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曲パロ

#2

ファタール

 [下線]また夢から覚める[/下線]
泥のように重いこの夢を何度見続けてきただろう。
『ルビー、アクア、ネル、愛してる』
ゆっくりと暖かい人のぬくもりが消えていく瞬間。
人の瞳から生気が失われた瞬間。
「泣いて、る....」
[下線]濡れた[/下線]重い[下線]瞼を開ける[/下線]。
カーテンから漏れ出る明るい日差しが僕を突き刺すように照らした。
夢の日のことは毎日と言っていい程、それも[下線]狂おしいほど思い出す[/下線]。あの、幼き頃の[下線]遠き日の無力さを[/下線]これでもかと[下線]呪い[/下線]たいぐらいには自分が嫌いだった。
そんな[下線]身を焼かれるような絶望も糧にはなろうか[/下線]?
今日もアイへの[下線]憧れに焦がれるまま[/下線]糧を[下線]燃やし続けている[/下線]。
アイと言えば[下線]キラキラ[/下線]とした一番[下線]お星様を宿した[漢字]eyes[/漢字][ふりがな]目[/ふりがな][/下線]が特徴的だった。
その瞳は自然と子供である私達にも引き継がれた。
美しく輝くそれぞれの瞳。
でも、アイの方が一段と美しく人々を魅了していたように思う。
ねぇ、アイ。
僕には何が足りないのかな?
やっぱり、[漢字]母親[/漢字][ふりがな]アイ[/ふりがな][下線]からの[漢字]lack of 愛?[/漢字][ふりがな]愛が足りない?[/ふりがな][/下線]
もうすっかり[下線]カラカラ渇いて可哀想[/下線]?
そんなことはないと思うんだ。
あの最後の一言で愛されてるんだなーって思えたから。
[下線]全てを孤独から救う眩しい[漢字]光[/漢字][ふりがな]アイ[/ふりがな][/下線]。
そのアイの裏面は誰も知らない。
もしかしたら、アイには裏なんてものはないのかもしれない。
でも、もうあなたはいないから誰もわかりやしないね。
アイのことを、父親のことをアクアと調べていくにつれ僕に異変が訪れた。
毎朝、鏡を見るたび僕の瞳の星がどんどん黒に染まっていくのだ。
[下線]僕にだけ落ちる影は[漢字]あなた[/漢字][ふりがな]僕[/ふりがな]のせい[/下線]なの?
アクアは、アイのことを思い出すと時々過呼吸になったりしてしまう癖が出来た。
これから役者になるであろうアクアに[下線]致命的な欠落をくれたね[/下線]と父親に向けてしみじみ思う。
お前が住所を教えなければこんなことにはならなかったのに。
[下線]身勝手な[漢字]巨星[/漢字][ふりがな]父親[/ふりがな]に狂わされた[/下線]アクアと僕の[下線]生[/下線]。
本当にどうしてくれるんの?
ねぇ、アイ。
[下線]お願い、[/下線]一度でいいから[下線]声を聞かせて[/下線]よ。
心の中でひどく[下線]絡まって歪んでしまった[漢字]傷[/漢字][ふりがな]愛[/ふりがな]さえくれたのはあなただけ[/下線]なんだよ?
[下線]お願い、僕を見ていて、宿命に刻まれた[/下線]心の[下線]痛みさえ武器にして[/下線]、[漢字]この世界[/漢字][ふりがな]芸能界[/ふりがな]で戦うから、見守っててね?[下線]いつかの後悔すら照らせるように[/下線]してみせるから。
ねえ、アイ。
[下線]僕を見ていてね、最愛の[漢字]ファタール[/漢字][ふりがな]あい[/ふりがな]![/下線]


 アイが三つ子を妊娠したと聞き、俺は[下線]あなたがいないと生きていけない[/下線]ということに気が付いた。
それと同時に俺を襲う絶望感。
[下線]何もかも捧げてしまってもいい[/下線]と思えるような人だったから。
全財産、アイのグッズやB小町のCDに費やしたこともあったし、アイの出演したドラマは全話録画ののちのドラマDVDも買った。映画だって何周リピートしたことか。アイの出たバラエティもアイの喋る瞬間やアイの映る瞬間だけを切り取り、ダビングするほどアイに時間を費やしていた。
[下線]あなたの愛がまだ足りない[/下線]。
ライブ映像で叫ばれるアイの『愛してる』。
それを何十回、何百回、何千回と聴いても物足りない。
[下線]欠けたものは何で埋めたらいい?[/下線]
嗚呼、そっか。
アイを殺して俺のものにすれば──…。

 [下線]キラキラ[/下線]な[下線]お星様を宿した[漢字]あなた[/漢字][ふりがな]アイ[/ふりがな]の[漢字]eyes[/漢字][ふりがな]天性の瞳[/ふりがな][/下線]。
僕はそんな君に演技を指導していくにつれどんどん好きになって行ったんだ。
きっと[下線]カラカラ渇いて可哀想なほど、人からの[漢字]愛が足りな[/漢字][ふりがな]lack of 愛[/ふりがな]かったんだろうね。[/下線]
それはもう、夢中になってしまうほど惚れたね。
本当に[下線]遥か彼方から放たれた美しさ[/下線]。そう表現するしかないぐらい綺麗だった。
[下線][漢字]灼かれた[/漢字][ふりがな]光輝いた[/ふりがな]目[/下線]に対し、僕は[下線]もがれた羽根、創造的堕天[/下線]とでも言っておこうか。それほどまで対照的だった。
[下線]あらゆる視界[/下線]という人々の視線を[下線]ジャック[/下線]し続けた。
そして[下線]その輝きは[/下線]自己中心的──…あぁ、[下線]エゴイスティック[/下線]と言うね。兎に角まぁ、そんな感じがしたんだよ。
僕の[下線]胸の奥に仕舞った[/下線]自由になりたいという[下線]感情さえも引っ張り出して昇華して、僕という運命を全部抱きしめていく[/下線]。そんな結構強引な子だったよ。
[下線]あなたがいないと生きていけない[/下線]。
アイに振られてずっとずっと思っていたことだった。
一緒にいた頃のようにその[下線]眩しさでこの身を照らしてほしい[/下線]と願い続けた。
[下線]あなたの愛がまだ足らない[/下線]
ねぇ、僕はこれからどうしたらいいの?
どうしてくれるの?
[下線]夢の中でもらうしか[/下線]もう僕には[下線]ないのに[/下線]。
誰も僕のことを愛してはくれなかったんだろうね。
よかったね、アイのファン。
これで、アイは[下線]誰のものでもなく[/下線]なったよ。
でも、僕の中でのアイは[下線]最愛のファタール[/下線]だからね。
あの日、リョースケにアイの住所を言ったこと、そして僕自身をを[下線]何度悔み、何度呪っただろう[/下線]
芸能人としてそれなりにやっていけていた時期も[下線]どれほどの幸福を注いだとしても満たされることのない器[/下線]が満たされたような気がしたのはアイと一緒にいたからだ。
[下線]何度夢見ただろうか
何度願っただろうか。
僕の胸で膿み続けている傷を撫でる手[/下線]がさしのばされ、それがアイであることを。

 [下線]この[漢字]舞台[/漢字][ふりがな]芸能界[/ふりがな]で足掻くことをやめない[/下線]。
そして、[下線]ただ一つのアイに近づきたい[/下線]そう[下線]固く定まったこの宿命。
あの瞳の星の光からこぼれた闇[/下線]──…。


「「[下線]最愛のファタール[/下線]」」

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作者メッセージ

https://www.youtube.com/watch?v=8tQiWHXSGN0 本家様
https://www.youtube.com/watch?v=PAcf55v6zqQ 【推しの子】第2期ノンクレジットオープニング

2024/08/07 15:11

伊折 ID:≫ppBd7rNLoAd1k
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