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国姫が転生したのに、歌えないってどういうことですか!?〜0からやり直し人生〜

#4


 パタン、とアリスを半ば追い出すように退出させて、ドアを閉めた。
ベルははぁとため息をついた。
小さな机の上にポットがあるのを見つけると、紅茶を入れ始めた。

 ジゼルは平民の生まれのため、紅茶を入れると言うのは朝飯前だった。
(そうよ、私はジゼルなのよ)
 紅茶をそうそうに飲み切って、ベルは紙に状況を書き出した。

 「私はジゼルだけど、ベルというの?それに、ここはどこ?」
窓辺に近づくと、この屋敷の大きさがよくわかる。
大きな庭だ。
その奥には、とびきり大きくて、太陽ほどに輝いている屋敷があった。
 ベルは息を呑んだ。
(フィリクス様…)

 大きな屋敷は、王城だ。
ここは王都なのだろう。
街も賑わっている。
かつて、ジゼルも王城にすんており、皇太子・フィリクスはジゼルの公約者だった。

 初めは貴族の狸から盛大は反対が起きたが、ジゼルの歌を聴いたら拍手の波で祝福された。
ジゼルとフィリクスは実に仲が良かった。
お互いの趣味褒め合い、高め合っていた。
 ジゼルは国民のアイドルである上に、貴族たちの最高の淑女だった。
ジゼルが16歳、フィリクスは18歳で、みんなが結構ん式を待ち望んでいた。
ジゼルが死ぬまでは。

 ベルは王城を眺めながら、涙を流していた。
状況は全くわからないが、鏡で見た自分が変わっていた。
ジゼルの黒髪は、ベルの銀色になっていた。
これじゃ、フィリクスもベルがジゼルだとは気付かないだろう。

 ベルは涙を拭き取って、日付が分かりそうなものを探すことにした。
アリスに聞けば、また疑われるだろう。

 本棚を見ていると、歴史の本があった。
何気なく手に取り、後ろの方をぺらぺらとめくった。
ジゼルがベルの中にいると言うことは、ジゼルは一体どうなったのだろう。
ベルは冷たい汗を流していた。

 転生物、という本が流行っていた。
もしかすると、そうなったのではないか。
だとすると、ジゼルは死んでしまったのではないか。
だいたいの転生物は死んでいた。

 「ぁっ!」
ご丁寧に、フィリクスの婚約と、ジゼルが死んだことが載っていた。
本の発行年を見ると、ジゼルが死んだ年から、五十年が経っていた。
だとするといまは、少なくとも五十年以上は立っているということだ。

「五十年…」
(フィリクスは王になったのだろうか。別の人を妃にしたのかな。フェルネルは、どうしているだろう…)

フェルネルは、ジゼルの歳の離れた弟だ。
計算すると、今では34歳くらいになっているはずだ。
ジゼルと一緒に王城に住んでいた。
(私が死んで、追い出されていないかな)
 考えれば考えるほど、涙が出てくる。
今こうしてベルトして命があるにしても、ジゼルは、自分は死んでしまったのだ。
愛するフィリクスと、大切なフェルネルを置いて。

2025/05/11 06:33

あちゃぱ ID:≫ 2.0XvDvCgJqrM
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