国姫が転生したのに、歌えないってどういうことですか!?〜0からやり直し人生〜
「薬草による、魔力量を上げる方法…?」
ページを捲る手が、自然と早まる。
『ある薬草には、魔力量を高める効果があると言われている。それはウレバナやマルドパパリレなどの、主に森に生息する植物だ。』
(森、か…)
少し先に、王都の森と呼ばれる森がある。
そこには生えているだろうか。
説明を見ると、それらの薬草は木の葉っぱの部分らしく、見分けるのも大変そうだ。
それでも、明日行ってみよう。
次の日。
ベルは薄手の服に虫対策をして、森へ出かけた。
そとは暑いが、森の木によって太陽の光が弱まって涼しい。
本に載っていた絵の薬草を探すが、そんな簡単に見つかるわけもなく、時間だけが経っていく。
ふと歩いといると、何がぐにゃっとしたものを踏んだ。
急いで下を見ると、
「子供?」
黒髪の男の子が横たわっていた。
「きっきみ!」
体を揺するも、男の子は返事をしない。
(まさか、死んでないよね?)
口元に耳を近づけると、ふっふっと音がする。
(よかった…。あんまりしたくないけど)
ベルは手で火の玉を作り、男の子の腕に近づけた。
ぱちっと音がする。
「う…」
「大丈夫?きみ!」
火を近づけた痛みで、男の子が目を覚ました。
「あれ、ぼく…」
男の子がぱっちり目を開けると、ベルと目があった。
ばっと男の子がベルから距離を取ろうとするが、体が動かなかったのか、顔を顰めた。
「安心して。私はガーベル」
何か、自分を証明するものがないか、ベルは辺りを見渡したが、あいにくそんなものはなかった。
男の子は自分が森の中にいることと、ベルが何もしなさそうなことを感じ取ったのか、
「僕は、シン」
と言った。
「シン?珍しい名前なのね」
「うん…東の方の生まれで」
シンはそう言いながら自分の足を押さえた。
ベルがちょっと見せて、とシンの足を見た。
シンの足はおかしな方向に曲がっていて、青く腫れていた。
「どうしたの?」
「追われてて、こけちゃって…」
(追われてて?)
ベルは気になったがあえて聞かないでおくことにした。
「動けなさそう?」
「…うん」
(担ぐのは無理そうだし、そもそも家になんか入れてあげれない。
お医者さんをここに連れてくるのは無理だろうなぁ)
「とりあえず、だけど…」
ベルは闇魔法で、一本の木を切り倒した。
それをちょうど良い太さと長さに切り分けて、風魔法で運ぶ。
みるみるベルの思い通りのものができていった。
「これは、家?」
「簡易だけどね」
木を組み合わせてできた家に、シンを引きずって入れた。
(これで雨は防げるかな。あとは…)
ベルは一旦家に帰り、毛布と食べ物を持って再び森に向かった。
水を出し、コップの形を作る。
「水は、この水コップにあるから。無限に湧くからどんどん飲んでね」
また明日、と言い、ベルは家に帰った。
ページを捲る手が、自然と早まる。
『ある薬草には、魔力量を高める効果があると言われている。それはウレバナやマルドパパリレなどの、主に森に生息する植物だ。』
(森、か…)
少し先に、王都の森と呼ばれる森がある。
そこには生えているだろうか。
説明を見ると、それらの薬草は木の葉っぱの部分らしく、見分けるのも大変そうだ。
それでも、明日行ってみよう。
次の日。
ベルは薄手の服に虫対策をして、森へ出かけた。
そとは暑いが、森の木によって太陽の光が弱まって涼しい。
本に載っていた絵の薬草を探すが、そんな簡単に見つかるわけもなく、時間だけが経っていく。
ふと歩いといると、何がぐにゃっとしたものを踏んだ。
急いで下を見ると、
「子供?」
黒髪の男の子が横たわっていた。
「きっきみ!」
体を揺するも、男の子は返事をしない。
(まさか、死んでないよね?)
口元に耳を近づけると、ふっふっと音がする。
(よかった…。あんまりしたくないけど)
ベルは手で火の玉を作り、男の子の腕に近づけた。
ぱちっと音がする。
「う…」
「大丈夫?きみ!」
火を近づけた痛みで、男の子が目を覚ました。
「あれ、ぼく…」
男の子がぱっちり目を開けると、ベルと目があった。
ばっと男の子がベルから距離を取ろうとするが、体が動かなかったのか、顔を顰めた。
「安心して。私はガーベル」
何か、自分を証明するものがないか、ベルは辺りを見渡したが、あいにくそんなものはなかった。
男の子は自分が森の中にいることと、ベルが何もしなさそうなことを感じ取ったのか、
「僕は、シン」
と言った。
「シン?珍しい名前なのね」
「うん…東の方の生まれで」
シンはそう言いながら自分の足を押さえた。
ベルがちょっと見せて、とシンの足を見た。
シンの足はおかしな方向に曲がっていて、青く腫れていた。
「どうしたの?」
「追われてて、こけちゃって…」
(追われてて?)
ベルは気になったがあえて聞かないでおくことにした。
「動けなさそう?」
「…うん」
(担ぐのは無理そうだし、そもそも家になんか入れてあげれない。
お医者さんをここに連れてくるのは無理だろうなぁ)
「とりあえず、だけど…」
ベルは闇魔法で、一本の木を切り倒した。
それをちょうど良い太さと長さに切り分けて、風魔法で運ぶ。
みるみるベルの思い通りのものができていった。
「これは、家?」
「簡易だけどね」
木を組み合わせてできた家に、シンを引きずって入れた。
(これで雨は防げるかな。あとは…)
ベルは一旦家に帰り、毛布と食べ物を持って再び森に向かった。
水を出し、コップの形を作る。
「水は、この水コップにあるから。無限に湧くからどんどん飲んでね」
また明日、と言い、ベルは家に帰った。