クセの強い人外達は今日も学生寮に入り浸るようです。
「……神、隠し……」
つい、オウム返しにしてしまう。……思わぬところで、聞き覚えのある単語が出てきた。
ソレを疑問と受け取ったのか、はたまた○○が役立たずなので自分がしっかりしないといけないと判断したのか。仕草だけはいつもの通りに、楼さんが肩を竦めた。
「えぇ。アンタはどーせ知らないでしょうが……神の領域に人を連れ込む、まぁ厄介な異能ですよ。」
なんでも彼ら人外は、人間の噂や信仰……そんな共通イメージともいうべきモノによって、姿も力も変わっていくらしい。
だからこそ、単に種族としての大雑把な畏れ以外に、自分のための【物語】……怪談や都市伝説などの自分そのものをモチーフとした伝承……を持つ怪異は強いのだ、と。
その一方で、元々は良いモノが恐ろしい化物へ、賢いモノが意思なき怪物へと転じ、酷い時には誰からも忘れられて、完全に消えてしまう事すらあるのだと楼さんは語る。まるで、今はもう居ない誰かを悼むように。
時の変遷に伴って成り果て、最後には跡形も残さず[漢字]消えて[/漢字][ふりがな]死んで[/ふりがな]しまうのも、彼らにとっては良くあるコトの一つらしい。
なんだか、ソレって悲しいな。思わず○○は黙り込む。
だが当の本人は○○の些細な感傷なんて気にも留めず、『説明してなかった言葉に引っ掛かりでもしたんですかねぇ?』とぼやきながら、緩く首を傾げていた。
「異能っつーのは『【物語】を持つ人外の特殊能力』とでも思ってもらえれば。実際、僕だって一応この辺のローカル都市伝説ですし?」
「……はぁ。」
……そう言えば神出鬼没のヴァンパイアって触れ込みだったもんな、このヒト。
でもさ、ホント人外ってズレてんなぁ。
……あれ、待てよ?
「……つまり、有名な神様ってすっげぇ強かったりしませんか……?」
「おっと、珍しく察しがいいですねぇ。最悪なコトにその通りですよ、奴ら長く信仰されてっから力は強いし、自我も明瞭なんすわ。」
『要は僕みたいな木っ葉のハンパ者じゃあ手も足も出やしねぇってコト。』と吐き捨てるような調子で付け加え、苦々しげに顔を歪めたあと、とってつけたようにこちらに笑みを向ける。
「●●さん、ココまでくるとアンタは囮としてすら足手纏いなんで研究室に帰します。アンタ嫌がってましたし、この件から手ぇ引けて良かったっすねぇ?」
いつも飄々とした楼さんにしては珍しく、有無を言わせぬ語気で詰め寄られる。
急に真面目な顔になった楼さんに驚きつつ、頷く事はできなかった。
もちろん普段の○○なら、喜んで逃げ帰っていただろう。
でも、コレは無理だ。
「……楼さん。○○がなんで人外嫌いなのか、知ってます?」
「今はソレ関係ねぇでしょう。アンタに怪我でも負わせてみろ、僕が柚さんに燃やされちまうんですけど?」
関係、あるんだよなぁ……と、内心で一つため息をついて、ああもうと自嘲する。ホント、厄介な性分に生まれてしまった。
なんだかんだで○○は、青臭い正義や大団円のハッピーエンドとやらに憧れているらしい。
「そーゆートコですよ。どこまでも自己中心的で、そのクセ自分はコッチの理解の範疇外にのうのうと突っ立ってるトコです。勝手に攫うし勝手に決めるし、勝手に殺そうとする。だから嫌いなんです。」
……あぁ、勝手にいなくなったヒトも居たっけな。
詳しくは言わない。このヒト相手に言うつもりも、今のところない。
ただ敢えて言うなら、因縁とかトラウマとか、そんな感じだ。
もちろん人外は怖いし、嫌悪感で体が震える。寒気だってしてきた。一度刻まれた恐怖は、中々消えるモンじゃない。
吐き出した息は震えている。もう後戻りできないぞ、マジで言うわけ? と、内心で自分に引いている。
「もしコレが神隠しだって言うんなら。○○は○○の意地として、被害者を見捨てられないんですよ。」
答えは……沈黙。軽く俯いた楼さんは、手で口を覆って小刻みに震えている。
そのまま、そして大変ムカつくコトに……彼はいかにも滑稽だと言いたげに、くつくつと笑い出した。
「……で、アンタに何が出来るって? 英雄気取りも結構ですが、意地とやらだけで解決するおつもりで?」
リアリストの人でなし。『ホーント、精神論だけで敵さんが納得して手ぇ引いてくれんならソリャ最強だ! アンタみてぇな一般人でも負けやしねぇでしょうよ。』と、口調だけはいつも通りに、低い声で迷惑だと告げてくる。
「だが僕もアンタもそんなケッタイな能力は持ってねぇワケで? アンタを連れてくコトで僕に発生するデメリットを埋めるだけの“何か”をアンタはできるんですかねぇ?」
軽快な口調で次から次へと、○○には無理だと分からせるように刺した一言。到底怪異とは思えないほど、楼さんには現実がよく見えている。
でも。それでも。
……いや、だからこそ。
被害者のあの写真の人と依頼人さんに、[漢字]同じ思い[/漢字][ふりがな]・・・・[/ふりがな]はさせたくないなぁ。
「……何も、できません。」
「でしょうねぇ。なら……」
「けど! ○○はあなたの雇い主です。まだ給料も払ってません。なので。
[太字]○○は帰りません[/太字]!」
立つのがやっとの震える足で、○○は精一杯の啖呵を切ってみせた。
[中央寄せ][大文字]⚠︎ ⚠︎ ⚠︎[/大文字][/中央寄せ]
【side ???】
[明朝体] クスクス。アハハ。狐は愉しそうに笑います。[漢字]夢境[/漢字][ふりがな]むきょう[/ふりがな]の中で、[漢字]微睡[/漢字][ふりがな]まどろみ[/ふりがな]の淵で。彼女の神域である、沢山の木々の生えた社の側で。
良い加減に物語にも飽いてきて、さりとて他の遊びは思い当たらず。
ならばそろそろ道具の材料として少しだけ体を頂いて、彼ら彼女らを解放しようかしらんと考えていた矢先に、とても良いモノを見つけたからです。[/明朝体]
「何かあったのかよ。」
[明朝体] 仏頂面の化猫は、また始まったと言わんばかりに溜め息を吐きました。ぶっきらぼうなその声は、いつも以上に気疲れしています。
それもその筈。つい先刻まで、狐は新たな道具を作っておりました。彼女が面白そうだと思うモノを。
そしてそれは化猫にとって、彼女の『面白そう』はいつも決まって碌でもない出来事しか呼ばないと、改めて実感する結果となりました。
そんな狐は応えます。[/明朝体]
「ええ、ええ! 見つけました! 次の、面白そうなモノ!」
[明朝体] 狐は、それはそれは愉しそうに笑います。大声をあげて転げ回って、子供のように笑っています。
どうして今まで気が付かなかったのでしょう? と、自らに首を傾げながら、『人間でありながら⬛︎⬛︎だなんて! そんなの絶対、面白い以外の何物でもありませんとも!』と、この百年はなかったほど、陽気に、快活に笑うのでした。[/明朝体]
[中央寄せ][大文字]⚠︎ ⚠︎ ⚠︎[/大文字][/中央寄せ]
まぁ、断られても仕方ないだろう。コレは単に、○○の意地の問題だ。それはそれとして笑うのはどうかと思うが。
それでも側から見たらきっと、馬鹿馬鹿しいにも程があるとしか言いようがないコトは理解している。だが『どんなに言われても頷いてなるものか』と、キッと楼さんを見上げた。
だが。
「はぁ……呆れたがまぁ、ソコまで言われちゃ僕の負けですよ。ただし、どうなっても保証はしませんぜ? あと僕の指示には従うコト。」
「……ソレは、必ずしも守ると思うなよ、ってコトですか。」
「えぇまぁ。アンタのお守りまで出来るほど、僕ぁ強かねぇんで? 当然っしょ。」
十中八九無理だろうな……なんて考えていたら思いの外アッサリと承諾され、特に意味もなく楼さんを見上げた事になってしまった。
ため息をつく楼さんの表情は、細いサングラスの照り返しで良く見えない。
「……そういえば、なんですけど。さっき、こおんって変な音しませんでした? 神隠しどうこうの話の、ホントに直前。」
そう言った矢先のことだった。
あれほど解けなかった楼さんの手がするりと、まるで油か石鹸でも塗ったように見る間に取れて、○○はとぷんと地面に沈んでいく。
「さぁ? 僕にゃソレは聴こえませんでしたが……」
楼さんがふと見た先には、誰もいない。
「……いつの間に手を……オイ●●さん? 悪趣味なジョーダンとかよしていただけます?」
あぁクソ、何も見えない。ただ楼さんの声が聞こえるだけ。恐らく地中だ。
まぁ普通ならパニックになるのかもしれないが、生憎と○○は一年前に、[漢字]この感覚を知っている[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・[/ふりがな]。
楼さんに届くか届かないかは賭けだが、分かったコトが一つだけ。
これは、純粋な神隠しじゃない。
だからただ、『あぁ、これだから人外は嫌いなんだ』と思うだけだ。
「聞こえますか楼さん!! この事件の犯人、本来は神様じゃないです!!! だから……」
「っ!?」
マズイな、声も出なくなった。
そして、世界は暗転する。波打ち際で波に揉まれるような回転と、開いても網膜は何も捉えないほどの暗黒。そんなら、まだ目ぇ瞑ってた方がマシだな。
ようやく止まったのを確認して、もう一度目を開くと。
ソコは、大木に囲まれた陽だまりの森林だった。
つい、オウム返しにしてしまう。……思わぬところで、聞き覚えのある単語が出てきた。
ソレを疑問と受け取ったのか、はたまた○○が役立たずなので自分がしっかりしないといけないと判断したのか。仕草だけはいつもの通りに、楼さんが肩を竦めた。
「えぇ。アンタはどーせ知らないでしょうが……神の領域に人を連れ込む、まぁ厄介な異能ですよ。」
なんでも彼ら人外は、人間の噂や信仰……そんな共通イメージともいうべきモノによって、姿も力も変わっていくらしい。
だからこそ、単に種族としての大雑把な畏れ以外に、自分のための【物語】……怪談や都市伝説などの自分そのものをモチーフとした伝承……を持つ怪異は強いのだ、と。
その一方で、元々は良いモノが恐ろしい化物へ、賢いモノが意思なき怪物へと転じ、酷い時には誰からも忘れられて、完全に消えてしまう事すらあるのだと楼さんは語る。まるで、今はもう居ない誰かを悼むように。
時の変遷に伴って成り果て、最後には跡形も残さず[漢字]消えて[/漢字][ふりがな]死んで[/ふりがな]しまうのも、彼らにとっては良くあるコトの一つらしい。
なんだか、ソレって悲しいな。思わず○○は黙り込む。
だが当の本人は○○の些細な感傷なんて気にも留めず、『説明してなかった言葉に引っ掛かりでもしたんですかねぇ?』とぼやきながら、緩く首を傾げていた。
「異能っつーのは『【物語】を持つ人外の特殊能力』とでも思ってもらえれば。実際、僕だって一応この辺のローカル都市伝説ですし?」
「……はぁ。」
……そう言えば神出鬼没のヴァンパイアって触れ込みだったもんな、このヒト。
でもさ、ホント人外ってズレてんなぁ。
……あれ、待てよ?
「……つまり、有名な神様ってすっげぇ強かったりしませんか……?」
「おっと、珍しく察しがいいですねぇ。最悪なコトにその通りですよ、奴ら長く信仰されてっから力は強いし、自我も明瞭なんすわ。」
『要は僕みたいな木っ葉のハンパ者じゃあ手も足も出やしねぇってコト。』と吐き捨てるような調子で付け加え、苦々しげに顔を歪めたあと、とってつけたようにこちらに笑みを向ける。
「●●さん、ココまでくるとアンタは囮としてすら足手纏いなんで研究室に帰します。アンタ嫌がってましたし、この件から手ぇ引けて良かったっすねぇ?」
いつも飄々とした楼さんにしては珍しく、有無を言わせぬ語気で詰め寄られる。
急に真面目な顔になった楼さんに驚きつつ、頷く事はできなかった。
もちろん普段の○○なら、喜んで逃げ帰っていただろう。
でも、コレは無理だ。
「……楼さん。○○がなんで人外嫌いなのか、知ってます?」
「今はソレ関係ねぇでしょう。アンタに怪我でも負わせてみろ、僕が柚さんに燃やされちまうんですけど?」
関係、あるんだよなぁ……と、内心で一つため息をついて、ああもうと自嘲する。ホント、厄介な性分に生まれてしまった。
なんだかんだで○○は、青臭い正義や大団円のハッピーエンドとやらに憧れているらしい。
「そーゆートコですよ。どこまでも自己中心的で、そのクセ自分はコッチの理解の範疇外にのうのうと突っ立ってるトコです。勝手に攫うし勝手に決めるし、勝手に殺そうとする。だから嫌いなんです。」
……あぁ、勝手にいなくなったヒトも居たっけな。
詳しくは言わない。このヒト相手に言うつもりも、今のところない。
ただ敢えて言うなら、因縁とかトラウマとか、そんな感じだ。
もちろん人外は怖いし、嫌悪感で体が震える。寒気だってしてきた。一度刻まれた恐怖は、中々消えるモンじゃない。
吐き出した息は震えている。もう後戻りできないぞ、マジで言うわけ? と、内心で自分に引いている。
「もしコレが神隠しだって言うんなら。○○は○○の意地として、被害者を見捨てられないんですよ。」
答えは……沈黙。軽く俯いた楼さんは、手で口を覆って小刻みに震えている。
そのまま、そして大変ムカつくコトに……彼はいかにも滑稽だと言いたげに、くつくつと笑い出した。
「……で、アンタに何が出来るって? 英雄気取りも結構ですが、意地とやらだけで解決するおつもりで?」
リアリストの人でなし。『ホーント、精神論だけで敵さんが納得して手ぇ引いてくれんならソリャ最強だ! アンタみてぇな一般人でも負けやしねぇでしょうよ。』と、口調だけはいつも通りに、低い声で迷惑だと告げてくる。
「だが僕もアンタもそんなケッタイな能力は持ってねぇワケで? アンタを連れてくコトで僕に発生するデメリットを埋めるだけの“何か”をアンタはできるんですかねぇ?」
軽快な口調で次から次へと、○○には無理だと分からせるように刺した一言。到底怪異とは思えないほど、楼さんには現実がよく見えている。
でも。それでも。
……いや、だからこそ。
被害者のあの写真の人と依頼人さんに、[漢字]同じ思い[/漢字][ふりがな]・・・・[/ふりがな]はさせたくないなぁ。
「……何も、できません。」
「でしょうねぇ。なら……」
「けど! ○○はあなたの雇い主です。まだ給料も払ってません。なので。
[太字]○○は帰りません[/太字]!」
立つのがやっとの震える足で、○○は精一杯の啖呵を切ってみせた。
[中央寄せ][大文字]⚠︎ ⚠︎ ⚠︎[/大文字][/中央寄せ]
【side ???】
[明朝体] クスクス。アハハ。狐は愉しそうに笑います。[漢字]夢境[/漢字][ふりがな]むきょう[/ふりがな]の中で、[漢字]微睡[/漢字][ふりがな]まどろみ[/ふりがな]の淵で。彼女の神域である、沢山の木々の生えた社の側で。
良い加減に物語にも飽いてきて、さりとて他の遊びは思い当たらず。
ならばそろそろ道具の材料として少しだけ体を頂いて、彼ら彼女らを解放しようかしらんと考えていた矢先に、とても良いモノを見つけたからです。[/明朝体]
「何かあったのかよ。」
[明朝体] 仏頂面の化猫は、また始まったと言わんばかりに溜め息を吐きました。ぶっきらぼうなその声は、いつも以上に気疲れしています。
それもその筈。つい先刻まで、狐は新たな道具を作っておりました。彼女が面白そうだと思うモノを。
そしてそれは化猫にとって、彼女の『面白そう』はいつも決まって碌でもない出来事しか呼ばないと、改めて実感する結果となりました。
そんな狐は応えます。[/明朝体]
「ええ、ええ! 見つけました! 次の、面白そうなモノ!」
[明朝体] 狐は、それはそれは愉しそうに笑います。大声をあげて転げ回って、子供のように笑っています。
どうして今まで気が付かなかったのでしょう? と、自らに首を傾げながら、『人間でありながら⬛︎⬛︎だなんて! そんなの絶対、面白い以外の何物でもありませんとも!』と、この百年はなかったほど、陽気に、快活に笑うのでした。[/明朝体]
[中央寄せ][大文字]⚠︎ ⚠︎ ⚠︎[/大文字][/中央寄せ]
まぁ、断られても仕方ないだろう。コレは単に、○○の意地の問題だ。それはそれとして笑うのはどうかと思うが。
それでも側から見たらきっと、馬鹿馬鹿しいにも程があるとしか言いようがないコトは理解している。だが『どんなに言われても頷いてなるものか』と、キッと楼さんを見上げた。
だが。
「はぁ……呆れたがまぁ、ソコまで言われちゃ僕の負けですよ。ただし、どうなっても保証はしませんぜ? あと僕の指示には従うコト。」
「……ソレは、必ずしも守ると思うなよ、ってコトですか。」
「えぇまぁ。アンタのお守りまで出来るほど、僕ぁ強かねぇんで? 当然っしょ。」
十中八九無理だろうな……なんて考えていたら思いの外アッサリと承諾され、特に意味もなく楼さんを見上げた事になってしまった。
ため息をつく楼さんの表情は、細いサングラスの照り返しで良く見えない。
「……そういえば、なんですけど。さっき、こおんって変な音しませんでした? 神隠しどうこうの話の、ホントに直前。」
そう言った矢先のことだった。
あれほど解けなかった楼さんの手がするりと、まるで油か石鹸でも塗ったように見る間に取れて、○○はとぷんと地面に沈んでいく。
「さぁ? 僕にゃソレは聴こえませんでしたが……」
楼さんがふと見た先には、誰もいない。
「……いつの間に手を……オイ●●さん? 悪趣味なジョーダンとかよしていただけます?」
あぁクソ、何も見えない。ただ楼さんの声が聞こえるだけ。恐らく地中だ。
まぁ普通ならパニックになるのかもしれないが、生憎と○○は一年前に、[漢字]この感覚を知っている[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・・[/ふりがな]。
楼さんに届くか届かないかは賭けだが、分かったコトが一つだけ。
これは、純粋な神隠しじゃない。
だからただ、『あぁ、これだから人外は嫌いなんだ』と思うだけだ。
「聞こえますか楼さん!! この事件の犯人、本来は神様じゃないです!!! だから……」
「っ!?」
マズイな、声も出なくなった。
そして、世界は暗転する。波打ち際で波に揉まれるような回転と、開いても網膜は何も捉えないほどの暗黒。そんなら、まだ目ぇ瞑ってた方がマシだな。
ようやく止まったのを確認して、もう一度目を開くと。
ソコは、大木に囲まれた陽だまりの森林だった。