- 閲覧前にご確認ください -

この話はフィクションで、実際起こった話ではありません。

文字サイズ変更

宮廷台所の隠し味

#9

医官の真似事

「『娘に会いたい…』? 侍女頭さま、妃に娘はおられますか?」
すると、侍女頭はふるふると、首を横に振った。
「血の繋がった娘はおりません。ですが、ずっと主上の娘…公主さまを娘と可愛がっておられました。…それが夢の中であったとしても」
「主上の娘…か。夢の中、会えない…」
はあああぁぁぁ───……
頭痛がする。額に手を当てる。
(私だ)
私でなくても、私のことを言っている。
(とりあえず、私に出来ることをするだけだ)

[大文字][太字][明朝体]『死なせて。』[/明朝体][/太字][/大文字]

そんな真似、させるわけない。
今ここで『母』の愛を受け取ったから!
「侍女頭さま、水と手拭い、あと炭を用意してください! できる範囲で蘇生致します。苦しまない程度に」

「…あなたは、医療関係者なの?」

「いいえ、どうせこれは医官の真似事でございます。これが失敗すれば、私の首を吹っ飛ばして構いません! ただこの行為は妃のためだけにします」
そう、侍女頭の心配は、ごく当然のことだった。
関係者かそうでないかは、妃の命に関わることだ。
(私の『父さん』たる人は医者なんだけどな)
私の母はいまや食堂の女将さん。女身一つで私を育ててきたかというと、実はそうではない。
母、[漢字]琳美[/漢字][ふりがな]リンメイ[/ふりがな]には旦那がいた。まあいなければ、私の母だと言いきれなかっただろう。
旦那は、都で、医者をしていた。
それは決して宮の中ではなく、町人や村人のための医者だった。だから、見様見真似で遊んでいたことを今、初めて生身でしようと言うのだ。しかも、貴妃という御立場の方に。
(所詮初心者。ただの小娘だ。失敗するかもしれないと向こうも分かっているはず)
「分かりました。すぐ用意しましょう。貴明、蘭蘭。水と手拭いと炭を持ちなさい」
『は、はいっ! 琳美さま』
(おや、私の母さんとおんなじ名前だ)
こんな運命もあるものだなあ、としみじみ感じていると、「早くしなさいよ」と言いたげにこちらを見ている侍女頭がいた。

作者メッセージ

ちょっと長めかもしれないです。
それでも最後まで読んでくださり感謝しかないです!

2025/05/23 07:18

晴友真弥花 ID:≫ 98lbnz7xawbdQ
続きを執筆
小説を編集

パスワードをおぼえている場合はご自分で小説を削除してください。(削除方法
自分で削除するのは面倒くさい、忍びない、自分の責任にしたくない、などの理由で削除を依頼するのは絶対におやめください。

→本当に小説のパスワードを忘れてしまった
▼小説の削除を依頼する

小説削除依頼フォーム

お名前 ※必須
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
削除の理由 ※必須

なぜこの小説の削除を依頼したいですか

ご自分で投稿した小説ですか? ※必須

この小説は、あなたが投稿した小説で間違いありませんか?

削除後に復旧はできません※必須

削除したあとに復旧はできません。クレームも受け付けません。

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL
/ 9

コメント
[1]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL