ぬいぐるみ事変
ここは、スキー合宿に向かうバスの中。東京のどこかの中学校の生徒がバスの中でワイワイしている。その中に1人、ぽつんと本を読んでいる女子生徒がいた。彼女の名前は[漢字]糸由[/漢字][ふりがな]しゆう[/ふりがな]。いつも、ほとんど本の世界にいるが、社会の授業だけまじめに聞いているので、周りからは「本と歴史が好きな変人」扱いされている。恋愛だの、人付き合いだのとは、まったくの無縁だった。ちなみに、勉強の出来は特別上でも、特別下でもない。
バスは男子2列、女子2列の横4列で、男女の列の間に通路がある。彼女の座っている席は後ろ寄りの前だ。席は窓側ではなく、通路側だ。
「談合坂サービスエリアで、休憩をとります。トイレに行きたい人は、速やかに行ってください」
ええ、いいところだったのに、と糸由は思ったがトイレにもそこそこ行きたかったので、トイレに行くことにする。広いサービスエリアだけあって、全然混んでいない。そこで凝り固まっていた体を伸ばし、席に戻ったときに異変に気がついた。カバンが1人でに動いているということだ。不思議に思いつつ、もうすぐ出発すると言うので自席に座る。バスが走り出して読書をしようとしても、カバンはずっと動いて、読書どころではない。見間違いじゃないよなあ、と思いながら、隣のこれまたおとなしそうな女子にそっと聞いてみた。
「ねえ、このカバン、動いているよね」
「うお、本当だ」
驚くのは当たり前だ。逆に驚かないほうが怖い。
「中身、確認したほうがいいかな?」
「いいと思うよ。なにが入っているんだろう」
2人で話しながら、恐る恐るチャックを開ける。そこには
「リケラ!」
なんと、彼女がいちばん大切にしているぬいぐるみが動き回っていたのだ!そのぬいぐるみというのは、ト「リケラ」トプスのぬいぐるみで名前をリケラと名付けていた。確か4歳の誕生日にもらって以来、ずっと大切にしている。
「な、ん、で?ここ、に?」
バスは男子2列、女子2列の横4列で、男女の列の間に通路がある。彼女の座っている席は後ろ寄りの前だ。席は窓側ではなく、通路側だ。
「談合坂サービスエリアで、休憩をとります。トイレに行きたい人は、速やかに行ってください」
ええ、いいところだったのに、と糸由は思ったがトイレにもそこそこ行きたかったので、トイレに行くことにする。広いサービスエリアだけあって、全然混んでいない。そこで凝り固まっていた体を伸ばし、席に戻ったときに異変に気がついた。カバンが1人でに動いているということだ。不思議に思いつつ、もうすぐ出発すると言うので自席に座る。バスが走り出して読書をしようとしても、カバンはずっと動いて、読書どころではない。見間違いじゃないよなあ、と思いながら、隣のこれまたおとなしそうな女子にそっと聞いてみた。
「ねえ、このカバン、動いているよね」
「うお、本当だ」
驚くのは当たり前だ。逆に驚かないほうが怖い。
「中身、確認したほうがいいかな?」
「いいと思うよ。なにが入っているんだろう」
2人で話しながら、恐る恐るチャックを開ける。そこには
「リケラ!」
なんと、彼女がいちばん大切にしているぬいぐるみが動き回っていたのだ!そのぬいぐるみというのは、ト「リケラ」トプスのぬいぐるみで名前をリケラと名付けていた。確か4歳の誕生日にもらって以来、ずっと大切にしている。
「な、ん、で?ここ、に?」