夢の中で逢いましょう
#1
一話 プロローグ
ジリジソジリ! と目覚まし時計が鳴る。
「うっさいなあ。休日なんだから……」寝かせろ、と思った瞬間、私は思い出した。
「学校じゃん!」
今日は火曜日。土、日、月と休みだったので、曜日感覚がおかしくなっていたのだ。
リビングに行くと母がいた。
「起こしてよお」と私はむすっとしながら言った。
「ちゃんと起こしましたあ」と私を煽るような口調で母は言った。
寝癖だらけの髪をアイロンで綺麗に直す。
「よし、これでオッケー!」
制服に着替え、バッグを持ち、パンを咥えて外に出る。
五月の爽やかな風が吹く。
「間に合ったかなあ」私は少し怖くなった。
周りが驚くほどさらさらで真っ直ぐな髪が、短時間でぐちゃぐちゃに。それどころではない。学校に間に合うのか……!
なんとか間に合いそうだ。廊下を静かに歩く。すると、時計の針がかちっと動き、きーんこーんかーんこーんとチャイムが鳴った。
「間に合った? 先生、セーフですか?」となんとなく先生に訊いた。
「アウトだな」と先生は言い、わははと笑っていた。
「とりあえず席に座れ、八神」と言われた。
私は八神るり。月澄中学校の三年だ。
私はいつも学校に来るのが遅い。理由は夜中までアニメを観ていたり、夢小説を読んでいたりするからだ。そのせいて寝る時間が遅くなり、寝坊する、ということだ。しょうがない。だって推しはかっこいいのだから。
私の推しは「青空の中で君と」というアニメの主人公、[漢字]水無月 碧[/漢字][ふりがな]みなづき あおい[/ふりがな]くんだ。
碧くんは同じ中学三年生で、私は約二年、片思いをしている。だけど相手は[漢字]アニメキャラ[/漢字][ふりがな]存在しない人[/ふりがな]。会えないし、話せない。親も「ちゃんとした恋をしようよ」と言ってくるし、友達は「おかしい」と言ってくる。
外を見た。雲一つない快晴。木も鮮やかな緑。校庭では五十メートル走をやっている。すると、「八神」と三学年の先生の中で一番怖い[漢字]刃向[/漢字][ふりがな]はむかい[/ふりがな]先生に注意された。クラスメイトは石のように動かなくなった。
「進路希望調査を行います。来週の火曜日までに出すように」と担任の先生が言った。進路なんてまだ決まってない。まだ五月なのにこんな紙が配られるのか。
前の人が私にプリントを渡してくれた。
初めて見る本物の進路希望調査。アニメや漫画でしか見たことがなかった。だけどこれから何回もこの紙が渡されて書かないといけないんだ。
「はぁ」とため息を吐く。
帰りの会が終わった。友達が「一緒に帰ろう」と誘ってくる。だけど、私は早く帰りたい。今日、母が布団を洗って干してくれたからだ。いつもと違い、ふかふかして暖かいお日様の香りがする布団で寝たいからだ。
「ちょっと用事があるから一緒に帰れないんだよね。また後で帰ろう!」と誤魔化した。
えっほえっほと走る。「八神るりの趣味は寝ることだと伝えなきゃ」
やっと家に着いた。布団が私を待っている。
「布団洗ったからね。もうセットしておいたよ」と母。
「はーい」と返事をし、バッグを置いて自分の部屋に向かった。
ガチャ、とドアを開け、制服のままで布団に飛び込んだ。
気持ちがいい。私はすぐに寝てしまった。
「うっさいなあ。休日なんだから……」寝かせろ、と思った瞬間、私は思い出した。
「学校じゃん!」
今日は火曜日。土、日、月と休みだったので、曜日感覚がおかしくなっていたのだ。
リビングに行くと母がいた。
「起こしてよお」と私はむすっとしながら言った。
「ちゃんと起こしましたあ」と私を煽るような口調で母は言った。
寝癖だらけの髪をアイロンで綺麗に直す。
「よし、これでオッケー!」
制服に着替え、バッグを持ち、パンを咥えて外に出る。
五月の爽やかな風が吹く。
「間に合ったかなあ」私は少し怖くなった。
周りが驚くほどさらさらで真っ直ぐな髪が、短時間でぐちゃぐちゃに。それどころではない。学校に間に合うのか……!
なんとか間に合いそうだ。廊下を静かに歩く。すると、時計の針がかちっと動き、きーんこーんかーんこーんとチャイムが鳴った。
「間に合った? 先生、セーフですか?」となんとなく先生に訊いた。
「アウトだな」と先生は言い、わははと笑っていた。
「とりあえず席に座れ、八神」と言われた。
私は八神るり。月澄中学校の三年だ。
私はいつも学校に来るのが遅い。理由は夜中までアニメを観ていたり、夢小説を読んでいたりするからだ。そのせいて寝る時間が遅くなり、寝坊する、ということだ。しょうがない。だって推しはかっこいいのだから。
私の推しは「青空の中で君と」というアニメの主人公、[漢字]水無月 碧[/漢字][ふりがな]みなづき あおい[/ふりがな]くんだ。
碧くんは同じ中学三年生で、私は約二年、片思いをしている。だけど相手は[漢字]アニメキャラ[/漢字][ふりがな]存在しない人[/ふりがな]。会えないし、話せない。親も「ちゃんとした恋をしようよ」と言ってくるし、友達は「おかしい」と言ってくる。
外を見た。雲一つない快晴。木も鮮やかな緑。校庭では五十メートル走をやっている。すると、「八神」と三学年の先生の中で一番怖い[漢字]刃向[/漢字][ふりがな]はむかい[/ふりがな]先生に注意された。クラスメイトは石のように動かなくなった。
「進路希望調査を行います。来週の火曜日までに出すように」と担任の先生が言った。進路なんてまだ決まってない。まだ五月なのにこんな紙が配られるのか。
前の人が私にプリントを渡してくれた。
初めて見る本物の進路希望調査。アニメや漫画でしか見たことがなかった。だけどこれから何回もこの紙が渡されて書かないといけないんだ。
「はぁ」とため息を吐く。
帰りの会が終わった。友達が「一緒に帰ろう」と誘ってくる。だけど、私は早く帰りたい。今日、母が布団を洗って干してくれたからだ。いつもと違い、ふかふかして暖かいお日様の香りがする布団で寝たいからだ。
「ちょっと用事があるから一緒に帰れないんだよね。また後で帰ろう!」と誤魔化した。
えっほえっほと走る。「八神るりの趣味は寝ることだと伝えなきゃ」
やっと家に着いた。布団が私を待っている。
「布団洗ったからね。もうセットしておいたよ」と母。
「はーい」と返事をし、バッグを置いて自分の部屋に向かった。
ガチャ、とドアを開け、制服のままで布団に飛び込んだ。
気持ちがいい。私はすぐに寝てしまった。
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