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二次創作
みんなの異聞録

#3

参、那田蜘蛛山へ出陣

「御意」
私と私の隣で正座する冨岡さんはそう言ってその場を辞した。

御館様の御屋敷の門前
「では行きますか」
私はにこにこと笑んで冨岡さんに語りかけた。
「鬼と仲良くしたい」。そんな姉さんの願いを叶えるため、私は姉さんが好きだと言ってくれた笑顔を絶やさずにいた。
「胡蝶…」
何か物言いたげにつぶやく冨岡さん。それ以降だんまりした。
「黙りこくられても分かりませんよ」
言いたいことは大体分かっていた。でも言わなかった。死の間際の姉さんのように。
少し張り詰めた空気が漂ったので私は話を切り出した。
「それにしても、那田蜘蛛山───蜘蛛の山ですか。…蟲に非ずの者らの山。蟲柱としてほうっておけません! なかなか面白そうですね」
そう笑って言う私に彼はピシャリと一言言う。
「これは遊びじゃない、任務だ」
「いつも通り硬っ苦しいですね…」
笑顔のまま青筋を浮かせ、言い返そうとした。
「そんなだから…」
嫌われるんですよ、と言おうとしたのに…彼は空気を読まず、私の言葉を遮った。
「速度をあげるぞ」
そう言って足の動きを速める。
私は、素っ気ない態度の冨岡さんに流石に呆れ、挑発的な笑顔で言い返した。
「いいですよ。まあ、私の方が速いでしょうけど」
私はそう言い捨てて、チリン、と地を蹴って走った。

那田蜘蛛山
「那田蜘蛛山、着きましたね」
冨岡さんは無言で山に足を踏み入れる。
本当になんで喋ってくれないんでしょうね。

「ここも全滅。…冨岡さん、私はこちらに行きます。ですから冨岡さんはそちらへ言ってください。では」
私の言葉に彼はこくりと頷き、走り去った。私はもちろん、木の上を跳んでまるで空を飛ぶようにして進んだ。

木を足場にして進んでいると、向こうから鳥が飛んできた。その小さい鳥は、可愛らしい「雀」だった。
「こんばんは、雀さん」
雀に話しかけると、その雀は小さな翼を大いにはためかせて大きな声で鳴いた。
「チュン、チュンチュン(助けて、死んじゃうよ)!」
そう鳴かれて、思わず、
(お腹が空いているのかしら)
と思った。その時雀がいきなり私に背を向けて飛んで行ったので、きっとどうかしたんだ、と感じ取った。

「…!」
雀の案内でついて行った場所には、蜘蛛の糸が張り巡らされた広場に、浮いた一件の小屋。その小屋は穴が空いている。すぐ近くに、目立つ黄色い頭の少年が寝ていることに気がついた。隊服を着ているので、鬼殺隊の隊員であることを把握。よく見ると、服がだぼだぼになり、顔は一部紫色に腫れ上がっている。
私は、応急処置を施すため、少年が寝ている傍に降り立った。蝶のように。女神のように。それはもう神秘的に。
「もしもーし、大丈夫ですか?」
口から吐血したと見られる少年は、意識はあるのかこちらに視線を移した。安心したような眼差しでこちらを見る。
私は跪いて救急箱から解毒用の注射を取り出した。
「良かったですね。あなたの雀がここまで私を連れてきてくれました」

「隠の皆さん、あとはお任せしますね。カナヲ、鬼を見ればすぐにでも追って、ただただ首を刎ねなさい。考える必要はありませんよ」
同行していた隠達と継子のカナヲに簡単な命を下した。カナヲは薄っぺらい笑顔を貼り付けて、
「はい」
と短く答えた。
私は、半ば本気で心配した。私の───私たちの、可愛い妹を。
彼女は、引き取った頃から人形のようだった。
姉さんが言うには「好きな男の子が出来たらカナヲだって変われる」とのこと。しかし、こんなにも「お人形」を貫き通しているカナヲに好きな男などできるのだろうか。
私は、カナヲに、どんなことであれ、変われるきっかけになるような出来事が起きることを強く願った。

作者メッセージ

レイです。
お楽しみいただけたでしょうか。
僕、男なんで女心とかよく分からないので、しのぶさんが本当にこんな気持ちか不安な気持ちで書いたのですが、お楽しみいただけたのなら何よりの幸いです。
あらすじ欄に書きました通り、キャラクターのリクエスト承ります。
良かったらリクエストしてみてください。

2025/10/10 18:42

お豆さん×レイ ID:≫ 1rO9Bbo/Mf5vI
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