宮廷台所の隠し味
「くそぅ! [漢字]公主[/漢字][ふりがな]ひめ[/ふりがな]はまだ見つからぬのか! [漢字]輝狼[/漢字][ふりがな]キラン[/ふりがな]よ」
「すみません、父上。[漢字]未[/漢字][ふりがな]いま[/ふりがな]だ見つけられず…」
「手がかりすらも! ないと言うのか?」
「いえ、一応、[漢字]寧夏[/漢字][ふりがな]ニーシャ[/ふりがな]に瓜二つの娘は見つけました。が、見失ってしまい」
寧夏は、俺の妹。
昔、父が『捨て子はよく育つ』という迷信を信じ、母が否やを申すのも聞かず、可愛いであろう娘を捨てた。
そして、そのまま行方不明になった。
「もう一度町を探せ…」
「御意」
捜索三日目。
ついに俺は、寧夏らしき娘を見つけた。娘は、とっさに顔を汚れた布切れで覆う。
そして、その娘は俺に気がついたのか、走って逃げた。
「待て!」
娘は大通りに飛び出した。よし!
「……っ!」
大通りに部下をまわらせた。大通りに出したのはそのためだ。
俺は布切れを取って、顔を見つめた。本当によく似ている。俺が見つめると、娘はギロリとにらみ返してきた。
「寧夏…。[漢字]杏天[/漢字][ふりがな]シンティエン[/ふりがな]、この者を宮へ」
「ははっ」
「寧夏? 宮? なぜ? 奉公は五年終わったわ!」
その娘の名は、[漢字]春陽[/漢字][ふりがな]チュンヤン[/ふりがな]、だった。
「すみません、父上。[漢字]未[/漢字][ふりがな]いま[/ふりがな]だ見つけられず…」
「手がかりすらも! ないと言うのか?」
「いえ、一応、[漢字]寧夏[/漢字][ふりがな]ニーシャ[/ふりがな]に瓜二つの娘は見つけました。が、見失ってしまい」
寧夏は、俺の妹。
昔、父が『捨て子はよく育つ』という迷信を信じ、母が否やを申すのも聞かず、可愛いであろう娘を捨てた。
そして、そのまま行方不明になった。
「もう一度町を探せ…」
「御意」
捜索三日目。
ついに俺は、寧夏らしき娘を見つけた。娘は、とっさに顔を汚れた布切れで覆う。
そして、その娘は俺に気がついたのか、走って逃げた。
「待て!」
娘は大通りに飛び出した。よし!
「……っ!」
大通りに部下をまわらせた。大通りに出したのはそのためだ。
俺は布切れを取って、顔を見つめた。本当によく似ている。俺が見つめると、娘はギロリとにらみ返してきた。
「寧夏…。[漢字]杏天[/漢字][ふりがな]シンティエン[/ふりがな]、この者を宮へ」
「ははっ」
「寧夏? 宮? なぜ? 奉公は五年終わったわ!」
その娘の名は、[漢字]春陽[/漢字][ふりがな]チュンヤン[/ふりがな]、だった。