夢の中で逢いましょう
──ここはどこ?
夢の中だろうか。だけど[漢字]現実[/漢字][ふりがな]リアル[/ふりがな]だ。
手が動く。自分の意思で。
目の前を見るとどこにでもありそうな川が流れていた。周りは川の土手。青い空が広がっている。ひゅーっと風が吹く。夢の中だけど感覚がある。明晰夢なのだろうか。
気持ち良かったので、私は寝転がった。
すると、足音がした。私は反射的に足音がした方を見た。
「え」
その人は私の推しである水無月 碧だ。まるで夢小説みたいな展開だ。
「みなづ……」彼の名前を言おうとしたが、言うのをやめた。
私は碧くんのことを知っているが、碧くんは私のことを知らない、もしかしたら私のことを変人扱いされるかも……。
「え?」と言われたので、私は「な、なんでもない!」と下手くそに誤魔化した。
「あっそ」と彼は言い、私の隣に座った。勿論、距離は離れている。
ここは本当に夢なのか。私は訊いてみたくなったが、碧くんはあまり話すタイプではない。心を開くのに時間がかかり、開く人も限られている。
だけど、話すしかない。私は思い切って「ここは夢……ですか?」と訊いてみた。
「は? 夢? 何言ってんの?」と冷たい目で見られてしまった。
「えっと……」
私は何も言えなかった。これ以上言ったら嫌われてしまう、という思いが強く、心の中にあったからだ。だが、このまま言わずにいると、一生この分からない世界の中で暮らすことになる気がして、私は「私、別の世界から来て……。起きたらここにいて……」と最後は力なく言った。
碧くんは私の方を見て、「多分、夢だ。寝て、起きたらここにいたんだろ?」と言った。
碧くんって、こんなに喋る人だっけ、と私は思った。アニメだと本当に無口だからだ。
空が茜色に染まってきた。烏は「かぁー」っと鳴き、西へ向かって行った。夕日を目指しているみたいだ、と思った。烏たちは迷いなく夕日を目指しているように見えた。私もそうやって迷いなく進んで行きたいと思った。
「俺は帰る。……えっと、名前は?」
「や、八神 るりです」
妙に緊張するものだ。
「八神は……まだここに居るのか?」と訊かれたので、私は「ちょっと夕焼けが綺麗だから、まだここに居ることにする」と誤魔化した。夢だから家なんて無い。場所が分からない。
今日の夕焼けはそれほど綺麗ではない。いつでも見れそうな平凡な夕焼けだ。だが、目が離せなかった。なぜだろう。
その時、「はっ⁉︎」と目が覚めた。
やっぱり夢だ。推しと会話する、よくある夢だ。だが、他の夢とは違い、リアルだった。
時計を見ると“22:30”と表示されていた。長い夢だったが、睡眠時間はまだ一時間だ。もう一度、私は寝た。何事も無かったかのように。
夢の中だろうか。だけど[漢字]現実[/漢字][ふりがな]リアル[/ふりがな]だ。
手が動く。自分の意思で。
目の前を見るとどこにでもありそうな川が流れていた。周りは川の土手。青い空が広がっている。ひゅーっと風が吹く。夢の中だけど感覚がある。明晰夢なのだろうか。
気持ち良かったので、私は寝転がった。
すると、足音がした。私は反射的に足音がした方を見た。
「え」
その人は私の推しである水無月 碧だ。まるで夢小説みたいな展開だ。
「みなづ……」彼の名前を言おうとしたが、言うのをやめた。
私は碧くんのことを知っているが、碧くんは私のことを知らない、もしかしたら私のことを変人扱いされるかも……。
「え?」と言われたので、私は「な、なんでもない!」と下手くそに誤魔化した。
「あっそ」と彼は言い、私の隣に座った。勿論、距離は離れている。
ここは本当に夢なのか。私は訊いてみたくなったが、碧くんはあまり話すタイプではない。心を開くのに時間がかかり、開く人も限られている。
だけど、話すしかない。私は思い切って「ここは夢……ですか?」と訊いてみた。
「は? 夢? 何言ってんの?」と冷たい目で見られてしまった。
「えっと……」
私は何も言えなかった。これ以上言ったら嫌われてしまう、という思いが強く、心の中にあったからだ。だが、このまま言わずにいると、一生この分からない世界の中で暮らすことになる気がして、私は「私、別の世界から来て……。起きたらここにいて……」と最後は力なく言った。
碧くんは私の方を見て、「多分、夢だ。寝て、起きたらここにいたんだろ?」と言った。
碧くんって、こんなに喋る人だっけ、と私は思った。アニメだと本当に無口だからだ。
空が茜色に染まってきた。烏は「かぁー」っと鳴き、西へ向かって行った。夕日を目指しているみたいだ、と思った。烏たちは迷いなく夕日を目指しているように見えた。私もそうやって迷いなく進んで行きたいと思った。
「俺は帰る。……えっと、名前は?」
「や、八神 るりです」
妙に緊張するものだ。
「八神は……まだここに居るのか?」と訊かれたので、私は「ちょっと夕焼けが綺麗だから、まだここに居ることにする」と誤魔化した。夢だから家なんて無い。場所が分からない。
今日の夕焼けはそれほど綺麗ではない。いつでも見れそうな平凡な夕焼けだ。だが、目が離せなかった。なぜだろう。
その時、「はっ⁉︎」と目が覚めた。
やっぱり夢だ。推しと会話する、よくある夢だ。だが、他の夢とは違い、リアルだった。
時計を見ると“22:30”と表示されていた。長い夢だったが、睡眠時間はまだ一時間だ。もう一度、私は寝た。何事も無かったかのように。