獄卒の復讐劇
静かな廃ビルで一匹狼が佇んでいる_______居場所を求めて
=橙裂 空良の執務室=
空良の執務室は他幹部とは一風変わっている。
暗く完全に閉ざされたカーテン,容量の良いゲーム用PC,高性能かつ音質の良い
ゲーム用ヘッドホン,無造作に散乱しているエナドリなどの缶やペットボトル
………………まるでどこかの自宅警備員とやらを連想させる程の廃人ゲーマー
??「…………失礼します,空良幹部」
礼儀正しい三回のノック音は空良の耳に届かずヘッドホンから聞こえるゲーム音に搔き消されて聞こえていないようだ
??「(ゲーム中か,子供のようにゲームに没頭せず幹部らしくあってほしい )
入りますよ,空良幹部…………」
呆れているようでどこか威厳のことを心配している空良の側近,彼が目にする
幹部の執務室はやはりニートの部屋だった
??「(誰がこの部屋を掃除すると思っているんだか,理解力が乏しいのか?)
このゴミ,片付けておきますね。それといい加減ゲームより事務仕事に
取り掛かってください,そのようなさまでは末端構成員に悪影響ですので
少しは幹部であるという自覚とともに威厳のことをお考え下さい……」
空良「………………うるせぇ,俺が何しようが勝手だろ?末端が何をほざこうと
実力で捻じ伏せればそれでいい,もとより実力差の理解できないような雑
魚はお前らで片付いてるから俺の出番はねぇよ………」
??「…そうですか,では次の部隊訓練でも勝利を獲得できると良く分からない
自信と自覚を持っているということでしょうか?どの訓練でも我々は最
下位を維持しているだけの実質組織内での雑魚ですよ?………」
空良「………んな訓練如きに勝てて何が嬉しいんだか……大事なのは戦場での
動きだ,終わり良ければ総て良しってのでいいんだよ。人間はぶっつけ
本番のときこそ本性と才能を曝け出す,逃げ出すか向き合うかまたは戦場
か事務仕事かってのを見極めることができていいだろ?」
??「ですが我々の部隊は今じゃ戦場での被害が一番多い部隊かつ最弱部隊と
まで言われているのです,加えて訓練如きと仰っていますが我々からすれ
ばあなたのゲームと訓練は同等の存在………お分かりいただけますか?」
空良「…………どんなゲームでも賢く鋭くならなければならない,いつ誰が裏切
るかもわからないのに信じられるかよ…………」
??「………なれば何故リアン・ファミリアに属されたのですか?心のどこか
奥深くで信じてーーーーー」
空良「利害の一致,ただそれだけだ。俺は復讐さえ果たしたら好きにここを脱退
いや,退所か…退所してゲーマーの道を進む。戻ろうとも関わろうとも思
っちゃいねぇよ………今更絆がどうのって家族ゴッコする理由あるか?」
??「…………絆とはいざというとき変に力を増す魔法のようなものです。
最も家族に限らず友人などとも芽生えるもの弱者のネズミがライオンに
勝利できる唯一の底力とでも申しましょうか。絆が芽生えれば一方的に
仲間意識を持ち自然と連携力や集中力,などが向上し戦場での効率も格段
に飛躍するでしょう。+αで支持率向上,自然的な統率力,従順,魅力的な
能力の芽生えと向上につながり効率を重視すれば雑魚は減少傾向になり
良いことずくしだと思うのですが………信じるではなく最低限な連携力
と統率力を兼ね備えればそれでいいんです………」
空良「………………逆に言うが絆で全部丸め込めると思うな,仲良しゴッコなん
てもう時代遅れなんだよ。問題は突発的な対応力だ,いつどこが戦場に成
るかなんて分からない世の中で甘っちょろく仲良しこよしで肩組んでも
犠牲者は増えるばかりで被害者が生まれる……それを回避するための組
織だってのに対応力を補わなくてどうするよ………この話は終わりだ。
掃除が終わったら作業に戻れ…………」
??「………そんなだから部下に裏切られるんですよ…………」
空良「…知るか,俺はこれでも最善を尽くしているつもりだ………」
どこかケンカ腰のような二人の空気がしばらく続き沈黙さえも圧の掛け合い
かのようだ。ただ二人は行違えぶつかり合いになっていることに気付かない
そんな中沈黙を破ったのは意外にも龍生だった
龍生「…………空良,この前のゲームだが…………」
空気を察してか龍生も言葉を止めて両者の出方を伺っている
空良「……………この前ってことはイーピックス?」
龍生「………………カラーテリトリーバトルの方だ……」
空良「そっちか,確か新武器が何個かでたんだっけか?」
龍生「………新武器で色々やらないか?…………」
空良「!!✨✨やるっ✨!!!」
??「甘やかさないで下さい,龍生幹部………」
龍生「…………………良いではないか,人間誰しも心の拠り所が必要だ…………
この業界にいるのなら尚のこと。延頸鶴望,空良の心が熟すまで待て……
心の成長には個人差が生じるのだからそれまでは満たしてやればいい…
空良の側近でこんなにも辛抱強く続けられるのは貴様が初めてだ………
白沢 凪徒(しろさわ なぎと)………」
凪徒「フルネームじゃなくて下の名前で大丈夫です。そりゃ,こんな上司………
裏切りたくもなりますよ。ふんぞり返って偉そうで部下の心配もしてく
れないんじゃ従う意欲なんて消え去ります,むしろそれでも信じている少
数の部下がとんでもないですよ………」
龍生「………所詮は情だ,情けは長く持たない……どうか引き続き空良の部隊を
よろしく頼む………俺だけでは力量不足だろう………」
凪徒「……分かっています,ただこのままではよくないので悩みどころではあり
ますが自分のできる範囲でやってみますよ…………」
龍生「…………そうか………」
空良「せっかくだし龍生の部屋でやろうぜ!!✨✨」
龍生「………ああ,丁度誰かが訪ねてくる予定もないし大丈夫だろう……」
2人の幹部が去った執務室で静かに凪徒は決意の目を宿していた
凪徒「……………元々,拾われた命だ。この命で一矢報いて見せましょう…」
=橙裂 空良の執務室=
空良の執務室は他幹部とは一風変わっている。
暗く完全に閉ざされたカーテン,容量の良いゲーム用PC,高性能かつ音質の良い
ゲーム用ヘッドホン,無造作に散乱しているエナドリなどの缶やペットボトル
………………まるでどこかの自宅警備員とやらを連想させる程の廃人ゲーマー
??「…………失礼します,空良幹部」
礼儀正しい三回のノック音は空良の耳に届かずヘッドホンから聞こえるゲーム音に搔き消されて聞こえていないようだ
??「(ゲーム中か,子供のようにゲームに没頭せず幹部らしくあってほしい )
入りますよ,空良幹部…………」
呆れているようでどこか威厳のことを心配している空良の側近,彼が目にする
幹部の執務室はやはりニートの部屋だった
??「(誰がこの部屋を掃除すると思っているんだか,理解力が乏しいのか?)
このゴミ,片付けておきますね。それといい加減ゲームより事務仕事に
取り掛かってください,そのようなさまでは末端構成員に悪影響ですので
少しは幹部であるという自覚とともに威厳のことをお考え下さい……」
空良「………………うるせぇ,俺が何しようが勝手だろ?末端が何をほざこうと
実力で捻じ伏せればそれでいい,もとより実力差の理解できないような雑
魚はお前らで片付いてるから俺の出番はねぇよ………」
??「…そうですか,では次の部隊訓練でも勝利を獲得できると良く分からない
自信と自覚を持っているということでしょうか?どの訓練でも我々は最
下位を維持しているだけの実質組織内での雑魚ですよ?………」
空良「………んな訓練如きに勝てて何が嬉しいんだか……大事なのは戦場での
動きだ,終わり良ければ総て良しってのでいいんだよ。人間はぶっつけ
本番のときこそ本性と才能を曝け出す,逃げ出すか向き合うかまたは戦場
か事務仕事かってのを見極めることができていいだろ?」
??「ですが我々の部隊は今じゃ戦場での被害が一番多い部隊かつ最弱部隊と
まで言われているのです,加えて訓練如きと仰っていますが我々からすれ
ばあなたのゲームと訓練は同等の存在………お分かりいただけますか?」
空良「…………どんなゲームでも賢く鋭くならなければならない,いつ誰が裏切
るかもわからないのに信じられるかよ…………」
??「………なれば何故リアン・ファミリアに属されたのですか?心のどこか
奥深くで信じてーーーーー」
空良「利害の一致,ただそれだけだ。俺は復讐さえ果たしたら好きにここを脱退
いや,退所か…退所してゲーマーの道を進む。戻ろうとも関わろうとも思
っちゃいねぇよ………今更絆がどうのって家族ゴッコする理由あるか?」
??「…………絆とはいざというとき変に力を増す魔法のようなものです。
最も家族に限らず友人などとも芽生えるもの弱者のネズミがライオンに
勝利できる唯一の底力とでも申しましょうか。絆が芽生えれば一方的に
仲間意識を持ち自然と連携力や集中力,などが向上し戦場での効率も格段
に飛躍するでしょう。+αで支持率向上,自然的な統率力,従順,魅力的な
能力の芽生えと向上につながり効率を重視すれば雑魚は減少傾向になり
良いことずくしだと思うのですが………信じるではなく最低限な連携力
と統率力を兼ね備えればそれでいいんです………」
空良「………………逆に言うが絆で全部丸め込めると思うな,仲良しゴッコなん
てもう時代遅れなんだよ。問題は突発的な対応力だ,いつどこが戦場に成
るかなんて分からない世の中で甘っちょろく仲良しこよしで肩組んでも
犠牲者は増えるばかりで被害者が生まれる……それを回避するための組
織だってのに対応力を補わなくてどうするよ………この話は終わりだ。
掃除が終わったら作業に戻れ…………」
??「………そんなだから部下に裏切られるんですよ…………」
空良「…知るか,俺はこれでも最善を尽くしているつもりだ………」
どこかケンカ腰のような二人の空気がしばらく続き沈黙さえも圧の掛け合い
かのようだ。ただ二人は行違えぶつかり合いになっていることに気付かない
そんな中沈黙を破ったのは意外にも龍生だった
龍生「…………空良,この前のゲームだが…………」
空気を察してか龍生も言葉を止めて両者の出方を伺っている
空良「……………この前ってことはイーピックス?」
龍生「………………カラーテリトリーバトルの方だ……」
空良「そっちか,確か新武器が何個かでたんだっけか?」
龍生「………新武器で色々やらないか?…………」
空良「!!✨✨やるっ✨!!!」
??「甘やかさないで下さい,龍生幹部………」
龍生「…………………良いではないか,人間誰しも心の拠り所が必要だ…………
この業界にいるのなら尚のこと。延頸鶴望,空良の心が熟すまで待て……
心の成長には個人差が生じるのだからそれまでは満たしてやればいい…
空良の側近でこんなにも辛抱強く続けられるのは貴様が初めてだ………
白沢 凪徒(しろさわ なぎと)………」
凪徒「フルネームじゃなくて下の名前で大丈夫です。そりゃ,こんな上司………
裏切りたくもなりますよ。ふんぞり返って偉そうで部下の心配もしてく
れないんじゃ従う意欲なんて消え去ります,むしろそれでも信じている少
数の部下がとんでもないですよ………」
龍生「………所詮は情だ,情けは長く持たない……どうか引き続き空良の部隊を
よろしく頼む………俺だけでは力量不足だろう………」
凪徒「……分かっています,ただこのままではよくないので悩みどころではあり
ますが自分のできる範囲でやってみますよ…………」
龍生「…………そうか………」
空良「せっかくだし龍生の部屋でやろうぜ!!✨✨」
龍生「………ああ,丁度誰かが訪ねてくる予定もないし大丈夫だろう……」
2人の幹部が去った執務室で静かに凪徒は決意の目を宿していた
凪徒「……………元々,拾われた命だ。この命で一矢報いて見せましょう…」