宮廷台所の隠し味
「麗花さま、麗花さま!」
目の前には、うろたえる貴明と、早く水をと叫ぶ蘭蘭。
戦場の病院のようだった。
「ああ、何故ですの? 何故毒など…!」
「麗花さま、戻ってきてください」
ある者は私たちに罪があると押し寄せ、ある者は嘆き、ある者はそっと祈り───、まさに地獄には行きたくないとせがむ者等に見えた。
(下級妃のひとりやふたりどうなろうがどうでもいい。しかし、今回は正一品だ。同じ妃という立場といえど、命の重みが違いすぎる)
「あの…この紙をどうぞ。寧夏さまですよね」
「……。どうも」
「寧夏さまに渡せと仰せになられました」
[明朝体][大文字][太字]『愛する我が娘寧夏へ
私はずっと帝に、あなたの行く末を語っていた。どこかの王に拾われて、その国の姫として生きているのでは、なんて言ってね。でも“春陽”は町娘として生きていた。私はね、帝に嘘を吹き込んだことになるの。死なせて。帝には、私はもう必要ない。罪人だもの。最後娘に会いたいんだけれど、欲は捨てましょう。醜いだけだものね
いつまでも愛してる 麗花より』[/太字][/大文字][/明朝体]
「麗花さま…」
目の前には、うろたえる貴明と、早く水をと叫ぶ蘭蘭。
戦場の病院のようだった。
「ああ、何故ですの? 何故毒など…!」
「麗花さま、戻ってきてください」
ある者は私たちに罪があると押し寄せ、ある者は嘆き、ある者はそっと祈り───、まさに地獄には行きたくないとせがむ者等に見えた。
(下級妃のひとりやふたりどうなろうがどうでもいい。しかし、今回は正一品だ。同じ妃という立場といえど、命の重みが違いすぎる)
「あの…この紙をどうぞ。寧夏さまですよね」
「……。どうも」
「寧夏さまに渡せと仰せになられました」
[明朝体][大文字][太字]『愛する我が娘寧夏へ
私はずっと帝に、あなたの行く末を語っていた。どこかの王に拾われて、その国の姫として生きているのでは、なんて言ってね。でも“春陽”は町娘として生きていた。私はね、帝に嘘を吹き込んだことになるの。死なせて。帝には、私はもう必要ない。罪人だもの。最後娘に会いたいんだけれど、欲は捨てましょう。醜いだけだものね
いつまでも愛してる 麗花より』[/太字][/大文字][/明朝体]
「麗花さま…」