエル』と書いてあった。
──誰が何のために? そして三十二日って?
すると、「どうしたのー?」と陽翔くんが来た。
「あ。……なんでもない」
もしかしたら単なる嫌がらせかもしれない、と思い、その紙を机の中にしまった。
陽翔くんは「え? 何それ?」と机の中にしまった紙を不思議そうに見た。
「えっと……」
言い訳が思いつかない。
陽翔くんは勝手に机の中を見てら私がしまった紙を取り出した。
「これか……」と陽翔くんは誰にともなく呟き、「そうなんだよ」と俯いて言った。
「え……?」
それって、陽翔くんがこの世界から消えるってことなの……?
私はそう思った。陽翔くんは私の心を読んだかのように「そう。五月三十二日──六月一日に」と一言言って自分の席に戻った。
「なんで……。なんで、あの人が消えないといけないの……!」
すると、ポイっと丸めた紙が私の机に落ちた。
広げてみると『昼休み屋上へ 陽翔』と書かれていた。
私は彼の方を見た。目が合い、陽翔くんがグッドサインを笑顔で出すが、私にはどこか悲しげに見えた。