「恩、恩っていうけど、あんたら実際、夕菜に対して何してきたの？」

「そっそりゃ、ちゃんと学校に、」

「ただの世間体気にしてるだけだろ。どうせ、あとで金返せとかいうつもりだったんだろ！」

びくっ
私も一緒に、跳ねてしまった。

僚太さんって、こんな声でこんなことも言えるんだ…。
ずっと軽くて、風来坊って呼ばれてたし。
こんな人だったんだ…。

「こっちいろいろ資料あんだよ。悪いけど、俺らヤクザがめぇつけてたのは、あんたらの家だ。“姪の子供を虐待してる親”ってな」

バサッと机の上に大量を紙が、乱雑に置かれた。
見てみるとと、おじさんとおばさんが私に何を逸したかとかがびっちりかいてある。
え、ちょっと怖い…。

「ーと、いうことで、夕菜は戻りません！わかった？
じゃあ夕菜は荷物まとめてきて！」

「え？」

「ほら、早く！」

僚太さんは急に、いつもモードに戻った。
戸惑いながらも、二階に上がって、服とかを大きなバッグに詰めた。

一階に降りると、僚太さんは玄関に立っていて、おじさんたちは資料を前にして真っ青だった。

「大丈夫、あとは警察に任せるから」

僚太さんは私のバッグを持ってくれて、一緒に家を出た。
振り返る必要は、ない。
私には、新しい生活が待っているから。