ただいまヤクザ、修行中!!
番外編③、3回に分けて投稿します!
(思ったよりも楽しくなっちゃった…)
[水平線]
[明朝体]一度捕まえたら、もう逃さない。[/明朝体]
俺の名は尾田司。
尾田組の若。
ヤクザだ。
尾田組の名前は全国各地で有名だ。
そのため俺は、学校では全校生徒に怯えられていた。
実際に俺は乱暴だった。
気に入らないやつは片っ端から殴り、喧嘩をふっかけてきたやつは半殺しにした。
俺に媚び売ってくるやつも、だいぶうざかった。
言わないが。
だが、使えるやつは使う。
学校内では俺は魔法のような存在だった。
親父は、俺が嫌いみたいだ。
俺のような乱暴者ではなく、仁のような者が、真のヤクザというのだろう。
陰ながらも冬馬は組の役に立っている。
俺はなんだ?
暴れて、人殴って、それしかできない人間。
しかし俺は、今更魔法の仮面を外そうとは思わなかった。
ある日の部活終わり。
寒くなって火が沈むのが早くなった。
白い息が暗闇に目立つ。
俺は駆け足で帰っていた。
その時、
「おい」
後ろから、明らかに俺に話しかける低い声が聞こえた。
振り返る、その瞬間に
ドゴッ
殴られた。
親父以外の人間に、初めて殴られた。
しかも結構重い。
相手の勢いでぶっ飛ばされ、コンクリートの地面に倒れた。
相手は俺が飛ばされている間に逃げたようだ。
名も名乗らず、振り帰り際とは、なんて最低なやつだ。
俺は、動けなかった。
鼻から生暖かい感覚がした。
「ぁぁ…だっせぇ」
どれくらいたっただろう。
体も冷えてしまったし、いつまでもこのままじゃダメだ。
「あの…」
体を動かそうとしたら、か弱い声が聞こえた。
顔を上げると、スーツを着た若い女性だった。
はっきりいうと、結構美人。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、いや…」
しまった。
ここは大丈夫っていうもんだろ、普通。
普通じゃない家に生まれると、普通じゃなくなんのかな。
「た、タクシー呼びますよ!」
「あ、いや、全然大丈夫です。すんません」
スーツってことは、年上だよな。
ああ…俺かっこわる。
俺は逃げるように立ち去り、家に帰った。
やろうと思えば、体を動いた。
やっぱ俺、だせぇわ。
「あれ、お兄ちゃん?」
部屋に入ろうとしたら、冬馬が自分の部屋から出てきた。
部屋から出てくるなんて、珍しいな。
「どうした?」
「いや…」
あ、そうか。
冬馬が引きこもっている理由は、死んでるわけではなく、情報組のトップだからだ。
冬馬の技術はすごい。
冬馬の部屋はパソコンやテレビ見たいな画面がいっぱいあって、どれも二十四時間動いている。
それを全て束ねて、管理しているのが冬馬だ。
この街の監視カメラの映像も、全て冬馬の元にやってくる。
「見てたか?」
「たまたま、偶然…」
「いやいいよ。ごめんな、だらしないとこ見せて」
弟、冬馬に対してだけ、俺は優しくなれる。
「それよりね」
「ん?」
冬馬は俺の制服のポケットに手を入れた。
何するんだ?
「あった」
冬馬が取り出したのは、真っ白のハンカチ。
「なんだ?それ」
「あのおばさんが入れてた。一応預かるけど、いい?」
「ああ、もちろん」
おばさんか…。
結構若かったぞ、あの人。
(思ったよりも楽しくなっちゃった…)
[水平線]
[明朝体]一度捕まえたら、もう逃さない。[/明朝体]
俺の名は尾田司。
尾田組の若。
ヤクザだ。
尾田組の名前は全国各地で有名だ。
そのため俺は、学校では全校生徒に怯えられていた。
実際に俺は乱暴だった。
気に入らないやつは片っ端から殴り、喧嘩をふっかけてきたやつは半殺しにした。
俺に媚び売ってくるやつも、だいぶうざかった。
言わないが。
だが、使えるやつは使う。
学校内では俺は魔法のような存在だった。
親父は、俺が嫌いみたいだ。
俺のような乱暴者ではなく、仁のような者が、真のヤクザというのだろう。
陰ながらも冬馬は組の役に立っている。
俺はなんだ?
暴れて、人殴って、それしかできない人間。
しかし俺は、今更魔法の仮面を外そうとは思わなかった。
ある日の部活終わり。
寒くなって火が沈むのが早くなった。
白い息が暗闇に目立つ。
俺は駆け足で帰っていた。
その時、
「おい」
後ろから、明らかに俺に話しかける低い声が聞こえた。
振り返る、その瞬間に
ドゴッ
殴られた。
親父以外の人間に、初めて殴られた。
しかも結構重い。
相手の勢いでぶっ飛ばされ、コンクリートの地面に倒れた。
相手は俺が飛ばされている間に逃げたようだ。
名も名乗らず、振り帰り際とは、なんて最低なやつだ。
俺は、動けなかった。
鼻から生暖かい感覚がした。
「ぁぁ…だっせぇ」
どれくらいたっただろう。
体も冷えてしまったし、いつまでもこのままじゃダメだ。
「あの…」
体を動かそうとしたら、か弱い声が聞こえた。
顔を上げると、スーツを着た若い女性だった。
はっきりいうと、結構美人。
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、いや…」
しまった。
ここは大丈夫っていうもんだろ、普通。
普通じゃない家に生まれると、普通じゃなくなんのかな。
「た、タクシー呼びますよ!」
「あ、いや、全然大丈夫です。すんません」
スーツってことは、年上だよな。
ああ…俺かっこわる。
俺は逃げるように立ち去り、家に帰った。
やろうと思えば、体を動いた。
やっぱ俺、だせぇわ。
「あれ、お兄ちゃん?」
部屋に入ろうとしたら、冬馬が自分の部屋から出てきた。
部屋から出てくるなんて、珍しいな。
「どうした?」
「いや…」
あ、そうか。
冬馬が引きこもっている理由は、死んでるわけではなく、情報組のトップだからだ。
冬馬の技術はすごい。
冬馬の部屋はパソコンやテレビ見たいな画面がいっぱいあって、どれも二十四時間動いている。
それを全て束ねて、管理しているのが冬馬だ。
この街の監視カメラの映像も、全て冬馬の元にやってくる。
「見てたか?」
「たまたま、偶然…」
「いやいいよ。ごめんな、だらしないとこ見せて」
弟、冬馬に対してだけ、俺は優しくなれる。
「それよりね」
「ん?」
冬馬は俺の制服のポケットに手を入れた。
何するんだ?
「あった」
冬馬が取り出したのは、真っ白のハンカチ。
「なんだ?それ」
「あのおばさんが入れてた。一応預かるけど、いい?」
「ああ、もちろん」
おばさんか…。
結構若かったぞ、あの人。