国姫が転生したのに、歌えないってどういうことですか!?〜0からやり直し人生〜
次の日から、ジゼルはこの屋敷の図書室にこもって、情報を叩き込んだ。
『私はジゼル。五十年前に暗殺された。犯人は不明。
私はガーベル。愛称はベル。伯爵家の長女で母はメイド。今は6歳。フローラという妹がいる』
(もう一度、フィリクスに会いたい…)
伯爵家として、パーティーなどに行く機会はあるだろう。
しかし、王様と話すということは絶対にない。
ここ数日この家を見ていると、フローラはだいぶ可愛がられているようだ。
「歌姫にななれば…」
ジゼルと同じ歌い方をすれば、ベルがジゼルだと気づいてくれるのではないか。
ベルは急いで声を出した。
「゛ああ~゛こ゛のぜがいょ~」
しかし、出てきた音は、ひどい物だった。
「どういうこと!?まさか、ベルは“歌姫の力”をもっていないの!?」
(信じられない…)
“歌姫の力”はレアだ。
しかし、ジゼルが転生したのだから、ベルにも力があってもいいだろう。
しかし、なかった。
代わりにベルが使える魔法は、
ジュッ
「闇魔法、か」
ベルが焦がした机を本で隠した。
闇魔法は、魔族が使っていた魔法だ。
魔族はジゼルの時代に滅ぼしたが、今でも研究ニス変われることが多い。
闇魔法が物を消したり、殺したりできる。
練習して身につける物ではなく、生まれつきの魔法だ。
歌姫と同じくらいレアだが、人々からは恐れられている。
なぜなら、腕の一振りで村一つを灰にすることができるからだ。
五年間に存在したレオンハルト大将軍。
彼は闇魔法をうまく使い、隣国との戦いを勝利に導いた男だ。
その裏で秘密裏に国に背いた人を消しているという噂がある。
闇魔法で人を殺せば。血も涙も残らない。
しかし魔力暴走が起き、軍によって抹殺された。
軍には、彼を慕っていた部下がたくさんいた。
涙の戦場だったらしい。
その後もいろいろなことがあり、一般的に闇魔法は恐ろしいものとされている。
「力がなかったら、なにもできないよぉ」
ベルは机に顔をくっつけてため息をついた。
歌うことしかしてこなかったジゼルにとって。
歌えないというのは悲しいものだった。
(“歌姫の力”をどうにかして手に入れたいなぁ)
「…治癒魔法でできたりしないかな…?」
ぼそっと言った後、がばっと体を起こした。
「そうよ!治癒魔法で声帯を治しちゃえばいいのよ!」
そんなことはすでに誰かが実験しているだろう。
しかし、ベルはジゼルだ。
成功する、強い自信が出てきた。
『私はジゼル。五十年前に暗殺された。犯人は不明。
私はガーベル。愛称はベル。伯爵家の長女で母はメイド。今は6歳。フローラという妹がいる』
(もう一度、フィリクスに会いたい…)
伯爵家として、パーティーなどに行く機会はあるだろう。
しかし、王様と話すということは絶対にない。
ここ数日この家を見ていると、フローラはだいぶ可愛がられているようだ。
「歌姫にななれば…」
ジゼルと同じ歌い方をすれば、ベルがジゼルだと気づいてくれるのではないか。
ベルは急いで声を出した。
「゛ああ~゛こ゛のぜがいょ~」
しかし、出てきた音は、ひどい物だった。
「どういうこと!?まさか、ベルは“歌姫の力”をもっていないの!?」
(信じられない…)
“歌姫の力”はレアだ。
しかし、ジゼルが転生したのだから、ベルにも力があってもいいだろう。
しかし、なかった。
代わりにベルが使える魔法は、
ジュッ
「闇魔法、か」
ベルが焦がした机を本で隠した。
闇魔法は、魔族が使っていた魔法だ。
魔族はジゼルの時代に滅ぼしたが、今でも研究ニス変われることが多い。
闇魔法が物を消したり、殺したりできる。
練習して身につける物ではなく、生まれつきの魔法だ。
歌姫と同じくらいレアだが、人々からは恐れられている。
なぜなら、腕の一振りで村一つを灰にすることができるからだ。
五年間に存在したレオンハルト大将軍。
彼は闇魔法をうまく使い、隣国との戦いを勝利に導いた男だ。
その裏で秘密裏に国に背いた人を消しているという噂がある。
闇魔法で人を殺せば。血も涙も残らない。
しかし魔力暴走が起き、軍によって抹殺された。
軍には、彼を慕っていた部下がたくさんいた。
涙の戦場だったらしい。
その後もいろいろなことがあり、一般的に闇魔法は恐ろしいものとされている。
「力がなかったら、なにもできないよぉ」
ベルは机に顔をくっつけてため息をついた。
歌うことしかしてこなかったジゼルにとって。
歌えないというのは悲しいものだった。
(“歌姫の力”をどうにかして手に入れたいなぁ)
「…治癒魔法でできたりしないかな…?」
ぼそっと言った後、がばっと体を起こした。
「そうよ!治癒魔法で声帯を治しちゃえばいいのよ!」
そんなことはすでに誰かが実験しているだろう。
しかし、ベルはジゼルだ。
成功する、強い自信が出てきた。