その時。

「あ、夕菜！やっときた！！」

リビングのドアが開いて、後ろから声をかけられた。

「早く入って説得するよ！」

「僚太さん！？」

「夕菜、早くきてよ。あの人たち頭悪すぎて話通じない」

え？
おそるおそるリビングの中を見ると、机に座ったおじさんとおばさんがいた。

僚太さんに中に押し込められ、椅子に座らされた。
ほんと、この人いつも強引なんだよな〜。

「え〜改めて、夕菜は尾田組のものになったので、もう家には帰ってきません！」

「そ、そういうことです…」

「ならん！！！！」

「そうよ、夕菜ちゃん。あなたはここにいてもいいから、ここにいなさい」

おじさんとおばさん、二人で全否定。
わかってたけど、どうしよう…。

ちょっとだけ、本当にヤクザになっていいのか不安もある。
この家に戻ってきたら、ヤクザなんて関わらなくて良くなる。
でも、この家は…

[大文字]「私、出て行きます」[/大文字]

この家は、くるしい。
この家から出て、殺しとかは関係なく、ヤクザの元で暮らしたい。

「だ、そうですよ」

「な…夕菜！今まで恩を忘れたのか！？」

「そうよ！今まで誰に育ててもらったと思っているの！？」

「ー恩？」

騒ぐおじさんとおばさんより、小さい声なのに低くて、よく通る声。
僚太さんだ。
ん？え？？