慕われメイドの緋彗さん。
#1
いつもの毎日が崩れる時。
「ふわぁ…。今日も、頑張りましょう。」
[漢字]陽風緋彗[/漢字][ふりがな]はるかぜ ひすい[/ふりがな]の仕事は主人の[漢字]四隅 柚葉[/漢字][ふりがな]よすみ ゆずは[/ふりがな]とその双子の妹、[漢字]真白[/漢字]ましろ[ふりがな][/ふりがな]を起こしに行く事から始まる。
「柚葉様、おはようございます。」
「ん…おはよう、緋彗。」
柚葉は、朝に強い。
だが。
「真白様、おはようございます。朝ですよ。」
「ぐ〜、ぐ〜…。」
「もう、また真白起きないのね…。」
「朝ごはんの匂いがしたらまた起きるでしょうか?」
「そうね。作ってきてちょうだい。」
緋彗は調理場へと歩いていった。
「おはようございます、今日も美味しそうですね。」
「おお、緋彗ちゃん。今日も手伝ってくれるのかい?」
「はい。真白様が起きそうにないので。」
緋彗が朝食の調理場に来た=真白が起きていないという共通ルールになりつつある。
「今日も張り切らないとねえ。」
「はい。」
そうして、朝食は出来上がった。のだが。
「起きないわねえ、ほんとに。」
「私、見てきます。」
「お願い。なにかあったら貴方の能力でなんとかしてね。」
「かしこまりました。」
コンコン。
「入ります、真白様。」
(返事がない…。)
「……。」
寝ている。
「まだ、気づかないの?鈍いメイドさん。」
「……っ!?」
見ると、そこには六歳にもまだならない、幼児がいた。
「迷子、ですか?」
「いいえ。私、こう見えても359歳だからね。」
「あなたは…何です?」
「ここにいる真白というやつの魂を奪いに来た、タヒ神。」
「タヒ神様、ですか?」
「ええ。」
___『お願い。なにかあったら貴方の能力でなんとかしてね。』
「私、ご主人様に許可をもらっておりますので。」
「だから?」
くすくす、と笑う声。
359歳と言うが、笑い方は小学生のようだ。
「能力、出させてもらいます。」
手の構えは慎重に。
一ミリのズレが心のズレ。
そして、主人への気持ち。
「[漢字]苦い現実[/漢字][ふりがな]アメール・レアリテ[/ふりがな]」
「強いのお。だがまだまだ。さて、私も。」
「[漢字]黒い魂[/漢字][ふりがな]ノワール・アム[/ふりがな]」
(この方…とても強い。)
私と同レベルどころか、[太字]それ以上。[/太字]
「ご主人様の命令は絶対なので。」
「ほう。その絶対、壊してやろう。」
「[漢字]生命を狩る時[/漢字][ふりがな]ラビ・セラビィー[/ふりがな]」
真白から白いものが出てくる。魂だ。
「ッ、やめなさい!」
「嫌だよ、それが仕事なんだから。」
そのタヒ神は嫌味のようにそう言った。
「私の名前は[漢字]鶴[/漢字][ふりがな]つる[/ふりがな]。お前も仕事、頑張るんだな。」
「いつか必ず、取り返します。」
「ああ、頑張りな。」
鶴が去った後。
屋敷は大混乱に陥った。
しかし、緋彗の主人は気楽なもので、
「緋彗、そんな重く考えなくていいのよ。」
「柚葉様…。」
「私、柚葉様の命令をちゃんと、ぐすっ、できませんでした…。」
「そこなのね…。」
「私の中では、
一、柚葉様
二、柚葉様のご命令
三、柚葉様の周りの大切な人…ですから。」
「ぶれないわねぇ。」
「とにかく…私は、真白様の魂を取り戻してきます。」
「頑張ってね。」
「かしこまりました。いってきます。」
メイドさんの新たな事件。
[漢字]陽風緋彗[/漢字][ふりがな]はるかぜ ひすい[/ふりがな]の仕事は主人の[漢字]四隅 柚葉[/漢字][ふりがな]よすみ ゆずは[/ふりがな]とその双子の妹、[漢字]真白[/漢字]ましろ[ふりがな][/ふりがな]を起こしに行く事から始まる。
「柚葉様、おはようございます。」
「ん…おはよう、緋彗。」
柚葉は、朝に強い。
だが。
「真白様、おはようございます。朝ですよ。」
「ぐ〜、ぐ〜…。」
「もう、また真白起きないのね…。」
「朝ごはんの匂いがしたらまた起きるでしょうか?」
「そうね。作ってきてちょうだい。」
緋彗は調理場へと歩いていった。
「おはようございます、今日も美味しそうですね。」
「おお、緋彗ちゃん。今日も手伝ってくれるのかい?」
「はい。真白様が起きそうにないので。」
緋彗が朝食の調理場に来た=真白が起きていないという共通ルールになりつつある。
「今日も張り切らないとねえ。」
「はい。」
そうして、朝食は出来上がった。のだが。
「起きないわねえ、ほんとに。」
「私、見てきます。」
「お願い。なにかあったら貴方の能力でなんとかしてね。」
「かしこまりました。」
コンコン。
「入ります、真白様。」
(返事がない…。)
「……。」
寝ている。
「まだ、気づかないの?鈍いメイドさん。」
「……っ!?」
見ると、そこには六歳にもまだならない、幼児がいた。
「迷子、ですか?」
「いいえ。私、こう見えても359歳だからね。」
「あなたは…何です?」
「ここにいる真白というやつの魂を奪いに来た、タヒ神。」
「タヒ神様、ですか?」
「ええ。」
___『お願い。なにかあったら貴方の能力でなんとかしてね。』
「私、ご主人様に許可をもらっておりますので。」
「だから?」
くすくす、と笑う声。
359歳と言うが、笑い方は小学生のようだ。
「能力、出させてもらいます。」
手の構えは慎重に。
一ミリのズレが心のズレ。
そして、主人への気持ち。
「[漢字]苦い現実[/漢字][ふりがな]アメール・レアリテ[/ふりがな]」
「強いのお。だがまだまだ。さて、私も。」
「[漢字]黒い魂[/漢字][ふりがな]ノワール・アム[/ふりがな]」
(この方…とても強い。)
私と同レベルどころか、[太字]それ以上。[/太字]
「ご主人様の命令は絶対なので。」
「ほう。その絶対、壊してやろう。」
「[漢字]生命を狩る時[/漢字][ふりがな]ラビ・セラビィー[/ふりがな]」
真白から白いものが出てくる。魂だ。
「ッ、やめなさい!」
「嫌だよ、それが仕事なんだから。」
そのタヒ神は嫌味のようにそう言った。
「私の名前は[漢字]鶴[/漢字][ふりがな]つる[/ふりがな]。お前も仕事、頑張るんだな。」
「いつか必ず、取り返します。」
「ああ、頑張りな。」
鶴が去った後。
屋敷は大混乱に陥った。
しかし、緋彗の主人は気楽なもので、
「緋彗、そんな重く考えなくていいのよ。」
「柚葉様…。」
「私、柚葉様の命令をちゃんと、ぐすっ、できませんでした…。」
「そこなのね…。」
「私の中では、
一、柚葉様
二、柚葉様のご命令
三、柚葉様の周りの大切な人…ですから。」
「ぶれないわねぇ。」
「とにかく…私は、真白様の魂を取り戻してきます。」
「頑張ってね。」
「かしこまりました。いってきます。」
メイドさんの新たな事件。
/ 1