二次創作
みんなの異聞録
キメツ学園までの道は長い。
まずは電車に乗って、キメツ学園前駅まで。そこから徒歩で行かねばならない。
今、三人は降車した。駅は、祭りに行く人で騒がしく、窮屈になっていた。そんな時、隣から二人の男女の声がした。
「狛治さん、絶対一緒にかき氷を食べながら花火を見ようね! とっても楽しみだな、花火!」
「いいですけど、体調を崩さないようにしてくださいね?」
「ふふ、わかってますよ~」
高等部の周知のカップル『姫と狛治殿』だ。高等部一年紫陽花組の素山恋雪と、高等部三年烏帽子組の婿・素山狛治のカップルで、二人は既に結婚を遂げている。
カップルに対し異様な執念を抱く善逸は目から血の涙を流す。
「姫と狛治殿先輩がイチャついてるよまったく。これだからリア充は…」
善逸が『リア充』に物申そうとした時、それを遮る声がした。
「あ、炭治郎に禰豆子ちゃん」
「カナヲー! しのぶ先輩に胡蝶先生まで」
声の主はなんと美女と名高い、カナエ・しのぶ・カナヲの『胡蝶三姉妹』の末の妹・栗花落カナヲだった。
「色違いの浴衣なんですか?」
炭治郎が三人の浴衣を指さして問う。
カナエは桜色、しのぶはあやめ色、カナヲは桃色だった。
「ええ、私が作ったの。この蝶の柄素敵でしょう?」
カナエが笑って袖をひらひらさせる。
「禰豆子さんの、麻の葉模様の浴衣、お似合いですよ」
にこりと微笑んで、しのぶは禰豆子を褒める。
話が一段落したところで、
「じゃあね、炭治郎。お祭り楽しんでね」
カナヲの一言で一旦別れた。
[明朝体][大文字][太字]「炭治郎…」[/太字][/大文字][/明朝体]
炭治郎の背後を歩いていた善逸が、炭治郎の名を呼んだ。その声はとても震えていた。
「なんだ、善逸?」
炭治郎が振り向くと、目に映ったのは闇と雷を纏ったような善逸だった。そして、善逸は、うぉおおおおっ!! と叫んだ。
「オイテメェ炭治郎! 俺の目の前でぇ、美女たちと会話弾ませんじゃねえよ!!!」
それに向かって炭治郎は淡々と返す。
「善逸、誤解だ。これはコミュニケーション能力を高めるためであって。それにコネを作っておいた方がいいだろう?」
とは言うものの、炭治郎は、高等部二年菫組のカナヲとは一緒に帰宅する仲だ。
「そういうこと言ってんじゃねええええええっ!!!」
どんどんヒートアップする善逸を禰豆子が背中をさすって宥める。
(禰豆子ちゃん…手、あったけぇ)
そう思っている時、善逸の頭に何かが降ってきた。
「猪突猛進!!」
「グエッ」
「いのちゃんや。あそこのフランクフルトでも食べましょうかねえ」
ひさに呼ばれたのは炭治郎達の同級生・嘴平伊之助。猪に育てられ、そこを里親・ひさに引き取られた少年だ。
「婆! 俺はフランクフルトより、あっちの『たこせん』が食いてえ!」
「はいはい、食べましょうね」
そう話しながら去っていく。頭を踏んづけた善逸に謝りもせずに。去り際、伊之助はこちらに振り向き、勝ち誇ったような笑みを見せた。
「アイツ…!」
善逸が怒りの眼差しを向ける。
ハハハ…と炭治郎は笑うしかなかった。
「あーっ、炭治郎さんじゃないですかー!」
「小鉄くん! それに時透君達も!」
前から歩いてきたのは、初等部四年の小鉄と、中等部が誇る天才・時透ツインズ、そして高等部一年かぼす組の不死川玄弥だ。
「炭治郎だあ、やっほ~」
そう言う無一郎は、兄・有一郎と色違いの霞柄の甚平を着ており、とても可愛らしい。
「お、炭治郎じゃないか」
「時透さん達、こんばんは~」
禰豆子は無一郎と同じクラスであることもあって、挨拶した。
玄弥は半眼で善逸を見た。
「よお我妻」
「やあ。似たもん同士だな、俺ら。嫌われてんのかな」
善逸の声に気がついたのか、無一郎がにっこり笑った。
「あ、いたんだ。センパイ♪」
その言葉の刃が善逸の心に刺さる。それから、小鉄が追い討ちをかけるように毒舌を吐いた。
「ホント威厳もクソもないですね」
影薄っ、とトドメの一撃を入れて、善逸の心は崩れた。
炭治郎はその様子を面白そうに横目で見て、禰豆子はあわあわしている。
「じ、じゃあここで。またね! 四人とも」
「ああ、またな」
言葉を交わし、炭治郎と禰豆子と善逸は(二人で善逸を引きずって)、お祭り会場へと急いだ。
まずは電車に乗って、キメツ学園前駅まで。そこから徒歩で行かねばならない。
今、三人は降車した。駅は、祭りに行く人で騒がしく、窮屈になっていた。そんな時、隣から二人の男女の声がした。
「狛治さん、絶対一緒にかき氷を食べながら花火を見ようね! とっても楽しみだな、花火!」
「いいですけど、体調を崩さないようにしてくださいね?」
「ふふ、わかってますよ~」
高等部の周知のカップル『姫と狛治殿』だ。高等部一年紫陽花組の素山恋雪と、高等部三年烏帽子組の婿・素山狛治のカップルで、二人は既に結婚を遂げている。
カップルに対し異様な執念を抱く善逸は目から血の涙を流す。
「姫と狛治殿先輩がイチャついてるよまったく。これだからリア充は…」
善逸が『リア充』に物申そうとした時、それを遮る声がした。
「あ、炭治郎に禰豆子ちゃん」
「カナヲー! しのぶ先輩に胡蝶先生まで」
声の主はなんと美女と名高い、カナエ・しのぶ・カナヲの『胡蝶三姉妹』の末の妹・栗花落カナヲだった。
「色違いの浴衣なんですか?」
炭治郎が三人の浴衣を指さして問う。
カナエは桜色、しのぶはあやめ色、カナヲは桃色だった。
「ええ、私が作ったの。この蝶の柄素敵でしょう?」
カナエが笑って袖をひらひらさせる。
「禰豆子さんの、麻の葉模様の浴衣、お似合いですよ」
にこりと微笑んで、しのぶは禰豆子を褒める。
話が一段落したところで、
「じゃあね、炭治郎。お祭り楽しんでね」
カナヲの一言で一旦別れた。
[明朝体][大文字][太字]「炭治郎…」[/太字][/大文字][/明朝体]
炭治郎の背後を歩いていた善逸が、炭治郎の名を呼んだ。その声はとても震えていた。
「なんだ、善逸?」
炭治郎が振り向くと、目に映ったのは闇と雷を纏ったような善逸だった。そして、善逸は、うぉおおおおっ!! と叫んだ。
「オイテメェ炭治郎! 俺の目の前でぇ、美女たちと会話弾ませんじゃねえよ!!!」
それに向かって炭治郎は淡々と返す。
「善逸、誤解だ。これはコミュニケーション能力を高めるためであって。それにコネを作っておいた方がいいだろう?」
とは言うものの、炭治郎は、高等部二年菫組のカナヲとは一緒に帰宅する仲だ。
「そういうこと言ってんじゃねええええええっ!!!」
どんどんヒートアップする善逸を禰豆子が背中をさすって宥める。
(禰豆子ちゃん…手、あったけぇ)
そう思っている時、善逸の頭に何かが降ってきた。
「猪突猛進!!」
「グエッ」
「いのちゃんや。あそこのフランクフルトでも食べましょうかねえ」
ひさに呼ばれたのは炭治郎達の同級生・嘴平伊之助。猪に育てられ、そこを里親・ひさに引き取られた少年だ。
「婆! 俺はフランクフルトより、あっちの『たこせん』が食いてえ!」
「はいはい、食べましょうね」
そう話しながら去っていく。頭を踏んづけた善逸に謝りもせずに。去り際、伊之助はこちらに振り向き、勝ち誇ったような笑みを見せた。
「アイツ…!」
善逸が怒りの眼差しを向ける。
ハハハ…と炭治郎は笑うしかなかった。
「あーっ、炭治郎さんじゃないですかー!」
「小鉄くん! それに時透君達も!」
前から歩いてきたのは、初等部四年の小鉄と、中等部が誇る天才・時透ツインズ、そして高等部一年かぼす組の不死川玄弥だ。
「炭治郎だあ、やっほ~」
そう言う無一郎は、兄・有一郎と色違いの霞柄の甚平を着ており、とても可愛らしい。
「お、炭治郎じゃないか」
「時透さん達、こんばんは~」
禰豆子は無一郎と同じクラスであることもあって、挨拶した。
玄弥は半眼で善逸を見た。
「よお我妻」
「やあ。似たもん同士だな、俺ら。嫌われてんのかな」
善逸の声に気がついたのか、無一郎がにっこり笑った。
「あ、いたんだ。センパイ♪」
その言葉の刃が善逸の心に刺さる。それから、小鉄が追い討ちをかけるように毒舌を吐いた。
「ホント威厳もクソもないですね」
影薄っ、とトドメの一撃を入れて、善逸の心は崩れた。
炭治郎はその様子を面白そうに横目で見て、禰豆子はあわあわしている。
「じ、じゃあここで。またね! 四人とも」
「ああ、またな」
言葉を交わし、炭治郎と禰豆子と善逸は(二人で善逸を引きずって)、お祭り会場へと急いだ。