夢の中で逢いましょう
次の日、私は普通に起きた。
リビングに行き、「おはようございます」と挨拶をした。
「おはよう。……そうだ。るりちゃん。今日、碧と学校に行くんだよ」と思い出したかのようにひとみさんが言った。
「ええ⁉︎ 今日⁉︎」
昨日言って、今日行けるのか、という驚きでいっぱいだ。
「昨日、手続きしたら明日から行ける、って言われてね」
私はとても嬉しかった。碧くんと学校に行けるなんて、夢のようだ。
「いってきます」と私と碧くん、二人で声を合わせて外に出た。
色々がリアルだ。自分の声や気持ち、生活音など色々が。
学校の校門が見えてきた。『[漢字]聖桜[/漢字][ふりがな]せいおう[/ふりがな]学園』という文字が刻まれている校門が。
「ここだよ」
五月なのに桜が咲いている。しかも満開だ。桜の木が左右にあるのでトンネルのようだった。私は思わず「わぁー」と声を上げた。
「八神るりです。……えっと、よろしく」と普通の自己紹介をした。
私は碧くんのクラスである、三年D組に所属することになった。
「八神は水無月の隣へ」
先生が私の席を教えてくれた。
「よろしく」と私は碧くんに言った。だけど碧くんは何も言わずに頷いただけだった。
……なんか、家と態度が違うな。
そう私は思った。家では積極的に話す。だけど、学校では無口だ。
すると、「碧ー。おはよー」と一人の男子──[漢字]朝比奈 陽翔[/漢字][ふりがな]あさひな はると[/ふりがな]くんが碧くんの席に駆けつけた。
「おはよ」と碧くんは軽く挨拶をし、机の中に閉まっている一冊の本を取り出し、それを読んだ。
彼は碧くんの親友だ。
私は彼を見つめた。やっぱり、『青空の中で君と』の世界に居るんだ、と実感した。
彼は私に気付き、「あ、転校生の八神るりさんだー! 俺、朝比奈陽翔っていうんだー! よろしく!」と言った。
「よろしく!」
私は嬉しく思った。
休み時間、陽翔くんと二人きりになった。
「なぁ、碧の事って知ってるか?」
そう、急に言われたので驚いていた。多分、彼にも伝わっているだろう。
「そんなに知らないけど」
私が碧くんの家に居るということは誰も知らない筈だ。
「碧が言ってくれたんだよ。一緒に暮らしてるって。だけど、アイツはさ……そーいう……無口だからさ、あまり言わないんだけど……」
私は「へぇ」としか言えなかった。いや、どう返せばいいのか分からなかった。
「アイツ、元々さ、無口じゃなかったんだよ」
その言葉を聞いて私ははっとした。アニメではそんな事なんて分からない。
中学校生活からスタートしているので小学生の頃なんて、全くアニメや漫画、小説に描かれていない。
「え? 何で……?」
私は気になり、訊いてみた。陽翔くんは目を丸くした。
それを見て、私はすぐに恥ずかしくなった。訊いてはいけない事を訊いて。
「八神さんなら言っていいか」と彼は呟やき、「アイツ、小学生の頃、振られたんだ」
振られたって、まさか、あのフラれた……? 私は疑問に思い、考えていたことをそのまま言った。彼は小さく「うん」と頷いた。
すると、チャイムが鳴った。
「詳しいことは碧に訊いて。多分、八神さんなら口を開くと思うから」と言い、教室に戻っていった。
私は訊きたかったが、どうやって訊けばいいのか分からなかった。
リビングに行き、「おはようございます」と挨拶をした。
「おはよう。……そうだ。るりちゃん。今日、碧と学校に行くんだよ」と思い出したかのようにひとみさんが言った。
「ええ⁉︎ 今日⁉︎」
昨日言って、今日行けるのか、という驚きでいっぱいだ。
「昨日、手続きしたら明日から行ける、って言われてね」
私はとても嬉しかった。碧くんと学校に行けるなんて、夢のようだ。
「いってきます」と私と碧くん、二人で声を合わせて外に出た。
色々がリアルだ。自分の声や気持ち、生活音など色々が。
学校の校門が見えてきた。『[漢字]聖桜[/漢字][ふりがな]せいおう[/ふりがな]学園』という文字が刻まれている校門が。
「ここだよ」
五月なのに桜が咲いている。しかも満開だ。桜の木が左右にあるのでトンネルのようだった。私は思わず「わぁー」と声を上げた。
「八神るりです。……えっと、よろしく」と普通の自己紹介をした。
私は碧くんのクラスである、三年D組に所属することになった。
「八神は水無月の隣へ」
先生が私の席を教えてくれた。
「よろしく」と私は碧くんに言った。だけど碧くんは何も言わずに頷いただけだった。
……なんか、家と態度が違うな。
そう私は思った。家では積極的に話す。だけど、学校では無口だ。
すると、「碧ー。おはよー」と一人の男子──[漢字]朝比奈 陽翔[/漢字][ふりがな]あさひな はると[/ふりがな]くんが碧くんの席に駆けつけた。
「おはよ」と碧くんは軽く挨拶をし、机の中に閉まっている一冊の本を取り出し、それを読んだ。
彼は碧くんの親友だ。
私は彼を見つめた。やっぱり、『青空の中で君と』の世界に居るんだ、と実感した。
彼は私に気付き、「あ、転校生の八神るりさんだー! 俺、朝比奈陽翔っていうんだー! よろしく!」と言った。
「よろしく!」
私は嬉しく思った。
休み時間、陽翔くんと二人きりになった。
「なぁ、碧の事って知ってるか?」
そう、急に言われたので驚いていた。多分、彼にも伝わっているだろう。
「そんなに知らないけど」
私が碧くんの家に居るということは誰も知らない筈だ。
「碧が言ってくれたんだよ。一緒に暮らしてるって。だけど、アイツはさ……そーいう……無口だからさ、あまり言わないんだけど……」
私は「へぇ」としか言えなかった。いや、どう返せばいいのか分からなかった。
「アイツ、元々さ、無口じゃなかったんだよ」
その言葉を聞いて私ははっとした。アニメではそんな事なんて分からない。
中学校生活からスタートしているので小学生の頃なんて、全くアニメや漫画、小説に描かれていない。
「え? 何で……?」
私は気になり、訊いてみた。陽翔くんは目を丸くした。
それを見て、私はすぐに恥ずかしくなった。訊いてはいけない事を訊いて。
「八神さんなら言っていいか」と彼は呟やき、「アイツ、小学生の頃、振られたんだ」
振られたって、まさか、あのフラれた……? 私は疑問に思い、考えていたことをそのまま言った。彼は小さく「うん」と頷いた。
すると、チャイムが鳴った。
「詳しいことは碧に訊いて。多分、八神さんなら口を開くと思うから」と言い、教室に戻っていった。
私は訊きたかったが、どうやって訊けばいいのか分からなかった。