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この話はフィクションで、実際起こった話ではありません。

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宮廷台所の隠し味

#21

農村街

「毒見役、つまり、高貴な御方に死んで欲しいほど憎かったというのか?」
「えぇ、そうよ。私は貧しい農村街から売られて来たただの下女。値段も安かった。そろそろ年季も明けるという時、淑妃の毒見役が死んだの、毒を盛られてね。私は思ったのよ。コレを使えば、蓮華宮に乗り込めるって。思い通り行ったわ。死体は薬になるってのに、死体入り飲料で死んじゃうなんて」
ああひ弱い、と言い、両手を挙げてつまらなそうに首を振った。

「…杏天、捕えろ」
「はっ」
杏天は素早く手を動かし、桜珊の手首を縄でくくりとめた。
「桜珊…」
「ふふっ私の家族はもう全員死んだ。私の関係者はいないわ。刑罰は私だけで済むわね」
鬼女に見えた。
私は、彼女が、はるか昔この国にいたという女帝の生まれ変わりだと思った。
女帝は、少女時代の自分を何かにつけていじめてきた異母姉を、滅多刺しにして殺したという話が残っている。
確か…名は…

「[漢字][明朝体][大文字][太字]紹興[/太字][/大文字][/明朝体][/漢字][ふりがな]シャオシン[/ふりがな]」

「どうしたんだ、急に」
「輝狼様、農村街に出かけても?」
「いいが…馬車を使え。皇族が外を走るものではない」
「私を追っかけ回して、さんざん走らせたのは、どちらさまでございまして?」
「…」
気まずそうに目を泳がせる。
「行ってまいります」

農村街
「はあ…はあっ…ここ…のはず!」
とある建物がある。
肘木と実肘木の間の巻斗には見慣れた文字。
『[漢字]龍子[/漢字][ふりがな]ロンズー[/ふりがな]!』
店の名前を言うと、誰かの声が被った。
「誰!?」
振り返るとそこには…。
「ん? 用があったんじゃないの? 中で兄さんが待ってるよ。春陽」
優しい顔をした幼なじみがいた。
「[漢字]龍雄[/漢字][ふりがな]ローシュン[/ふりがな]…」
「さあ入りな。ボロボロだよ。きっと兄さんなら、手厚く診てくれるよ」
龍雄とその兄とは幼なじみだ。だが二人は兄、柳島に嫌われていたので、こっそり遊んでいた。
このふたりは今や、私の父さんたる方、洛徳の弟子で、兄は医者、弟は薬師と二人で支え合って農村街で生きている。
「…ありがとね、龍雄」
「はあ? 僕らはいつでも幼なじみだろ?」

そう言って、私と龍雄は、『龍子』に入っていった。

2025/06/14 16:36

晴友真弥花 ID:≫ 98lbnz7xawbdQ
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