「いや、ちょっと待って。どういうこと。僕は三島大和。三島、大和」

大喜と言おうとすると大和となってしまう。第一人称も僕だ。

「どうしたの？大和」

いきなり呼び捨てにされて、もっとムカッとする。だが、呼び出した本人ならこの仕組みも分かるのでは？と思い、怒りを噛み殺して聞いてみる。

「名前と性別が違うのさ。」

それを聞くと郡上はああ、と頷いた。

「大和にはこの世界の仕組み、話してなかったね。ここは、都道府県が集まる集会場なんだ！」

「…⁉いやいやいや、わけわからん」

何いってんの、この人は。頭おかしいんじゃない？そう思いながらも、少し興味が湧く。

「まあ、この説明じゃあ意味がわからないと思うから、説明していくよ！
まずここは、さっきも言った通り、都道府県が集まる集会場だ。どういうことかと言うと、ウ～ンなんて言えばいいかなあ、都道府県が擬人化して集まるところ…で伝わる？」

「いや、全っ然！」

伊勢いよく答えると郡上が苦笑いする。

「だよね～」

少し考えたあとに彼はまた話し出す。

「とにかく、都道府県が擬人化するには土台となる人が必要だ。それに選ばれたのが僕たちさ！」

「疑問しか浮かばないんだけど…、都道府県はどうやって人を選んでいるの？」

「それは…わからないね〜」

いや、わからないんかい！もー、ダメダメじゃんこの人。大丈夫？怪しげなものを見る視線に気がついたのか、彼は赤面して俯く。

「そ、そんなことはこの際大きな問題ではない！だから、とにかく、僕たちはそれぞれ都道府県を宿しているっていうこと。これ以上の質問は受け付けないからね。分かった？」

ここは素直に頷いておくことにした。