ただいまヤクザ、修行中!!
俺が高校生。
仁は中学生。
冬馬は小学生。
俺たち尾田3兄弟は、仲が悪かった。
俺たち、というよりは冬馬が仲裁で、俺と仁の仲が悪いのだ。
「おい兄貴、また人殴ったんだってな」
「あ?」
「そのうち親父に家、追い出されるとか」
「だまれガキ。お前のようなほのぼの脳みそじゃ、人、ましてや街など守れるはずがないだろ」
俺たちは週に一回、金曜日の夜ご飯の時だけ集まる。
この日は冬馬も部屋から出てくる。
親父が決めた規則だが、今では俺と仁の言い合いの場になっている。
冬馬はいつもなにも話さず、黙々と食べている。
「あ、冬馬」
「なに?」
仁が冬馬に話しかけた。
はぁ。
やっと飯が食える。
「お前宛に親父が仕事だって」
仁が一枚の紙を冬馬に渡した。
冬馬は紙を開くと、動かしていた箸の手を止めた。
「どうした?」
「ごめん。ごちそうさま!」
冬馬はサッと立ち上がり、部屋を出て行ってしまった。
「兄貴、なんの仕事が知らないだろ」
これは、こいつは知ってて言ってるな。
「やっぱ兄貴、親父に嫌われてんだよ」
「あぁ?」
おー怖い。
仁は逃げるように去っていった。
あいつ、絶対に殺す。
次の日の部活帰り。
昨日の今日だから、警戒して夜道を歩いた。
この前、俺がやられた場所。
思い返すだけでも、腹立たしい。
せめて顔がわかれば冬馬に頼めたのに。
歩いていると、あの女性が向こうからやってきた。
「あっ」
向こうも気づいたみたいで、歩く足を早めた。
「この前は、大丈夫だった?」
「あ、はい。すみません。
えっと…あ、ハンカチっすぐ返しますんで!」
「いいよいいよ、あんなの」
女性は手を胸の前で振った。
「私なんかができることって、それくらいだから」
私、なんか…?
「そんなことないです!
す、すごく助かりました!!」
「そう?よかった〜」
ほっとしたように、女性は笑った。
可愛い。
やっぱ、美人だな。
「あのっ名前を聞いてもいいですか!?」
もっと、親しくなりたい。
「翠よ」
「えと…俺は司です、翠さん」
「司くん」
「あっ司って呼んでください」
厚かましい?
でも、このくらいしないと、逃げてしまう。
「じゃあ私も翠で」
「あ、はい。翠」
ああ。
なんて幸せなんだろう。
そのあと翠とはLINEを交換した。
年下の高校生、しかも殴られてた金髪に対して、なんて優しいんだろう。
この時すでに俺は、翠を好きになっていた。
ある日。
「お兄ちゃん!」
冬馬が慌てて俺の部屋に駆け込んできた。
冬馬が俺の部屋に入るのも、冬馬が慌てているのを見るもの、俺は初めだ。
「どうしたんだ?」
「翠って人が!!」
仁は中学生。
冬馬は小学生。
俺たち尾田3兄弟は、仲が悪かった。
俺たち、というよりは冬馬が仲裁で、俺と仁の仲が悪いのだ。
「おい兄貴、また人殴ったんだってな」
「あ?」
「そのうち親父に家、追い出されるとか」
「だまれガキ。お前のようなほのぼの脳みそじゃ、人、ましてや街など守れるはずがないだろ」
俺たちは週に一回、金曜日の夜ご飯の時だけ集まる。
この日は冬馬も部屋から出てくる。
親父が決めた規則だが、今では俺と仁の言い合いの場になっている。
冬馬はいつもなにも話さず、黙々と食べている。
「あ、冬馬」
「なに?」
仁が冬馬に話しかけた。
はぁ。
やっと飯が食える。
「お前宛に親父が仕事だって」
仁が一枚の紙を冬馬に渡した。
冬馬は紙を開くと、動かしていた箸の手を止めた。
「どうした?」
「ごめん。ごちそうさま!」
冬馬はサッと立ち上がり、部屋を出て行ってしまった。
「兄貴、なんの仕事が知らないだろ」
これは、こいつは知ってて言ってるな。
「やっぱ兄貴、親父に嫌われてんだよ」
「あぁ?」
おー怖い。
仁は逃げるように去っていった。
あいつ、絶対に殺す。
次の日の部活帰り。
昨日の今日だから、警戒して夜道を歩いた。
この前、俺がやられた場所。
思い返すだけでも、腹立たしい。
せめて顔がわかれば冬馬に頼めたのに。
歩いていると、あの女性が向こうからやってきた。
「あっ」
向こうも気づいたみたいで、歩く足を早めた。
「この前は、大丈夫だった?」
「あ、はい。すみません。
えっと…あ、ハンカチっすぐ返しますんで!」
「いいよいいよ、あんなの」
女性は手を胸の前で振った。
「私なんかができることって、それくらいだから」
私、なんか…?
「そんなことないです!
す、すごく助かりました!!」
「そう?よかった〜」
ほっとしたように、女性は笑った。
可愛い。
やっぱ、美人だな。
「あのっ名前を聞いてもいいですか!?」
もっと、親しくなりたい。
「翠よ」
「えと…俺は司です、翠さん」
「司くん」
「あっ司って呼んでください」
厚かましい?
でも、このくらいしないと、逃げてしまう。
「じゃあ私も翠で」
「あ、はい。翠」
ああ。
なんて幸せなんだろう。
そのあと翠とはLINEを交換した。
年下の高校生、しかも殴られてた金髪に対して、なんて優しいんだろう。
この時すでに俺は、翠を好きになっていた。
ある日。
「お兄ちゃん!」
冬馬が慌てて俺の部屋に駆け込んできた。
冬馬が俺の部屋に入るのも、冬馬が慌てているのを見るもの、俺は初めだ。
「どうしたんだ?」
「翠って人が!!」