ガチャンッ

料理も仕上げになったところで、キッチンに大きな音が響いた。
とたん、シーンとなる空気。

音がした方を見ると、見るあみの女の子が震えていた。
足元には、割れたお皿が散らばってる。

「あ…ごっごめん、な、さ…」
女の子の目にはみるみる涙が溜まっていき、とうとう泣き出した。
「私っあのっ」
私はどうしたらいいのかわからず、ただ突っ立ってしまっていた。

グループのみんなは、女の子を叱るのだろうか。
そうだよな。
大事な時に、お皿を割って、泣きだすんだから。

　私がおじさんの家でお皿を割った時は、まず平手が飛んできて、ガラスの上に押し倒された。
手は血まみれになるし、散々だった上に、食事は一週間抜きだった。
お昼は萌にお弁当を分けてもらったり、コンビニで萌のお金で買ってもらったりして過ごした。

　グループの男の人、安田さんが女の子に近づいた。
私はエプロンの裾をギュッと握った。