桜藤学園は今日も元気です
#1
開幕
──[漢字]桜藤[/漢字][ふりがな]さくらふじ[/ふりがな]学園。
ここは“ある人”しか入学できない特殊な学校で、幼、小、中、高一貫の学校でもある。
“ある人”とは、特殊能力を持った人だ。例えば、透視、遠距離で操作ができるなどだ。
今日、私はこの学校に通うことになった。……というか、通えるように努力した。
私は[漢字]小篠 純夏[/漢字][ふりがな]おざさ すみか[/ふりがな]。中学三年生。
私は幼稚園生の時から、この学校に通いたいと思っていた。だけど、特殊能力は無く、入学できなかった。
それから私は、本気で練習した。私が欲しかったのは“透視”だ。だけど、練習は水の泡。私は諦めたが、両親は落ち込んでいる私を見て、ネックレスを私にくれた。何故かと訊いてみると、「これで入学できるよ」とただそれだけしか言わなかった。だけど、私は嬉しかった。
だから私は通える。
「[漢字]翠嶺[/漢字][ふりがな]すいれい[/ふりがな]中学校から来ました。小篠純夏です」とごく普通の自己紹介をした。
クラスは「翠嶺中?」「マジか」という声が聞こえた。
「頭いいところだよ」
「よろしくお願いします」と頭をぺこりと下げた。すると、「はい!」と元気な声で一人の女の子が手を挙げた。
先生が「[漢字]白旗[/漢字][ふりがな]しらはた[/ふりがな]」と指名した。
「能力は何ですか?」と訊かれたので、私は「えっと、透視です」と答えた。
白旗という人は私が話終わっても私を見つめていた。
「あ、私、白旗 [漢字]佑夏[/漢字][ふりがな]ゆうか[/ふりがな]っていうの! よろしくね!」と笑顔で言ってくれた。
私もつられて笑顔で「よろしく」と言った。
昼休み、白旗さんが話しかけてきた。
「今思ったんだけどさ、二人の名前って“夏”という漢字が含まれてない?」と言われた。確かにそうだと気付いた。
「ペア名さ、夏の二乗でよくない?」
[斜体]純夏×佑夏=純+佑+夏²[/斜体]
略して夏の二乗
確かにそうだ。
「あ、ちなみに私の能力は人の心を読むこと!」とウインクしながら白旗さんは言った。
(やばい。読まれちゃう……)
「さっき、読まれちゃう、って思ったでしょ? 大丈夫だよ! そんな読まないから! 読むとしたらテストの時くらいかな?」
本当に読まれていた。いや、本当に桜藤学園に入学できたんだ。
「だけど、大体呼び出し喰らうんだけどね」
そういえば、行事とかはどうなんだろう。公式サイトで見たけれど、沢山あって忘れてしまった。
「行事はね、沢山あるけど……唯一盛り上がるのが、体育祭! 普通の学校と違って私たち、特殊じゃん。その能力を使ってゲームをするって感じだから面白い!」
すると、「なあ。何話してんの? 混ぜて」と二人の女子が来た。
見た目は意地悪げで失礼だけど、誰かをいじめてそう。もしかしたら私も……。と急に怖くなった。横にはスマホを持ってにやにやしている人がいた。
私は震えた。もしかしたらこの二人……いや、白旗さんも後々……と変な妄想をし始めた。
それに気づいた白旗さんが、「大丈夫だよ。見た目は……まあ、そうだけど、中身は意外といいよ」と言ってくれた。
「この意地悪げな人が[漢字]長柄[/漢字][ふりがな]ながら[/ふりがな] むつこ。能力は遠距離操作。それで、そのスマホ依存症な人が[漢字]板本 万里佳[/漢字][ふりがな]いたもと まりか[/ふりがな]。能力は暗記、記憶」
「何変なこと教えてんだよ!」と長柄さん。そして「そうだよ! 依存症じゃないし!」と共感する板本さん。
「あ、変な人じゃないから」と言ってくれた。
確かに中身はいい人そう。
「よろしくね! 白旗さん、長柄さん、板本さん!」と笑顔で言った。
だけど、周りはしんとしていた。
一呼吸置き、長柄さんが「なあ、下の名前で呼ぼう。友達だろ?」と言ってくれた。
遠慮してはいけない、と思い、「改めてよろしくね! 佑夏ちゃん、むつこちゃん、万里佳ちゃん!」と言った。
またしんと静かになった。
「なあ、呼び捨てで呼ぼう」とむつこちゃんが再び言った。
「またまたよろしくね! 佑夏、むつこ、万里佳!」と言った。
──始まる。新しい私の[漢字]学校生活[/漢字][ふりがな]スクールライフ[/ふりがな]が。
ここは“ある人”しか入学できない特殊な学校で、幼、小、中、高一貫の学校でもある。
“ある人”とは、特殊能力を持った人だ。例えば、透視、遠距離で操作ができるなどだ。
今日、私はこの学校に通うことになった。……というか、通えるように努力した。
私は[漢字]小篠 純夏[/漢字][ふりがな]おざさ すみか[/ふりがな]。中学三年生。
私は幼稚園生の時から、この学校に通いたいと思っていた。だけど、特殊能力は無く、入学できなかった。
それから私は、本気で練習した。私が欲しかったのは“透視”だ。だけど、練習は水の泡。私は諦めたが、両親は落ち込んでいる私を見て、ネックレスを私にくれた。何故かと訊いてみると、「これで入学できるよ」とただそれだけしか言わなかった。だけど、私は嬉しかった。
だから私は通える。
「[漢字]翠嶺[/漢字][ふりがな]すいれい[/ふりがな]中学校から来ました。小篠純夏です」とごく普通の自己紹介をした。
クラスは「翠嶺中?」「マジか」という声が聞こえた。
「頭いいところだよ」
「よろしくお願いします」と頭をぺこりと下げた。すると、「はい!」と元気な声で一人の女の子が手を挙げた。
先生が「[漢字]白旗[/漢字][ふりがな]しらはた[/ふりがな]」と指名した。
「能力は何ですか?」と訊かれたので、私は「えっと、透視です」と答えた。
白旗という人は私が話終わっても私を見つめていた。
「あ、私、白旗 [漢字]佑夏[/漢字][ふりがな]ゆうか[/ふりがな]っていうの! よろしくね!」と笑顔で言ってくれた。
私もつられて笑顔で「よろしく」と言った。
昼休み、白旗さんが話しかけてきた。
「今思ったんだけどさ、二人の名前って“夏”という漢字が含まれてない?」と言われた。確かにそうだと気付いた。
「ペア名さ、夏の二乗でよくない?」
[斜体]純夏×佑夏=純+佑+夏²[/斜体]
略して夏の二乗
確かにそうだ。
「あ、ちなみに私の能力は人の心を読むこと!」とウインクしながら白旗さんは言った。
(やばい。読まれちゃう……)
「さっき、読まれちゃう、って思ったでしょ? 大丈夫だよ! そんな読まないから! 読むとしたらテストの時くらいかな?」
本当に読まれていた。いや、本当に桜藤学園に入学できたんだ。
「だけど、大体呼び出し喰らうんだけどね」
そういえば、行事とかはどうなんだろう。公式サイトで見たけれど、沢山あって忘れてしまった。
「行事はね、沢山あるけど……唯一盛り上がるのが、体育祭! 普通の学校と違って私たち、特殊じゃん。その能力を使ってゲームをするって感じだから面白い!」
すると、「なあ。何話してんの? 混ぜて」と二人の女子が来た。
見た目は意地悪げで失礼だけど、誰かをいじめてそう。もしかしたら私も……。と急に怖くなった。横にはスマホを持ってにやにやしている人がいた。
私は震えた。もしかしたらこの二人……いや、白旗さんも後々……と変な妄想をし始めた。
それに気づいた白旗さんが、「大丈夫だよ。見た目は……まあ、そうだけど、中身は意外といいよ」と言ってくれた。
「この意地悪げな人が[漢字]長柄[/漢字][ふりがな]ながら[/ふりがな] むつこ。能力は遠距離操作。それで、そのスマホ依存症な人が[漢字]板本 万里佳[/漢字][ふりがな]いたもと まりか[/ふりがな]。能力は暗記、記憶」
「何変なこと教えてんだよ!」と長柄さん。そして「そうだよ! 依存症じゃないし!」と共感する板本さん。
「あ、変な人じゃないから」と言ってくれた。
確かに中身はいい人そう。
「よろしくね! 白旗さん、長柄さん、板本さん!」と笑顔で言った。
だけど、周りはしんとしていた。
一呼吸置き、長柄さんが「なあ、下の名前で呼ぼう。友達だろ?」と言ってくれた。
遠慮してはいけない、と思い、「改めてよろしくね! 佑夏ちゃん、むつこちゃん、万里佳ちゃん!」と言った。
またしんと静かになった。
「なあ、呼び捨てで呼ぼう」とむつこちゃんが再び言った。
「またまたよろしくね! 佑夏、むつこ、万里佳!」と言った。
──始まる。新しい私の[漢字]学校生活[/漢字][ふりがな]スクールライフ[/ふりがな]が。
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