夢の中で逢いましょう
「──り! るり!」
「はっ⁉︎」
「いつまで寝てるの? 遅刻するよ」と母が言う。
時計を見ると八時。私は「うわっ!」と飛び起きた。
教室に入るのと同時にチャイムが鳴った。
「先生。お腹が痛くて……」とどうにか遅刻を誤魔化した。
「バレバレだぞ。八神」と先生がはははと笑う。それから、クラスメイトが笑う。
「えへへ。バレたか……」
私は周りの空気に合わせて笑った。
私は机の中から日記を取り出した。昨日、書き忘れてしまったので、今、書こうと思っているのだ。
私は栞が挟まれているページを開いた。
「え……?」
そのページにはいかにも私のノートではない切れ端が挟まれていた。
何だろう、と思い、何か書かれているか両面を調べてみた。
小さく、切れ端の端っこに「この夢は続か」と書いてあった。
最後の方は切れていて分からなかったが、多分、「この夢は続かない」と書いてあるのだろうと思った。私は急に怖くなり、開いていた日記帳をすぐさま閉じた。
退屈な授業も終わった。友達が「一緒に帰ろう」と誘ってきたが、「用事がある」と断り、一目散に家へ向かった。
「ただいまーっ!」と元気よく挨拶をし、靴を脱ぎ、走って自分の部屋に入った。
ベッドに寝転がり、日記帳に挟まっていたノートの切れ端を見つめた。
「何で挟まっていたのだろう……」
そう呟いた瞬間、急に眠気が私を襲った。
「おかえり」という声がした。
私は思わず目を開けた。
そこには無表情の碧くんがいた。
「えっと……」
私は戸惑った。前回、どのような話をしたっけ……?
夢の中で碧くんに会って……。それから……。どんどん記憶が抜けていくような気がした。
なぜだろう。何かが起きている。
「大丈夫?」と碧くんが心配してくれた。私は何も言わずに頷いた。
すると、がちゃりと玄関のドアが開いた。
「ただいまー」と疲れた顔をしているひとみさんが帰ってきた。
「だ、大丈夫ですか……?」
私はひとみさんの顔を見て言った。
「え? 何が?」
彼女は気づいてきないみたいだった。
「疲れている顔をしているので」と私は言った。
「そう?」と言われたので、「私にはそう見えます。ゆっくり休んでください」と言った。
「ありがとう」とひとみさんは言い、一呼吸置いて「ねぇ、るりちゃん。学校……行かない?」と言った。
突然のことだったので、私は驚いた。多分、彼女にも伝わっているだろう。
正直、私は夢の中だから行かなくていい、と思っていたが、ひとみさんが言ってくるので、「行かなくていいと」言えなかった。
「もし良かったらのことだけど。るりちゃんは中学三年生だよね?」
「はい」
「碧と同じだからもし良かったら碧と……。碧が喜ぶからね」
「ちょっと母さん」
碧くんと同じ学校なら行きたいと思った。だけど、家でのんびりしたいと思う自分がいた。まるで天使と悪魔の囁きのように。どちらが天使でどちらが悪魔なのかは分からなかったがそう思えた。
もしかしたら学校に行けば、この世界の正体が分かるかもしれない。
私はそう思い「はい、行きたいです!」と迷わず言った。
一日目が終わった。長く感じた一日だった。
「はっ⁉︎」
「いつまで寝てるの? 遅刻するよ」と母が言う。
時計を見ると八時。私は「うわっ!」と飛び起きた。
教室に入るのと同時にチャイムが鳴った。
「先生。お腹が痛くて……」とどうにか遅刻を誤魔化した。
「バレバレだぞ。八神」と先生がはははと笑う。それから、クラスメイトが笑う。
「えへへ。バレたか……」
私は周りの空気に合わせて笑った。
私は机の中から日記を取り出した。昨日、書き忘れてしまったので、今、書こうと思っているのだ。
私は栞が挟まれているページを開いた。
「え……?」
そのページにはいかにも私のノートではない切れ端が挟まれていた。
何だろう、と思い、何か書かれているか両面を調べてみた。
小さく、切れ端の端っこに「この夢は続か」と書いてあった。
最後の方は切れていて分からなかったが、多分、「この夢は続かない」と書いてあるのだろうと思った。私は急に怖くなり、開いていた日記帳をすぐさま閉じた。
退屈な授業も終わった。友達が「一緒に帰ろう」と誘ってきたが、「用事がある」と断り、一目散に家へ向かった。
「ただいまーっ!」と元気よく挨拶をし、靴を脱ぎ、走って自分の部屋に入った。
ベッドに寝転がり、日記帳に挟まっていたノートの切れ端を見つめた。
「何で挟まっていたのだろう……」
そう呟いた瞬間、急に眠気が私を襲った。
「おかえり」という声がした。
私は思わず目を開けた。
そこには無表情の碧くんがいた。
「えっと……」
私は戸惑った。前回、どのような話をしたっけ……?
夢の中で碧くんに会って……。それから……。どんどん記憶が抜けていくような気がした。
なぜだろう。何かが起きている。
「大丈夫?」と碧くんが心配してくれた。私は何も言わずに頷いた。
すると、がちゃりと玄関のドアが開いた。
「ただいまー」と疲れた顔をしているひとみさんが帰ってきた。
「だ、大丈夫ですか……?」
私はひとみさんの顔を見て言った。
「え? 何が?」
彼女は気づいてきないみたいだった。
「疲れている顔をしているので」と私は言った。
「そう?」と言われたので、「私にはそう見えます。ゆっくり休んでください」と言った。
「ありがとう」とひとみさんは言い、一呼吸置いて「ねぇ、るりちゃん。学校……行かない?」と言った。
突然のことだったので、私は驚いた。多分、彼女にも伝わっているだろう。
正直、私は夢の中だから行かなくていい、と思っていたが、ひとみさんが言ってくるので、「行かなくていいと」言えなかった。
「もし良かったらのことだけど。るりちゃんは中学三年生だよね?」
「はい」
「碧と同じだからもし良かったら碧と……。碧が喜ぶからね」
「ちょっと母さん」
碧くんと同じ学校なら行きたいと思った。だけど、家でのんびりしたいと思う自分がいた。まるで天使と悪魔の囁きのように。どちらが天使でどちらが悪魔なのかは分からなかったがそう思えた。
もしかしたら学校に行けば、この世界の正体が分かるかもしれない。
私はそう思い「はい、行きたいです!」と迷わず言った。
一日目が終わった。長く感じた一日だった。